灼熱の大地より34
「前正覚山から見た風景」
2010年 01月 04日
昨年11月の終わり、スダマさん、iさんがブッダガヤで経営するホテル・マハマヤにお邪魔したときのこと、セミナーの翌朝、一人でブッダガヤ精舎が建立される寄進地を見学に出かけました。袈裟衣を着たお坊さんたちの行き交うホテル街を抜け、長い長い橋を渡り、スジャータ村に向かう道を左に折れて畑の中をずんずん進んでいくと、やがて行き当たるナイランジャナー河のほとり、小さな集落の隣に広がる土地が、ブッダガヤ精舎の建立地です。
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精舎建立地から見た前正覚山
降魔成道の跡、大菩提寺の大塔が背後に遠くに見え、正面に横たわるナイランジャナー河の向こうには成道前の釈尊が難行苦行に打ち込んだ前正覚山(象頭山)が、映画「太陽の法」そのままの威容を誇っています。
そもそもは「ここで精舎のイメージを描こう」というのが寄進地訪問の目的でしたが、遠くにそびえるゴツゴツとした無骨な岩山を眺めているうちに「登ってみたい」という気持ちを抑えきれなくなり、気付いたときには靴のままジャブジャブと水かさの減った河を歩いて渡り始めていました。
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仏陀が沐浴されたナイランジャナー河
かつて主が沐浴された河の中ほどでは、母と子が水牛の親子をごしごし洗い清めています。向こう岸に渡り、マンゴーの林を過ぎると、小さな村がありました。
泥で作った粗末な家が立ち並び、その外壁にはペタペタと牛糞を張って乾かしています。
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牛糞を貼って乾かしている泥の家
家の前では女性や子供たちが思い思いにくつろいでいましたが、こんなところに旅行者が迷い込んでくるのはめずらしいのでしょうか、口々に何か声をかけてくれます。
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井戸端会議に花を咲かせる
手振り身振りで「写真撮っていいか」と尋ね、レンズを向けるとお年寄りでもちゃんとポーズをとってくれます。そして、撮った写真をその場で再生して見せると、皆もう大喜びでたちまち黒山の人だかりができてしまいました。
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貧しくてもサリーは艶やか
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明るくて、人懐っこい
貧しいとはいえ、女性たちのサリーはそれぞれ個性豊かに彩られていて、それがインドの明るい陽射しと見事にマッチして、村の雰囲気を華やいだものにしています。
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わんぱくな子供たち
村人相手に時間を潰しているうちにすっかり遠回りをしてしまい、追いすがる子供たちを振り切るようにして、麦畑に飛びこみました。あぜ道を右に曲がり、左に曲がり、まるであみだくじのようにして走り抜けると、背の低い木がまばらに生えている林が現れます。そして、そこからはいよいよ草もまばらな白茶けた岩肌の斜面との格闘の始まりです。
続・・