ネタバレを避けられないことを書いてしまうので、お気をつけて!
作品名は「ソイレント・グリーン」
1973年公開のアメリカ映画。
50年後の社会を描いたSF映画で
舞台は2022年のニューヨーク。
人口は増加し、資源は枯渇。
異常な格差社会となっていた。
多くの貧民は住むところもなく
食料は、人工的に作られた合成食品の配給に行列を作る。
年寄りは
「昔の食事は味があった。肉や野菜を調理したもんだ」と懐かしく話す。
ごく一部の上流階級の者たちは
“家具”と呼ばれる美しく若い女性付きの部屋に住み、浴室にはお湯が出て、玉子やいちごジャムなど非常に高価な本物の食品をこっそり手に入れている。
ストーリーを要約すると、
合成食品を作っている会社“ソイレント社”の幹部が殺された事件を追う刑事が、上流階級の暮らしぶりなどを目にしながら、最終的にはソイレント社の秘密に辿り着くというもの。
1時間40分程の映画のうち、
よくわからないまま見進めている感が否めない状態が続くばかり。
最後の10分くらいで大きく核心に触れた感じの構成。
でも、それもそのはず。
近未来を描いているこの映画、
“2022年の世の中”を紹介しながら刑事が事件を追っているような作りになっているので、わからないことばかりなのは当然なのでした。
ちょうど今が2022年。
実際の現代は幸いにも、青い海も緑の山もある。
魚は泳いでいるし、鳥は鳴いています。
しかしながら、
環境汚染は深刻な問題になっているのも事実。
人間が暮らしやすくなるために開発し利用していくことで、人間が本来生きていくために必要なものを奪っていくということを認めざるを得ません。
映画の中では、
「ホーム」という施設に向かう老人を追っています。
受付では好きな色や音楽を聞かれ、
個室に案内されるとそこには
好きな色の照明で好きな音楽が流れている。
渡された飲み物を口に入れ、リクライニングチェアに深く身を預ける。
部屋中に映し出される光景は、まさに自然の風景。
海で泳ぐ魚、草原で草を食べる動物。
もう目にすることがなくなってしまった緑が茂った世界。
そんな美しい映像を見ながら、静かに息を引き取る…
ホームとは、安楽死の施設だったのです。
施設から運び出される死体の山が行き着く先は、ソイレント社。
ソイレント社の製造している合成食品の秘密がわかった時点でこの映画は終わっています。
“よくわからない”ことばかりでちっとも面白いと思わず観ていたこの映画。
なのに、
最後まで観て、どんな感想だったかと振り返ると、「おもしろかった」と私は感じてしまいます。
50年前に想像した“50年後の世界”。
この映画によって警鐘を鳴らしていたのであろうと思います。
方向性があながち間違っていないあたりが心に刺さり、私にとってなんとも印象に残る作品となりました。
「なにこれ?ちっとも楽しくない」
こんな感情を抱くことになるかもしれませんが、この映画にご興味が湧きましたらぜひご覧になってみてください。