詳細なデータや綿密な歴史的内容ではなく、単に感覚的に「昔と変わった」と感じ
ることの中に、訪日外国人観光客が急増している事実があります。
観光が目的ではない外国の人達も多いと思いますが、訪日外国人の約8割は観光・
レジャーが目的だそうです。 都内でも、浅草などのスポットは勿論、銀座や渋谷、
新宿など現在はどこでも多く見かけます。大阪や京都なども凄いと聞きます。
ネットによれば、外国人観光客が日本に来る理由は、食への興味や観光地への興味、
治安の良さなど、アジア圏を中心にリピーターが多く存在しているとあります。 なか
でも、「日本食を食べること」「自然・景勝地観光」「ショッピング」は、高い割合
で日本に来る目的に挙げられています。 もう少し細かなところでは、 ・公共交通
機関が時間通りに運行する(電車やバスが時刻通りに発着する) ・マナーが良く
サービス精神が高い ・公衆トイレが綺麗 ・物価が安い ・治安がよい ・自動
販売機の数が多い ・コンビニが至るところにある・・なども上がっていました。
(JTB総合研究所より)
上のグラフは、1964年から訪日外国人数の推移を表しています。JTB総合研究所の
グラフに、昨年の実数を書き加えてみました。 約50年前(1973年)には、784,691人
とありますから、この50年でざっと50倍に増加しているのですね。グラフを見ますと、
2006年から徐々に増加傾向を示し、2012~3年頃から急増していることが分かります。
2020年あたりの減少は新型コロナの影響ですね。
2003年の小泉内閣時代に観光立国推進が図られ、2006年に『観光立国推進基本法』
が成立、翌年より施行され、2008年には観光庁(国土交通省)が設置されました。
さらに、安倍内閣時代に積極化されて、2014年には「アクションプラン2014」により、
2020年に向けて訪日外国人旅行者数2000万人を目指す・・とのスローガンを掲げ、
2017年から毎年「観光ビジョン実現プログラム」を更新して来ているのですね。
コロナ明けの2023年には、「新時代インバウンド拡大アクションプラン」が決定
され、「観光立国推進基本計画」が閣議決定されるなどして、2025年までに外国人
旅行者数を2019年実績(3188万人)を超える・・を目標とされましたが、既に昨年
(2024年)過去最高の3687万人でクリアしています。
政府の旗振りにより、観光PRというか、日本の売り込みが活発に行われ、特にイン
ターネットなどによる多彩な情報の展開とSNSによる情報拡散のほか、オリンピックや
その他のスポーツ、更にはアニメなどの浸透なども日本を知らしめる好材料となって
いるのでしょう。 また、国内においてもホテルや交通など施設の整備、充実も効を
奏していると思われます。 LCC(格安航空会社)の出現に追うところも多分にある
でしょう。昨今の円安も効いているかもしれません。
ネット(gooニュース)には、今年(2025年)も日本のインバウンドは順調なスター
トを切ったとあり、先月(1月)の訪日外国人観光客数は単月として過去最高の378万
1200人(前月同期比40.6%増)を記録したとあります。 過去最高だった2024年12月
の348万9800人を上回り、単月として初めて370万人を突破したのだそうです。
国・地域別では、1位は中国で98万300人、2位は韓国で96万7100人を記録。3位の
台湾が59万3400人、4位の香港が24万3700人でアジア圏がダントツだったそうです。
仁川〜熊本間や仁川〜新千歳間等の期間増便やチャーター便運航等の影響もあった
そうです。
地域別訪日外国人(こちらは2023年のデータ)
(JTB総合研究所より)
政府は、今後2030年までに6000万人、15兆円を目標としており、新しい観光地の
発掘などによる地域活性化に対しても魅力的ではありますが、一過性で終わることの
ないよう考慮する必要は勿論あります。そして6000万人というのは、日本の人口の
半数にあたる規模の観光客を目指すということであり、現在でも、オーバーツーリズ
ム(観光公害)が問題視されているところであり、交通、道路、宿泊施設等のイン
フラに関する課題のほか、ルール、マナーなどの習慣の違いによるトラブルなどにも
大きな課題がありそうです。
拙ブログに「オーバーツーリズム」(2024.12.7)を取上げていますが、観光地の
混雑、自然環境の破壊なども重要な課題となります。 例えばすでに、尾瀬や箱根、
上高地などの景勝地がゴミに溢れ、大渋滞や自然環境が荒らされるなどの事態があり
ます。「過剰利用(Overuse)」や「環境収容力(Carrying Capacity)」などの面から
その対策や戦略が検討される必要があります。また、現実的には人材不足、多言語
対応、緊急時対応などの課題を克服して行く必要があるでしょう。
終りに、日本人の国外出国(旅行等)の推移も見ておきましょう。
(JTB総合研究所より)
上のグラフは、1964年からの推移を示しています。 1973年頃は229万人でしたが、
過去ピークの2019年は2008万人で約10倍となっています。 コロナで落ち込んだあと、
回復基調にありますが、昨年(2024年)は1182万人にとどまっています。
私ごとですが、50年ほど前に2週間のアメリカ出張がありました。この頃、未だ成田
空港はなく、羽田からアラスカ経由でニューヨーク(JFK)着でした。 会社でも、
この頃は海外出張はまだ走りで、同僚が羽田まで見送りに来てくれたりしました。
今はもうない、パン・アメリカン航空のDC10 でしたね。1ドル300円くらいの頃でした。
会社のニューヨーク事務所に駐在されていた先輩(後に、副社長で、昨年他界され
ました)が迎えてくださって、事務所に入ると、クリスマス前でしたから、部屋に
ツリーが飾られたのどかな雰囲気に、長旅で初めての海外出張に緊張した身に、ホッ
と安らぎを感じた思いがあります。
まあ、今頃とは時代は、完全に変わったのですね。
(gooニュースより)
El Septeto Santiaguero - Los Ejes de mi Carreta