読み掛けのままになっていた単行本を開いた。
葉室麟「川あかり」
ときどき、咳き込みながらも休みやすみどうにか読み切った。
(それほどの長編ではないのですが、集中力、読解力が落ちているのか
ときどき、数行さかのぼって読み返すこともあり)
葉室麟の著書は「蜩の記」に次いで二冊目。
読み終えると、日常の暮らしの中でドロドロしたもの、心根にくっついてしまった
澱んだものをサァーと洗い流してくれる、そんな力がある。
時代小説が大好きだ。ヒーローものは好きではないが、
本棚には「藤沢周平」の単行本が相当な幅を占めている。
他に、「司馬遼太郎」「高田郁みをつくしシリーズ」「山本一力」「和田はつ子」
「川あかり」文中から
「七十郎さん、川明かりって知っていますか」
「川明かり?知りません」
「もうじき川明かりが見えます。日が暮れて、あたりが暗くなっても川は白く輝いているんです。ほらーー」
おさとの言葉通りだった。
空は菫色で雲はまだ薄紫に染まっているが、山裾から川岸にかけて薄闇に覆われていた。だが、墨を塗った
かのような景色の中に、蛇行する川だけがほのかに白く浮き出ている。
小波が銀色に輝き、生きているようにゆったりと流れていた。川そのものが光を放っているかのようである。
(まるで、黄泉の国を流れているいのちの川だ)
横の土手をあやどったホオズキ、今は玄関をあやどる
葉室麟「川あかり」
ときどき、咳き込みながらも休みやすみどうにか読み切った。
(それほどの長編ではないのですが、集中力、読解力が落ちているのか
ときどき、数行さかのぼって読み返すこともあり)
葉室麟の著書は「蜩の記」に次いで二冊目。
読み終えると、日常の暮らしの中でドロドロしたもの、心根にくっついてしまった
澱んだものをサァーと洗い流してくれる、そんな力がある。
時代小説が大好きだ。ヒーローものは好きではないが、
本棚には「藤沢周平」の単行本が相当な幅を占めている。
他に、「司馬遼太郎」「高田郁みをつくしシリーズ」「山本一力」「和田はつ子」
「川あかり」文中から
「七十郎さん、川明かりって知っていますか」
「川明かり?知りません」
「もうじき川明かりが見えます。日が暮れて、あたりが暗くなっても川は白く輝いているんです。ほらーー」
おさとの言葉通りだった。
空は菫色で雲はまだ薄紫に染まっているが、山裾から川岸にかけて薄闇に覆われていた。だが、墨を塗った
かのような景色の中に、蛇行する川だけがほのかに白く浮き出ている。
小波が銀色に輝き、生きているようにゆったりと流れていた。川そのものが光を放っているかのようである。
(まるで、黄泉の国を流れているいのちの川だ)
横の土手をあやどったホオズキ、今は玄関をあやどる