WSJが与謝野大臣を紹介
http://blogs.yahoo.co.jp/yutasteve/22149227.html
中野雄太氏ブログから転載 2011/1/17(月)
大臣就任にも関わらず大きな波紋を呼んでいる
与謝野馨経済財政担当相。私のブログでも、大臣の
早急な増税路線に対して批判をしていますが、
WSJでも与謝野氏の横顔を取り上げています。
アメリカのメディアが、一人の大臣を取り上げることは
珍しいとも言えます。
転載始め
【コラム】
財政再建のタカ派、デフレではハト派-与謝野馨氏の横顔
ウォール・ストリート・ジャーナル 1月17日(月)11時25分配信
財政再建のタカ派だが、デフレではハト派-。簡単に言えば、
菅直人首相が14日の内閣改造で経済財政担当相に任命した
与謝野馨氏はそういう考え方の持ち主だ。歴代政権で経済、財政、
通商産業の各大臣を務めた経歴がある。
与謝野氏は財政再建派として知られ、2008年には先進国で最悪
の財政赤字を脱却するため、2015年までに現在5%の消費税の倍増
を主張した。同氏は14日、入閣にあたって、税制改革や社会保障
改革を迅速に行いたいと述べた。
与謝野氏の任命は、重鎮である藤井裕久氏の官房副長官任命と
ともに、菅首相が有権者の前に不愉快な政策を打ちだそうとする
姿勢を浮き彫りにしたかにみえる。民主党などの長年にわたる
脳天気な政策綱領とは対照的だ。増税や社会保障削減は決して人気
のあるものではないが、財政・年金上の難題に取り組み、解決しよ
うとする意気込みは日本にとって良いものだろう。
とはいうものの、経済拡大もまた大切だ。経済拡大なき財政再建は、
抜本的な支出削減と増税なしにはほとんど不可能だ。それが与謝野氏
には欠けるところだ。同氏は財政という国の問題の一部に集中してい
るだけだで、もう一つの決定的な課題を無視しているからだ。それは
名目成長率を金利以上に押し上げる必要があるというものだ。
これにはデフレを終息させることが決定的に重要だ。与謝野氏の
任命の結果、政府と協調して物価下落を克服するためもっと行動す
べき日銀に対する圧力が弱まる可能性がある。2006年の経済担当相
時代、与謝野氏は政府の月例経済報告から「デフレ」という言葉を
早々と削除し、日銀に対する行動の圧力を弱めた経緯がある。
また、グローバルな一次産品(商品)インフレの再燃の折から、
デフレ問題は新たな次元を帯びている。完成品とサービス価格が
下落している時期に仕入れ価格が上昇しているため、日本企業は
マージン(利ざや)縮小に直面している。昨年12月の企業物価
指数は3カ月連続で上昇した。石油やゴムなどの一次輸入価格は
11.5%上昇したのに対し、エレクトロニクスなど国内消費耐久財
価格は4%下落した。
確かに、インフレ高進は金融引き締めを誘い、債務支払い金利
を上昇させ、円高につながりかねない。その限りにおいて与謝野
氏は、インフレを低く抑えることは的を得ており、早急に行動す
る必要があるかもしれない。しかし、日本ではインフレは今日的
な問題とはほど遠いところにある。
[ハード・オン・ザ・ストリート(Heard on the Street)は
1960年代から続く全米のビジネス・リーダー必読のWSJ定番コラム。
2008年のリニューアルでアメリカ、ヨーロッパ、アジア各国に
駐在する10人以上の記者が加わり、グローバルな取材力をさらに
強化。刻々と変わる世界市場の動きをWSJ日本版でもスピーディ
ーに紹介していく]
転載終わり
このコラムは、本質をついています。与謝野氏が財政に
集中しすぎていること。また、2006年に金利引き上げをしたことで
、景気を腰折れさせたことも指摘しています。つまり、財政タカ派
というのは増税路線、デフレハト派というのは、デフレ路線をとる
ということです。前者は、日本の財政赤字に対する懸念からくる
ものであり、後者はインフレを恐れている証拠です。もし、来年
景気が回復して消費者物価指数がプラスとなった場合、その時に
与謝野氏が大臣をやっていれば、日銀に利上げを要求するという
ことです。
与謝野氏自身の経済理論は間違っていませんが、
採用する政策の時期が間違っているということです。増税、利上げ
というのはインフレ経済下で行うものです。デフレ下で実施した
場合、さらなるデフレと不況がやってきます。原口総務相「貧乏神」
という言葉が出てきましたが、日本経済をどん底に陥れるという
意味で正しい表現です(元々、幸福実現党が与謝野氏に対して、一昨年
に使った言葉ですが)。 与謝野大臣には、採用する政策の時期が間違
っていることに気づいて欲しいと思います。