子どもに「数で勝負しろ」と言われたので…(ほんとに辛口な子だ)、もう1本ずつ出せるよう、スケジュールをタイトに作り直した。
よし、次はネコの童話10枚。ネコは飼ったこともないし、種類も習性もぜんぜん知らない。もっとくわしい方がたくさんおられるし…と、出さずにおこうと思ってたけど、日曜日、パラッとアイデアが降ってきた。なんとかこれをカタチにしたい…と、前日、思いついた台詞だけでもと書き出しておいた。規定にあった「ユーモア」ということなら、なかなか叶ってる。とても楽しそう。けれど、一日たって見直しても、話の入り口が見つからない! どこから入っていけばいいのか、まったく思いつかない。中では、主人公たちの楽しそうな話が聞こえる。なのに、入り口が見つからない…。そうだ、外から話しかけようと、何度も主人公たちとの対話を試みるけど、まったく返事が返ってこない。
どうしよう…。でも、きっと何か解決策はあるはず。とりあえず、11時でちょっと早いけど、お昼ご飯にする。朝炊いたカレイの煮つけと、おみそしる、冷ややっこを食べる。ミルでコーヒー豆をひいて、コーヒーを入れる。神棚に手をあわせる。気になってたお風呂場の片づけをする。たまってたアイロンがけをする…。と、やってるうち、別のアイデアのキャラクターが動き出した! 入り口でモゾモゾしている。何も話さないけど、その姿が、なんともいじらしい!
あわてて、パソコンに向かう。この子はおとなしいんで、おばさんに語らせることにした。そしたらまあ、このおばさん、喋る喋る。ほうっとくと、天神橋商店街を歩いてそうなおばちゃんになるんで、何度も軌道修正。次から次へと、せりふが出てくる。自分は何も考えなくていい状況。こんな体験、すっごく久しぶりだなと思う。もしかしたら、数年ぶりかもしれない。沸いてくる台詞をキーボードで打ちながら、どうして、こんなことが起きたんだろう…と考えた。一人でごはんを食べるときでも、いただきますと手を合わせたり、気になることを片づけたり、いろんなことをキチンとすると、降ってくるのかなあ…。
スラスラーッとふしぎな力に引っ張られて、あっというまに9枚。話は、思いもよらない方向に進んだ。や、ややこしいやないかい!!と、おばさんをボコボコにしたくなるほど、迷路のような細い路地に入ってしまった。どうするんよ…。時計を見ると、3時。今日は長女が4時に帰ってくる。でも、その前に、下の二人を迎えに行かないと…。
このまま、しばらく放っておこうか…。でも、今日で1本書き上げると決めてたし…。
まるで、大車輪を終えて、鉄棒にぶらさがってるかんじ。ブランブラン、体をゆらせながら、下にしかれたマットを見る。あー、早く着地したい。でも、着地で、大きく点数が変わってくる。ここで、三回転くらいして、クリンと体をひねり、ジャーンプ、着地、とかっこよく決めたい。そう思うものの、なかなかいいアイデアが浮かばない。ウロウロしたって、浮かばない。結局、三回転はナシで、とても素直に体をのばして、そっと着地した。
ひねれなかったけど…、めずらしく、静かな着地。
わたしらしくない作品になった。ユーモアも笑いもない。もっと明るく元気なお話になるはずだったのに、とても静かな作品になった。
これで、いいんだろうか…と思うものの、今までにないトーンで書けたのが、ちょっとだけうれしかった。
子どもたちには、見せないでおこうと思った。ちょっとまじめで繊細なこのお話、娘に聞かせるのは、気恥ずかしい。「ママの書くお話は、あほなことばっかり!」って思われてるほうが、気楽かも。うんうん、誰にも見せず、そっと応募しよう。そう心に誓った。
が…、わたしの誓いは、禁酒宣言ほどに、もろくも崩れた。
晩ご飯の前に、長女が「読んでいい?」と言ってきた。こんなことばにさえ、ドキッ!と反応する。長女が言うのは、本読みのこと。「うん、いいよ」と返事をすると、長女が読み始めた。どうしよう、便乗して、作品聞いてもらおうか。三女も横でお絵描きしてることやし、二人に聞いてもらえるチャンスやし…。読んでいい?ってサラリと言おうか…と、ぜんぜん聞いてないうちに、本読みが終わった。「よ、よ、読んでいい?」思い切って、言ってみる。「何を?」「今日、ママが作ったお話」「うん、いいよ。宿題やりながらでもいい?」「・・・・・」くやしいけど、仕方ない。三女も「聞いたる!」と言うんで、さっそく読み始めた。
読み終わって、おそるおそる、長女にたずねる。「どうやった?」
ニマッと笑って、うなずく長女。「おもしろい!」「え?え?え?ほんまにぃ!?」
「うん、おもしろかった」横から三女も、「おもちろかった~」
ヤッター!! 気分は春団次。酒や酒やぁ、酒持ってこぉーい!!
あー、久しぶりに美味しいビールを飲んだ。最後まで、書き上げて、本当によかった。
今日の涙は、うれし泣き。ビールの缶が、にじんで見えた。
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