クドカン(宮藤官九郎)はかなり好きな脚本家です。
好きなので、DVDは”買う派”です。TVでも”ほぼ”観ますが、1回観ただけではわからない(小ネタもそうですが、セリフまわしが早い!)ので、DVDで、『字幕』を付けて観るのが私には最高なのです。
で、「我輩は主婦である」は昼ドラということもあって、結構まったり楽しめたんですが、この「タイガー&ドラゴン」(この仕事でさすがのクドカンも燃え尽き症候群に陥ったらしい)は、”落語”を題材にしており、言っちゃーなんですが、私はそちらの知識、ほぼゼロでございます。
「粋な江戸っ子」ではありません。CDでいくつか聞いたことがある程度で、正直、
これは敷居が高いな~(困)
と思い込んでしまい、DVDがずっとお寝んねしておりました。
でもでも、そんなこと言ってたら人生終わっちゃうじゃん!と思い、意を決して最初から全部、じっくり見直しました。
感想は言うまでもなく……面白すぎる!!
改めてクドカンは天才だ!と実感しました。独りよがりのオタクでもなく、絶妙な感性を
”噛み砕いて大衆に伝えることが出来る”稀有な人だと認めざるを得ません。
構造が「淋しいのはお前だけじゃない」の本歌取りで、かつ、毎回毎回、きれいに落語の本歌取りを決めてくれます。
複雑にメタな構造を張り巡らして、ベタなヒューマンドラマで泣かす。奇跡のような作品ですね。(というわけで「淋しいのは~」を今、もう一度観直しております)
ついでに言うなら、これをTVで観て「わ~面白い、このドラマ!」と素直に思った人たちってすごい。視聴者さんたちの感性にも感動です。本当に脱帽!
──てな思いを込めて、”「T&D」をじっくり観た記念”にこの記事を書きます。
未見の方の参考になれば幸いです。
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【とどのつまり「タイガー&ドラゴン」って何?】
TBS系列で放映された、落語をモチーフにしたテレビドラマ。
まず05年1月9日に2時間の単発SPドラマとして放映。その後続編という形で連続ドラマ化され、同年4月15日から6月24日まで金曜ドラマ枠で制作・放映された。
タイトルはオープニングテーマとして用いられているクレイジーケンバンドの楽曲「タイガー&ドラゴン」に由来。また当ドラマに登場する2人の主人公、「虎児」(小虎)と「竜二」(小竜)にも掛かっている。
【どんな内容?】
子供の頃に両親が借金を苦に自殺し「笑い」を忘れてしまったヤクザの山崎虎児(長瀬)は、ひょんなことから浅草で落語家の林屋亭どん兵衛の高座を聞いて感動し、必死の思いで弟子入りを志願。
どん兵衛は虎児が属する新宿流星会の組長から400万円の借金をしていた。そこで虎児は、噺をひとつ習得するごとに10万円の「授業料」(ドラマの途中から20万円に値上げ)をどん兵衛に支払い、それをそのまま「返済金」として虎児に支払うという奇妙な契約をどん兵衛と交わす。
こうして林屋亭門下「林屋亭小虎」として落語の修業を積んでゆくこととなった虎児。だが根っからのヤクザである虎児に笑いのセンスは全く無く、困っているところに、かつて「落語の天才」だった裏原宿でダサくて売れない洋服店「ドラゴンソーダ」を立ち上げて店主となっているどん兵衛の次男・竜二(岡田)と出会うことに…。
ドラマは古典落語の演目を下敷きにした一話完結の形式で進行。まずドラマの前半部分で、本編ストーリーの題材となる演目をどん兵衛が寄席の高座で演じ、更に落語の噺の中で時代劇で再現し落語の内容を分かりやすくし、後半部分で小虎が同じ演目をストーリーとリンクした形にアレンジして演じて締めるのが”お約束”。
【キャストは誰?】
●メイン●
・山崎虎児 - 長瀬智也(TOKIO)
高座名は林屋亭小虎。歌舞伎町一”冗談が通じないヤクザ”だったが、どん兵衛に弟子入りしてからは笑いの道を突き進む。どん兵衛の借金が完済されるまでヤクザを辞めることが出来ないため、「昼は噺家、夜はヤクザ」という二重生活を送る。
口唇を舌で嘗め回す癖があり、驚いた時の「ブッフォ!」が口癖。どん太に教えてもらった「タイガータイガーじれっタイガー」を持ちネタにし、高座でつかみとして観客に披露。とことん不器用だが根は真っ直ぐな性格。高座に上がる際の出囃子は「仁義なき戦い」。
・谷中竜二 - 岡田准一(V6)
どん兵衛の次男。幼少の頃から落語の天才といわれ、中学卒業後にどん兵衛に弟子入りし落語一筋で将来を嘱望されていたが、とある事情により噺家(高座名は林屋亭小竜)を廃業し、もう一つの夢であった洋服屋を原宿で営む。
しかし彼好みの服(ファスナーやメッシュ、オリジナルデザインの「ウラハラドラゴン」など)がダサすぎて全く売れず、超・経営難。廃業した後も噺家の頃の癖が抜けず、普段の会話の中にも「笑い」を追及してしまう。出囃子は「摩訶不思議アドベンチャー」(アニメ・ドラゴンボールの主題歌)。
・メグミ - 伊東美咲
皆が惚れてしまうほどの美女で、本人が無意識のうちにもたくさんの男を振り回す魔性の女。「三枚起請」の回ではキャバクラ嬢だったが、連続ドラマでははとバスのガイドに転職した。性格は天然キャラで思ったことをズバズバ言うタイプ。長く、美しい脚を持っており、作中では脚の長さを例える言葉に「タラバガニ」が用いられた。タイトルコールに出た際の出囃子は「魔女っ娘メグちゃん」。
・林屋亭どん兵衛 - 西田敏行
前座の頃から古典落語一筋の昔気質な噺家で大御所ではあるが新宿流星会に「ドラゴンソーダ」の開店資金である400万円の借金をしており、その縁で虎児と出会う。以降、虎児とは「師匠と弟子」でありながら「債務者と債権者」という奇妙な関係。日を追うごとに虎児とは親子にも似た絆を持つようになり、彼を家族の一員のように思うまでになる。本名は谷中正吉。明慶大学落語研究会出身。出囃子は「吉原雀」。
●新宿流星会●
・組長 - 笑福亭鶴瓶
本名、中谷謙。昔気質のヤクザ家業で人情に厚く泣き上戸で、部下にヨイショされると騙されてしまう性格。怒るとかなり迫力があるが、息子の銀次郎、娘の静には甘い。3年前に妻と死別し、独身。どん兵衛とは大学時代からの長い付き合いでゴルフ仲間だが、犬猿の仲。出囃子は「新ラッパ」(笑福亭鶴瓶が使用している出囃子でもある)。
・中谷銀次郎 - 塚本高史
虎児の舎弟で組長の息子。大学4年生。谷中竜二とは幼馴染みだが、どん兵衛と組長と同様に犬猿の仲。虎児に憧れており、いつもスカジャンにリーゼントという服装。新宿流星会の跡取りとして将来が決まっている為に苦悩し、やや引きこもり気味。出囃子は「男の勲章」。携帯の着メロは「マツケンサンバ」。
・日向 - 宅間孝行
新宿流星会若頭で虎児の兄貴分。天涯孤独の身であった虎児をヤクザにスカウトした。普段はクスリとも笑わない堅物だが、ギャル文字を好んだり、たまに「~だもん」など可愛い言葉遣いをする。
●林屋亭一門とその家族●
・谷中小百合 - 銀粉蝶
どん兵衛の愛妻。どん兵衛からは「サユリちゃん」と呼ばれている。揉め事が嫌いで、親子喧嘩や兄弟喧嘩を見ると泣いてしまう。著名な講談家の娘で、自身は小唄の師匠。
・林屋亭どん太 - 阿部サダヲ
本名、谷中竜平。どん兵衛の長男で竜二とは10歳も年が離れている兄。小噺しか出来ない為、テレビのバラエティ番組で上島竜兵や出川哲朗のような「リアクション芸人」として活動し、仕事は選ばない。とある雑誌の「抱かれたくないタレント」で、出川哲朗を抜きナンバーワンとなり悩む。アフロが特徴だが、実はカツラ。林屋亭一門の若手中心に結成された「OH!喜利喜利ボーイズ」のリーダー。2児の父で、出囃子は「どんぐりころころ」。
・谷中鶴子 - 猫背椿
どん太の妻。かつては「泣いて国際通りII」という曲で大ヒットを飛ばした売れっ子演歌歌手として活動していた。
・林屋亭どん吉 - 春風亭昇太
30歳の時に山手線職員から脱サラして林屋亭一門に入門。入門から10年でどん太より先に真打ちに昇進した。生真面目でマザコン、近所に住む3人の姉の影響で下ネタ嫌い&女性恐怖症。出囃子は「デイビークロケット」(春風亭昇太が使用している出囃子でもある)。
・林屋亭どんつく - 星野源
・林屋亭どんぶり - 深水元基
共にどん兵衛の弟子。あまり目立たない。
・林屋亭うどん - 浅利陽介
林屋亭一番の若手でまだ未成年。高座名の名付け親がどん兵衛の筈なのにいつまでたっても名前を覚えてもらえない。
●その他の人々●
・リサ - 蒼井優
竜二の店「ドラゴンソーダ」で働くアルバイト。いつも店長のファッションセンスのなさに呆れ、店長の竜二と口論が絶えない。男にのめり込みやすく、酒癖が悪い。銀次郎に一目惚れ。
・チビT - 桐谷健太
本名、タケシ。竜二の友人。「ドラゴンソーダ」の近所にある中古レコード屋の店主で、夜はクラブでDJをしている。竜二・劉さんに青山にある彼の下宿のアパートの部屋の押し入れを貸し、家賃を取っている。
・淡島ゆきお - 荒川良々
高座名はジャンプ亭ジャンプ。アマチュア落語のチャンピオンという経歴の落語マニアで、自分の芸に絶対的な自信を持つ。のちに「CLUB YO-SE」というクラブイベントを主催。
・辰夫 - 尾美としのり
そば屋「そば辰」の主人。どん兵衛のファンで、寄席がある時には店を必ず休むほどの熱の入れよう。メグミに惚れたことがある。出囃子は「箱根八里の半次郎」。
・半蔵 - 半海一晃
おでん屋台「半蔵」の主人。浅草寺宝蔵門の前で店を出している。辰夫と同じくどん兵衛のファン。
・刈谷 - 廣石恵一(クレイジーケンバンド)
会社をリストラされ、新宿流星会から借金をし虎児と銀次郎から借金を追い立てられるが、虎児の厚意で浅草演芸ホールの掃除夫となり、そこで借金を返すことに。
・劉さん - 河本準一(次長課長)
チビTの部屋(正確には竜二が住んでいる押入れの下の段)に下宿する中国人留学生。カタコトの日本語を話す。
●ゲスト●「★」以降は登場した回
・デス・キヨシ - ヒロシ★「三枚起請」の回、「猫の皿」の回
人気ハードロックバンド「デス・ロマンティック」のボーカルだったが、脱退して五十六電気という会社で電気工になった。
・輝比弧 - HAYATO★「三枚起請」の回
時々K-1にも出ているキックボクサー。メグミに惚れ、タトゥーを入れてしまった一人。
・田辺ヤスオ - 北村一輝★「三枚起請」の回、「粗忽長屋」の回、「子は鎹」の回
新宿流星会に追われて東京を追放されたヤクザ。メグミに惚れた過去あり。のちに目黒ウルフ商会へ転がり込む。
・BOSS片岡 - 大森南朋★「茶の湯」の回
「原宿ストリートファッションの神様」といわれるトータルプロデューサー。多くのファッションブランドやイベントのプロデュースを手がけ、「コラボレーション」という言葉の生みの親ではないかと原宿では言われている。「ヤバい」「キテる」が口癖。
・高田亭馬場彦 - 高田文夫★「茶の湯」の回、「猫の皿」の回、「品川心中」の回、「子は鎹」の回
ヨイショが得意な噺家。己の弟子ですら褒めちぎってしまうため、「褒め殺しの馬場彦」の異名を持つ。のちにジャンプ亭ジャンプが門下に入る。
・水越小春 - 森下愛子★「権助提灯」の回、「子は鎹」の回
どん兵衛と組長が30年前の大学時代に在籍していた落語研究会のマドンナ。ドラマ内での大学時代の再現パートでは小春を伊東美咲、どん兵衛は岡田准一、組長を長瀬智也が演じている。
・上方まるお・まりも - 古田新太(まるお)・清水ミチコ(まりも)★「厩火事」の回
上方の夫婦漫才師。いわゆる「ドツキ漫才」で人気を博していた。寄席で彼らの漫才を見た虎児がその芸に惚れ込み、自発的に2人の売り込みをした。まるおは元ボクサーで三度も酒に酔い暴力事件を起こして服役していた。まりもは小百合の小唄の弟子であり、その縁もあってどん兵衛夫妻が2人の仲人をした。
・白石克子 - 薬師丸ひろ子★「明烏」の回
35歳独身の「負け組」女。浪費癖のため多額の借金をし、新宿流星会から追い込みをかけられる。インターネットが趣味で、ブログに自分の情報を公開。克子が登場する「明烏」の回のオープニングで高座に立っているが、その時の出囃子は薬師丸ひろ子の「セーラー服と機関銃」。
・柳亭小しん - 小日向文世★「猫の皿」の回
落語芸能協会(架空の団体)の会長。古典落語の伝統を重んじる保守派。人情噺を得意とする。新しいモノについて絶対に認めない為に、改革派の高田亭馬場彦と方針が対立。「猫の皿」の回のオープニングで高座に上がった時の出囃子は「野崎」。
・金子準 - 高岡蒼佑★「出来心」の回
警察官。銀次郎の幼馴染み。退屈な毎日に嫌気がさし、Vシネマのような刺激的な出来事に憧れている。非番の時は「ドラゴンソーダ」の服をこよなく愛する。
●目黒ウルフ商会●
・梶力夫 - 橋本じゅん★「粗忽長屋」の回、「品川心中」の回、「子は鎹」の回
目黒ウルフ商会会長。かつて新宿流星会組長の舎弟で関西に進出したが結局は東京に戻って勢力を伸ばしている。
・哲也 - 猪野学★「粗忽長屋」の回
ウルフ商会構成員。口癖は「かしこまりっ」。舎弟の泰次に対し強く当たり、名前も間違えて呼んでいる。
・泰次 - 少路勇介★「粗忽長屋」の回
ウルフ商会構成員。哲也の舎弟。力夫からは「幽霊」と呼ばれている。
【題材になった落語は何?】
スペシャル・・・三枚起請(さんまいきしょう)
第1話・・・芝浜(しばはま)
第2話・・・饅頭怖い(まんじゅうこわい)
第3話・・・茶の湯(ちゃのゆ)
第4話・・・権助提灯(ごんすけちょうちん)
第5話・・・厩火事(うまやかじ)
第6話・・・明烏(あけがらす)
第7話・・・猫の皿(ねこのさら)
第8話・・・出来心(できごころ)
第9話・・・粗忽長屋(そこつながや)
第10話・・・品川心中(しながわしんじゅう)
第11話・・・子は鎹(こはかすがい)
───という具合です。個人的には『厩火事』が好きだな~。
さげも良かったし、最後はボロ泣きです。
『粗忽長屋』からはちょっとバイオレンスありで、終りが近いこともあり、寂しさが募ったかも…(^_^;)
落語に興味がある人もない人も、普通のドラマとして充分楽しめますので、ぜひ機会があったら観てみてくださいね♪
BOXの特典映像で、クドカンのロングインタビューが収録されていますが、これは聴き応えあり!制作発表記者会見のノーカット・バージョンも貴重映像です。
(※DVD-BOXと「三枚起請」は別ですので、お間違いなくm(__)m)
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上手い事落語の噺を取り入れてますからね。
西田敏行・岡田准一・長瀬智也がみんな落語が上手かったのも良かったです。
本当に筋が良いので、本格的にやってほしいとすら思いましたね。
(西田さんは後日、大阪でやられましたが)
あとで得点映像見て知ったんですが…。
なので、「わからない人にわかってもらう」のが前提だったそうです。
「淋しいのは~」も主演が西田さんで、その筋からキャスティングされたのかな~なんて思いました。
岡田君は「ダサい」服しかつくれない役なんですよ。
クドカンが
『本当はホストにしたかったけど岡田くんは格好いいからわざと格好悪い役柄にした』と言ってました(^_^;)
タイガー&ドラゴンははまりましたね。New Yorkに住んでいた時にビデオを借りてきて見ましたよ。
「三枚起請の回」はDVD購入したのですが、連続ドラマは買いませんんでした。
話が重層的に作られていて、笑いの奥が深かったですね。
そうそう、上のコメントにあるように、岡田君の格好悪さが受けました(笑)
そして長瀬君のだんだん落語が上達していく様子がすばらしかったですね。
役者さんでは塚本君は男前だし(でもかわいい)、阿部サダヲは面白いし、北村一輝の個性的で濃いところも好きでした。(もちろん西田さんがうまくてすごい!)
ハム以外にも同じ好みのものがあってビックリしております。
じれったいのはハム打線と言うことで・・・(笑)
座布団一枚!!(苦笑)
良かったですよね。これは落語を知らない人が見たら
きっとそそられるドラマだろうと思います。
北村一輝の声が甲高いのにちょっと驚きましたw
ゲストも毎回豪華ですね~。ヤバイ、観たいぞ!
こういうの、毎日の帯放送じゃなくて縦に一挙再放送とかしてくれないかな?
DVDを買う余裕はないし、WOWOWにしてからはレンタルは諦めることにしたので、つらいところです。
最近私はDVDはBOX買いしてるんですよ。
お金ない!って騒いでるのにおかしいでしょ?
答えは簡単!
またすぐアマゾンに出品すればいいんです。
差額はそんなに開かないし、アマゾンの「ユーズド」出品は便利ですよ♪
(作業がメッチャ簡単です)