◎「聲の形」(こえのかたち)
2016年9月17日公開、129分、京都アニメーション制作、原作コミック・大今良時さん、監督・山田尚子さん、脚本・吉田玲子さん。
だいぶ経ったので、取り敢えず載せておきます。
追加で書きたくなったら、それはそれで。
総合評価4.5点(5点満点)
小6で同じクラスの、石田将也(いしだ しょうや)(cv入野自由、小学生時代・cv松岡茉優)、先天性聴覚障害の西宮硝子(にしみや しょうこ)(cv早見沙織)、植野直花(うえの なおか)(cv金子有希)、佐原みよこ(cv石川由依)、川井みき(cv潘めぐみ)、島田一旗(しまだ かずき)(cv西谷亮、小学生時代・cv小島幸子)、広瀬啓祐(cv増元拓也、小学生時代・cv武田華)、
クラスメイトで高校での将也の初の友達で孤立していた永束友宏(ながつか ともひろ)(cv小野賢章)、クラスメイトの真柴智(cv豊永利行)、
硝子の妹の西宮結絃(にしみや ゆづる)(cv悠木碧)、硝子の母の西宮八重子(cv平松晶子)、硝子の祖母の西宮いと(cv谷育子)、
将也の母の石田美也子(cvゆきのさつき)、
将也らの担任の竹内(cv小松史法)など。
「大嫌いだった。もう一度、会うまでは。」
「君に生きるのを手伝ってほしい」
「伝えたい”こえ”がある。聞きたい”こえ”がある。」(HPから)
この映画はとても良いです。後半はいくらか省略しているため人によっては少し分かりにくいところがあるので、見る人を選ぶ面があるかも知れませんが、「聲の形」はとても良いです。
1回見て、原作コミック全7巻とファンブックを買って読み、計5回見るくらいには。
コミュニケーションの大切さ、他人の聲をきくこと、他人を見ること、他人に気持ちを伝えること、他人の気持ちを分かろうとすること、自分と他人を見つめること、それらの大切さと難しさを描いた映画です。
「人と人が互いに気持ちを伝えることの難しさ」「コミュニケーションそのものを描いた話」(共に、ファンブックP170で原作者。)を描いた映画で、イジメは本題ではなく、恋愛は無くてもいいくらいです。
前売りの購入者特典と、10月からの入場者特典フィルム。
○ 思ったことを、とりとめもなく。
・最初と最後に出てくるタイトルが英語でしたが、「聲」という字はいい形だと思うのですが、何故でしょう?。チラシやHPは「聲の形」がメインでした。
2人が初めて会った教室でのシーン。
まだガキ大将だった将也。
・曲はどれも良かったのに、特に冒頭の「MY GENERATION」、また、「怪獣のバラード」のシーンはゾクゾクしましたが、エンドロールでのaikoさんの「恋をしたのは」はいただけません。恋愛のことも少しありますが、端役くらいの意味しかないはずなのに、むしろ無くても良かった映画なのに、メインキャストだと誤解させるかのような恋愛ソングというのはいただけません。
aikoさんは原作の大ファンだそうなので、意図があるものとは思いますが。
硝子は告白しましたが、将也に恋愛感情がないわけではありませんが、少なくとも無意識的・意識的に抑圧しています。付き合う暗示だというのでは、この映画としては安直です。むしろ、原作でも告白は不要だったと思いました(友情、もしくは同志という関係で良かったです。)。
硝子が恋愛感情になる点は、原作を読んでも、分かったような、よく分からないような。イジメた相手に恋愛感情を持つことは、いくつかの段階を踏めば、あり得ないとまでは思いませんが。
硝子がいい人であること、イジメる前に将也が硝子を心配していたこと、が理由であり、それで一応の説明ができることは分かりますが、今一つスッキリしないということです。
・一方、原作よりも映画の方が、硝子が将也に好感を持つ理由は分かりやすいです。
これは、硝子がとても人がいいからでもありますが、現実世界では、こういう人のよさは期待しない方がいいです。
と同時に、硝子なりに自分の障害に真剣に向き合って、それに対して気持ちの整理をつける必要を感じ、そのためには小6の時に自分のことを心配してくれた将也がいいのではと思ったのでしょう。
この直後に殴り合いに。硝子は、頑張っている、と泣き叫んでいましたね。
でも、転入してきてから初めて感情をあらわにした相手が将也だったわけですから、特別な感情があったということでしょう。
小6以来の再会。友達になろう。
再会の後の、再再会。
ありがとう。
またね。
後に、硝子は、植野にも似たような感情を持っています。植野は、思ったことを言いたくなる性格、不器用な性格なため、ストレートな言い方で硝子にきついことを言いますが、硝子は受け止めていますし、最後では植野に好感を示しています。
・後半は、気持ちの動きの描写が駆け足で、原作を読んでいなくても分かる人にしか分からない面がいくらかあり、多くの人には分かりにくかったのでは。3時間映画にするか、TVで12話程度で描くべき作品だったです。
それでも、この映画はとても良いです。
硝子がいい人過ぎて嘘くさいとか、イジメられた人がイジメた人に好感を持つのは変だとか、そう思う人もいるかも知れません。それはそれで尤もな面はありますが、イジメを肯定的に描いた映画でも原作でもありませんし、この映画や原作の主テーマはコミュニケーションですから、どちらに重点を置いて見るのかの違いです。
また、小6の時の将也が硝子を心配していることは硝子に伝わっていますから、恋愛感情になるところは少し分かりにくいですが、そこを除けば、硝子の言動にそれほど不自然さは感じません。
佐原の高校に行く2人。スマホを覗き込む硝子とその微笑みが、将也への好意を表している、ということでしょう。
・転入前に、将也の母の理容室(床屋)に髪を切りに来ていたんですね、硝子は。目の前を将也は通り過ぎましたが、互いに気づいていませんが。
・夕方には早いものの白い三日月が見える時間、声に出して「好き」と言ったものの、「ちゅき」みたいな発音になるので「月」としか聞こえなかった将也。ファンブックによると、原作者は、夏目漱石がI Love Youを「月が綺麗ですね」と訳したことは念頭になかったとのことですが、少なくとも深夜アニメの世界では常識なので、映画制作者の念頭にはあったはず。
ポニテ硝子。
硝子「ちゅき」、将也「月?」。
・最後の方での、自殺しようとした硝子の手をつかんで引上げ、代わりに間違って落ちて意識不明(?)の将也、それに土下座で謝る西宮の母と結絃に対しては、将也の母はしゃがんで、そんなにしなくていい旨言って許す気持ちがありました。
一方、屋上で硝子を殴ったりして責める植野、その植野を叩く西宮の母、止めに入る将也の母、将也の母が硝子のそばに行くと、ごめんなさい、と泣いて土下座のようにして謝る硝子。ここでの将也の母は無言で立ちつくし、本音が表れています。元をただせば将也のイジメに起因するので文句を言えないですし、とは言え、死ぬかもしれない将也の状況ですから気にしなくていいとも言えませんし。
・結絃がとても良かったです。結絃の不登校も硝子が主因なのでしょうが、硝子の犠牲になっているのに、いろいろと我慢して、いろいろと抱えていてね。
この手の演技なら悠木さん。悠木さんの助演女優賞は確実じゃないですかね。
・植野も良かったです。サラリと言っているようで、言いたい、けど言えない、とか、こう言いたい、けど悪態をついてしまう、という複雑なところをサラリと演じていたところが良かったです。
・原作にある映画制作の話はなく、別の形で将也らの気づきがありました。
どちらも良い展開でしたが、原作の方がより自然かなあ。でも、映画でももう少し時間をかけて描けば同程度には自然になったでしょうね。
・泣ける人は泣けるでしょうけれど、お涙頂戴の映画ではなく、植野が硝子も悪いと罵倒し叩いたように、障害者にも厳しいことを言っています。
○ 硝子の気持ちは、本当に恋愛感情なのかについて。
小学生の時、将也が硝子のことを心配している言葉を言うシーンがあり、硝子には聞こえていなかったでしょうが、気持ちは伝わったはずです。
映画では、本格的な、いわゆるイジメはその後です。後での回想シーンでは、小6の硝子が結絃に死にたいと伝えているので、将也か将也らかクラスメイトかのイジメはそれだけのものだったのです。
途中から、これまでは一緒に硝子をイジメていたのに、かつての親友の島田と広瀬に将也がイジメられ、以後、イジメをしていたと言いふらされ、硝子への申し訳なさもあって、高校生になっても周囲をきちんと見ることができず、周囲の声を聞くことができず、自分のことさえも見つめることができず、一人ぼっちの高校生になって、自殺する前に小6のときの筆談ノートを返しに硝子を訪ねたことで、硝子は将也のことを、いい人と思ったのですが、それは少し出来過ぎな感じ。悪い人ではないと思った程度なら、現実世界でも理解しやすいですが。とは言え、硝子の性格からすれば、いい人と思うことは不自然ではないのですけれど。
○ 花火大会、このシーンの後。
勉強するからと途中で帰る硝子、将也は手話で、またね、と言いましたが、硝子が、ありがとう、と返したのを見て、流石に私は、おかしい、何か嫌なことが起きる、と思いましたが、少なくとも、将也と合流する前に硝子が1人でいる浴衣の後ろ姿が映されたときに気付かなければいけなかったです。
2回め以降は、アチコチにある伏線が伏線と分かりましたが。
【shin】
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