と思う気持ちなんて駅員さんは仕事だから関係ない。
「ここは駅の土地だからだめです。片付けて」
「え~?重い荷物でやっと用意したのにだめですか?」
「だめです。早く片付けて」
私はふてくされた中学生のようにすごすごと片付け始めたのだけど
もう一度よぎる「なんで東京からここまで来たのだったっけ」という疑問
歌を届けないと意味がない。と思いふと気づいた駅員の「ここはだめ」という言葉。
ここが駅の土地なら、10M先のロータリーはどうなんだろうと聞いてみると、
「そこはうちの土地ではないので注意できません」と言うではないか
ではそこまで移動しよう。
と重い機材をまたえっちらこっちら運んでいたらその一部始終をずっと見ていたホームレスのおじさんがいた。
「なんだか君頑張ってるね~。」と話しかけてきた。
「はい。東京から来てるんです。」ひとっこ一人周りに知っている人がいない何日間を送っていたので、
自分という存在に話しかけてくれる人が恋しくて、嬉しくて聞いてもいないことをぺらぺらと話していた。
「がんばるね~。じゃぁこれあげるよ。」とポンっと投げてくれたのは
おじさんの大切にしていた今日の夜食だった。
気持ちが嬉しくてありがたく頂戴した。
15分かけてさっきとあまり変わらない場所に設置し、ようやく演奏を始めようとしたころ、
さっきのホームレスのおじさんは仲間を集めてくれて
アリーナを10人くらい陣とって楽しげに待ってくれていた。
(まさか、他にも人が寄ってくるなんてことはないよな。でも、歌が届きますように。
娘さんがいるなんて偶然はあるわけないけど誰か知り合いが聞いてくれますように~!!)
と思いを込めて歌い始めた。
誰一人歌っていない博多駅は私のマイクの声でいっぱいになった。
するとこんな夜遅いのに、それも寒いのに、
通り過ぎていく人達が足を止めていてくれる。
サラリーマンから、高校生、遊び途中の若い男の子たち、カップル、女の子連れ・・5~60人いただろうか。
様々な年代の人達が集まって耳を傾けてくれるなんて、自分の理想だったので信じられなかった。
1曲歌え終えたのに、まだ次を待ってくれている。結局7曲歌った。
最後に自分がなぜここにいるのか説明し、「25年ぶりの手紙」を歌う。
みな聞き入ってくれて、終わった後にCDがものすごい勢いで売れていった。
気分上々↑↑作曲のシンガーソングライターShifoの日常と活動をお届けしています。
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