【蟹バリズムの映画イズム】

蟹バリズムと申します。見やすい!わかりやすい!をテーマに映画ライターを目指して活動しています。

『炭素クレジットの実態』(2023年) 【ドキュメンタリー映画紹介】

2024年01月25日 12時51分53秒 | ドキュメンタリー映画

こんにちは蟹バリズムです。

今回紹介するのは炭素クレジットの実態です。

ジャンルはドキュメンタリーとなっております。


【上映時間】

46分


【制作国】

撮影地:オーストラリア、パプアニューギニア
製作国:オーストラリア

【監督・脚本・キャスト】

 
取材:スティーブン・ロング
製作:マックス・マーチ
リサーチ:メグナ・バリ
編集:サイモン・ブリンジョルフッセン
撮影:ルイ・エロール

【映画祭受賞歴】

なし

【あらすじ】

森林の炭素吸収量を資産として取引するビジネス「炭素クレジット」の実態に迫る作品。米国の企業が、パプアニューギニアで展開しているこの事業は、森で暮らす住民の収入となり、種の多様性を守り、気候変動を抑止するという3つのメリットを訴える。購入者の多くは、隣国オーストラリアの企業だ。しかし事業開始から何年経っても、住民に経済的恩恵は与えられず、学校運営さえもできない。企業は、無知な住民に不利な契約を結ばせ、不当に利益を得ていた。一方で、炭素クレジットの対象区域内で森林伐採を行い、森の破壊を進める。「炭素市場が気候変動を加速させる危険がある」と気候ディレクターは警鐘を鳴らす。環境ビジネスの闇がここにある。


【背景】

◆不透明な取引や住民への詐欺的な行為も横行◆
「炭素クレジット」は、森林の保護や植林、省エネルギー機器導入などを行うことで生まれた二酸化炭素などの温室効果ガスの削減効果を、企業がクレジット(排出権)として発行し、他の企業・団体との間で取引できるようにする仕組みです。化石燃料に頼る産業では、炭素クレジットを購入することで、自社の温室効果ガス排出量と相殺することができ、今後も成長が見込める市場と言われています。一方で、クレジットの真の権利者が誰なのか、事業者の報告や認証が虚偽だった場合の処理などのルールが明確に定まっていない場合もあります。安定性を欠いた取引に対して、国際的に改善の動きが見られます。

【ネタバレなし感想】

「炭素クレジット」という取り組みは、二酸化炭素などの温室効果ガスの削減を減らしていくことが目的である。

しかしパプアニューギニアでは識字率が低く経済的に豊かではないため、弁護士を挟まず口頭で説明して住民に不利な契約を結ばせた。

こういう事業が増えてしまうと、本来温室効果ガスの削減が目的であるはずの「炭素クレジット」が、逆に気候変動を加速させてしまう危険がある。

そんな悪徳事業を、深く掘っていくドキュメンタリー映画。

日本で生活していると身近に感じないことではあるが、「地球温暖化」という面では間接的なつながりがある。

環境ビジネスの闇がたっぷり詰まった作品。


『リサイクルの幻想』(2021年) 【ドキュメンタリー映画紹介】

2024年01月25日 11時23分11秒 | ドキュメンタリー映画

こんにちは蟹バリズムです。

今回紹介するのはリサイクルの幻想です。

ジャンルはドキュメンタリーとなっております。


【上映時間】

46分


【制作国】

撮影地:ドイツ、デンマーク、トルコ、イギリス、ブルガリア
製作国:ドイツ

【監督・脚本・キャスト】

監督:トム・コステロ、ベネディクト・ヴェルムター
製作総指揮:メッテ・ホフマン・マイヤー
製作:トリスタン・シトロシェック
編集:カルロッタ・キッテル、ルーン・シュバイツァー
ナレーション:アリス・サイクス
撮影:フィリップ・マイゼ、ヨハネス・プラウズ
音楽:ニルス・カツィレック

【各国映画賞受賞歴】

2023年 UNAFF(国連協会映画祭)

2023年 オール・リビング・シングス環境映画祭


【あらすじ】

「リサイクル率100%」のプラスチック製品の行方を追ったドキュメンタリー。1990年代にドイツで始まった「ゴミの再資源化」キャンペーンは、瞬く間に西欧各国に広がった。しかし30年後の今、回収されたプラスチックゴミの大半は、焼却されて熱エネルギーに変わる。回収、分別、焼却にかかるコストは、税金や商品価格への上乗せでまかなわれている。かつてゴミを送りつけた中国は、2018年に廃プラスチックの輸入を禁止。現在は欧州最貧国のブルガリアの他、世界中の発展途上国に輸出している。「資源循環」を謳いながら、実態はわずか数%のリサイクル。「完全リサイクル」を信じて商品を購入する消費者への、裏切り行為が蔓延している。


【背景】

◆「グリーンウォッシュ」は消費者への裏切り◆

環境に配慮していると見せかけて、実際には何もしていない商品やサービス、企業に対して「グリーンウォッシュ」という言葉が使われます。環境やエコのイメージを想起する「グリーン」と、ごまかしを意味する「ホワイトウォッシュ」を組み合わせた造語です。欧州委員会が2020に調査したところ、企業サイトの42%で「自社の取り組みはグリーンである」との主張が、誇張、虚偽、または欺瞞的であることが判明しました。

先進国は、自国のゴミのほとんどを、数十年にわたり中国に輸出していました。2018年に中国がプラスチックごみの受け入れを禁止して以降は、アフリカへのゴミ輸出量が4倍に膨れ上がりました。プラスチックごみの輸出先が、次の「途上国」に切り替わっただけで、何の解決にもなっていません。

 


【ネタバレなし感想】

最近よく見かけるリサイクル率100%という文字。

実は、回収されたプラスチックの大半は焼却されて熱エネルギーになってしまう。

これらは消費者への裏切りとなる。

そんなプラスチックの行方をおったドキュメンタリー。

リサイクル会社に問い詰めに行ったり、「リサイクル率100%」という言葉を信じてリサイクルしてる人にインタビューしたりと、かなり突っ込んだ作品

今まで知らなかったリサイクルの裏側の世界へようこそ。