なぜTPP交渉参加恐れる
2011.11.3 産経新聞
記事転載
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111103/plc11110311070004-n1.htm
(1/3~)[宮家邦彦のWorld Watch] 転載
昨今、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉参加を
めぐる議論が姦(かしま)しい。
反対派は「わが国農業を急速に崩壊させる」と拳(こぶし)
を振り上げるが、実態はどうなのか。1994~96年、
WTO金融・電気通信サービス貿易の交渉官を務めた筆者
にも一言言わせてほしい。
そもそもTPPは単なる自由貿易協定ではない。
TPP交渉はアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の
実現に向けた取り組みの一つであり、自由で透明性の
高い経済圏に中国を「関与」させるという、日本にとって
重要な地政学的意味があることを忘れてはならない。
もちろん、TPPにはさまざまな批判がある。
「実質は日米FTAにすぎず、日本は一方的不利益を受ける」
とか、「実質関税自主権の放棄であり、農業が大打撃を受ける」
などと喧伝(けんでん)されている。
果たして、本当にそうなのだろうか。
関税撤廃で日本の農業は潰れるというが、世界の農業は
既に「脱関税化」が進んでいる。欧米諸国では関税ではなく、
直接支払制度による農業の保護が常識だ。
日本も保護のやり方を変えればよいだけの話で、農民はちっとも
困らないはずである。
むしろ農地は有効利用され、生産性が向上し、日本の農作物は
安くなるだろう。高率関税により農業を守ろうとしている
日本政府の手法は時代遅れの政策だ。
金融、医療、建設業にも悪影響がある、1990年代の
日米保険交渉などではひどい目にあったとの批判も根強い。
しかし、これもWTOなど多国間交渉の利点をよく知らない
素人の議論である。
多国間交渉では弱者が強者に勝つことが可能だ。
弱者が結束すれば強者は孤立するからだ。
それにもかかわらず、1994年、日本政府はWTOでの
多国間金融交渉を中止、あえて日米2国間で保険交渉を行い、
あえなく玉砕した。これも致命的な戦術ミスである。
90年代まで国際的貿易ルール作りの現場は常にGATTと
WTOだった。米欧加とともに「4極」を構成していた日本は
、常にそのルール作りの中心にいた。
ところが、中国がWTOに加盟した頃から日本の発言力は
急速に低下し始める。
中、印、ブラジルなどの発言力が増大し、日本はもはや
国際貿易ルール作りのコアメンバーではなくなった。
これではWTOはますます機能しなくなり、日本に有利な
規範作りも難しくなるばかりである。
その意味でも、今回のTPP交渉は日本にとって千載一遇のチャンスだ。
日本が現時点でTPP多国間交渉に参加する。
アジア太平洋地域全体を規律することになる新しい
ルール作りに当初から関与する。今後10~20年の
日本経済にとっては極めて有利な判断だ。
まだ交渉国が少ない今だからこそ、昔のようにコアメンバー
として多国間交渉を有利に進めることができる。
東アジアの貿易ルールが自由で開放的なものになればなる程、
将来いずれは交渉に参加せざるを得なくなる中国に対する
無言の圧力も高まるだろう。
交渉に参加することと、TPP本体に加盟することは
全く別の話だ。交渉に参加して情報を集め、有利となれば
交渉を続ける。不利になれば交渉から離脱すればよいだけの話だ。
交渉参加を恐れる必要など全くない。野田政権は正しい判断を
下すべきである。
◇
経済関連
超危険水域にある中国経済
ゴーストタウン化する暴走開発地区
抜粋
http://sankei.jp.msn.com/world/news/111103/chn11110309540000-n2.htm
中国政府が不良債権処理に大ナタを振るったとしても、
中国経済が超危険水域にあることは疑いようもない。
そもそも、これまで札束を刷りまくり融資しまくって
きた国有銀行が破綻せず乗り切れるのか?
債権者はインフレ&重税に怒りデモする人民他、
外国の金融機関・機関投資家が多数含まれる。
「中国はインフレをストップさせる機会を逃し、
ハードランディングのリスクに直面している」と語る
ジョージ・ソロス氏をはじめ、世界の大物経済人らは
「次なる危機の震源地は中国」「遅くとも2013年までに」
と“予告”している。
日本&企業はこの未曽有の“巨大人災津波警報”
への対策、処方箋を持っているのか?
「中国と心中」なんて死んでも嫌だ。
だ!( ̄Д ̄;;
。