昭和天皇裕仁は昭和20(1945)年9月、栃木県日光に疎開中の皇子明仁(現上皇)に手紙で、『今時大戦(太平洋戦争)について一言言わせて欲しい』と綴った。
その方式は不破哲三氏が委員長になる前からであり、50年以上前に叔父から、「高校生に成ったら本紙を読め」と言われ、それまで日曜版読者だった我が家は日刊紙もとるようになり、私が19歳で親元を離れて暮らし始めると、電話回線より早く赤旗日刊紙が入りはじめていた。
志位和夫氏の「委員長が長すぎる」「党首公選」等言ったところで、65年間「機関紙拡大」を言い続けてきたのだ。共産党として何をすべきなのかを分かる党幹部はいない。
日本共産党のやっていることが恐ろしすぎて有権者は目が点に…元幹部は「究極の無責任集団。終わりの始まり」
ソ連の大粛清を思い出した人も多かったのではないか──。神戸新聞NEXTは6月7日、「共産党が兵庫・南あわじ市議の蛭子氏を除籍 『党内民主主義は終わっている』などと発信」との記事を配信した。共産党は今年に入り、相次いで2人の党員に除名処分を下しており、さらなる3人目の“放逐”は異常な状態と言っても過言ではない。
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大粛清(1930~1939年)を確認しておくと、ソ連の最高指導者ヨシフ・スターリン(1878~1953)による大規模な政治弾圧を指す。一説によると、反政府主義者などのレッテルを貼られた100万人が処刑され、1200万人が獄死したという。
本題に戻ると、南あわじ市は兵庫県にある淡路島の最南端に位置している。そして共産党に除籍された市議とは蛭子智彦氏(65)。2021年11月に行われた市議選では5期目の当選を果たしたベテラン議員だ。
公式Twitterのプロフィール欄には《共産党を除籍されたた南あわじ市の市会議員です》と書かれている。まずは除籍に至る経緯を、神戸新聞の報道と蛭子氏のTwitterの投稿を元に見てみよう。
【1】蛭子氏はSNSで「党の閉鎖的で独善的なイメージを打ち破るには綱領を大きく変え、地道に活動するしかない」「党内民主主義は終わっている」などと発信していた。
【2】4月には別の共産市議との2人会派を解散し、5月下旬に自ら離党届を提出した。
【3】同党淡路地区委員会の「処理確定書」によると、6月2日に罷免処分と除籍措置を決定し、3日に兵庫県常任委員会が承認した。
【4】委員会は市議の辞職も求めたが、蛭子氏は《課題の残る地域のため》拒否した。
批判を許さない共産党
蛭子氏のTwitterを閲覧すると、その主張の鋭さに驚かされる。“身を切るような想い”で投稿しているのだろう。担当記者が言う。
「長年にわたって活動を続けてきたベテランだからこそ書けるツイートであることは言うまでもありません。しかも蛭子さんは、共産党を潰せと主張しているわけではなく、党の現状を憂い、党の改革案を提示しただけです。共産党を立て直そうと考えての行動であるのは明らかであり、これを断罪したのですから世論は納得しないでしょう。自民党でも維新の会でも、まさか党を批判して除籍になるなんてことはあり得ません」
ここで蛭子氏のツイートをご覧いただこう。紙幅の関係で残念ながら3つしか引用できないが、共産党の抱える問題から逃げず、真摯に向き合っていることが分かる。
《共産党はどの党よりも民主的と信じてきました。しかし長い時間党と過ごして信じる心がボロボロと壊れていく苦しみに今あります。心が壊れていく苦しさ、信じていたものが壊れていく苦しさ、それをわかってくれる党員仲間がいる事も事実です》
《民主集中制をやめ党首公選を導入し、国連が機能しない限り、自衛隊と安保を容認する、政党助成金も受け取る。この改革をしてもなお党が伸びないなら、党はなくなるかもしれない》
《民主集中制擁護、党首公選否定の志位理論を捨てて、困っている人の解決に全力で取り組む原点を大切にする。その成果が志位委員長の地位保全に繋がらないよう、即座の退陣を求める事、これが緊急に必要です》
民主主義とは無縁の共産党
民主集中制とは、共産主義政党や社会主義国家で見られる組織原理であり、平たく言えば「上の機関が決めたことを、下のメンバーは無条件に従え」というルールだ。
上に逆らう蛭子氏が党を追い出されるのは、民主集中制を信じる共産党員なら常識の範囲内かもしれない。
とはいえ、日本共産党トップ(中央委員会幹部会委員長)の志位和夫氏(68)を批判すると、党公認の政治家であっても追い出されるのだ。非党員である一般市民からは、非常識な組織にしか見えないだろう。
本稿の冒頭で、党員の“放逐”は今年に入り3例目と紹介した。大きく報道されたのでご存知の方も多いだろうが、ここで前2例の処分について簡単に振り返っておこう。
今年1月、ベテラン党員の松竹伸幸氏が『シン・日本共産党宣言』(文春新書)を上梓。党首公選制を主張したことなどが問題視され、共産党は2月に松竹氏を除名処分とした。
同じく1月に元京都府委常任委員の鈴木元氏が『志位和夫委員長への手紙』(かもがわ出版)を上梓。同書で志位委員長の辞任を求めたことなどから、共産党は3月に鈴木氏を除名処分とした。
共産党に言論の自由はない。“志位独裁制”の象徴だ──と感じた人も多かっただろう。
中央委員会の十字架
元参議院議員で共産党のナンバー4にあたる政策委員長を務め、2005年に離党した筆坂秀世氏は「相次ぐ批判に、共産党の上層部は真っ青になっているのではないでしょうか」と指摘する。
「上層部としては松竹、鈴木、蛭子の3氏を党から追い出し、自分たちの正当性を必死になって主張したいのでしょう。しかし、3氏とも除名や除籍されたところで痛くも痒くもなさそうです。むしろ精力的な発言を続け、世論も応援しています。一方の共産党は3氏を“粛清”しても、党の求心力が増したわけではありません。むしろリベラルな有権者やメディアからも激しく批判されています。何のことはありません、党は3氏を粛清したつもりなのでしょうが、逆に3氏から党が粛清されてしまったようなものです」
共産党のトップは志位氏だが、党委員長の前任者であり今も常任幹部会のメンバーである不破哲三氏(93)の影響力も大きいと言われている。もちろん筆坂氏は志位・不破両氏の責任は重いと考えているが、党中央委員会の委員が負うべき責任はそれ以上に重いと指摘する。
「委員は約200人です。全員に党から給料が出ています。党運営に大きな責任を持っているにもかかわらず、誰も自分の頭では考えていません。志位・不破両氏の方針に追随するだけで、究極の無責任集団です。トップが『党員と赤旗の購読者を増やせ』と無茶な方針を決めると、委員はそれを下に命じるだけであり、現場が血を吐くような苦労を重ねてもお構いなしです。中央委員会が責任を取って解散しない限り、共産党に未来はありません」(同・筆坂氏)
総選挙惨敗の可能性
TBS NEWS DIGは6月8日、「吹きやまぬ“解散風”に麻生副総裁は苦言『解散の大義を教えていただければ』 国会の会期末が迫る中、解散めぐる発言相次ぐ」の記事を配信し、YAHOO!ニュースのトピックスに転載された。
他のメディアも衆議院の解散・総選挙の可能性を精力的に報じており、「今年の年末に解散する可能性が高い」と分析した識者もいる。
極めて当たり前のことだが、衆議院が解散となれば、共産党も総選挙に挑まなければならない。だが、これほど血も涙もない“粛清”を繰り返すような政党が、果たして有権者の信頼を勝ち取り、選挙に勝利することができるのだろうか──?
「総選挙が今年であれ来年であれ、厳しい結果に終わる可能性は高いでしょう。3氏の放逐問題が有権者を呆れさせた面もありますが、何より共産党の党勢は退潮に退潮を重ねています。駅前などで共産党の候補者が街頭演説を行うと、候補者も関係者も誰もが高齢です。共産党の幟、それを立てる棒にしがみつくようにしている老いた関係者の姿も珍しくありません。こうした光景を目にした有権者が、共産党に未来があると思うはずもないでしょう。政権批判票の受け皿になるとかならないとか、それ以前の問題です」(同・筆坂氏)
統一地方選の二の舞
蛭子氏はJCASTニュースの取材に応じ、《党の力がじりじりと落ちていっている。見渡せば老人ホームなのではないか、という状況になっている》と共産党の現状を指摘している(註)。
「統一地方選でも共産党は敗れました。敗因は党中央の掲げた主張が間違っていたからです。何しろ“大軍拡反対”と“憲法を守れ”の2つで、地方自治とは何の関係もありません。国政選挙なら主張することも可能ですが、そんなことをすれば統一地方選の二の舞です。物価高と実質賃金の低下、社会保障費の増額に苦しんでいる有権者に響く主張ではありません。本来なら党執行部は統一地方選における敗因を総括し、自分たちの責任を認めなければなりません。しかし、事実は逆で、いたずらに除名や除籍を乱発するだけです。これで党勢復活など、夢のまた夢でしょう」(同・筆坂氏)
註:共産党除名の2人に「同調して党綱領・規約を全面否定」で除籍 市議本人「異論言っても上で封殺」(6月7日配信)
デイリー新潮編集部
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