思い付きブログ

進撃の巨人感想。凄いとしか言いようのない物語。ただ、人命の重さには順番があり、その順番は状況によって変わる事、人類においてほとんどの人はいくらでも代わりがきく歯車でしかない事に向き合ってはどうか

 2013年春夏アニメの感想です。あとはヤマトのみ。

◎「進撃の巨人」(全25話+総集編のような13.5話)

 2013年春夏アニメ。春夏で一番話題のアニメなのかな、きっと。




 これの原作漫画は評価が元々高く、かつ人気作であり、アニメが始まる前は1200万部でしたが、本屋に行くたびに帯に記載の部数が増え、8月には11巻までで2300万部。

 アニメ化により随分と売れたものです。それでも私は他のほとんど全てのアニメ同様に原作を読んでいませんけれど、電子書籍の端末に良いものがないためここ数年迷っているので、それが決まったらこれは買うだろうなあ、とは思っています。いつになるかは分かりませんが。


◎ 全体としては凄い話でしたし、絵も力が入っていて綺麗でしたし、退屈ではなかったですが謎の明かし方と話し方がゆっくりだったため少し間延びしたように感じたこと(ジリジリとした緊張感を持たせるためにそういうテンポだったのでしょうけれど、どうも近頃の私はじっくりやるという余裕が不足しているようです。)とオープニング曲前の前話の振り返りが長かったことを除けば、物語で見せる凄いアニメでした。

 25話と長かった割には、実は話はほとんど進んでいないですけどね。



○ ところで、秋葉原アニメイトでは、これのグッズは女子向けのフロアの一角にあります。男向けのアニメだと思いますが、外見は普通ですが言動が格好良い男子・男性キャラが多いので、グッズとなるとそうなるのでしょう。
 最近は男向け女向けの垣根も低くなってきていますし。また、少女漫画原作のアニメにも好きなものはありますし、男向けの萌アニメにも馴染めないものは多いですし。


◎ 誉め言葉は難しいのでその位にして、気になった点を。視聴後にメモ的に書いたものを元にしているので、その時々に感じたことをなるべく活かして。

○ 5話後半で食べられたエレン・イェーガー(cv梶裕貴)が生きていることは容易に想像できましたが、7話後半でエレン巨人が表れ、8話後半で巨人からエレンが出てきて。まだ完全にはコントロールできないものの、他の巨人と戦って倒すという、人間の味方であることが分かりました。

 これまでは圧倒的に劣勢な人間でしたが、これで反撃することが期待できるようになったわけです。

 (で、そんな展開は都合が良すぎるので、巨人は人間のなれの果てか、実は一部の人間(為政者とか。)が自らの利益のために生み出したものではないのか、つまり「クレイモア」のようなものかも、ということも念頭に置きつつ見たわけですが。)


 最初はエレン巨人が人間を襲うのではないかと恐怖心を持つ人間が多かったのは普通として(実際、姉弟同然のミカサ・アッカーマン(cv石川由依)を襲った。)、エレン巨人が活躍するところを見て、特に追い込まれて高い壁の中で窮屈に100年も生活している鬱屈した状態だと、人間は、救世主のように崇め奉(あがめたてまつ)って神格化するなんて愚かなことになりやすいですが、一般庶民はそうなりました。

 一方、巨人の脅威に直面している憲兵団や調査兵団の多くが怖がっていて、他の巨人でのトラウマが大き過ぎて、エレンをまだまだ信用できなかっただけでしょうけれど。

 それらの現実感は良かったです。


○ ただ、やっぱり巨人には巨人で対抗するしかないのか、というところは少し興ざめでした。それは、核爆弾を持っている敵に対し、外交やゲリラ戦法や空母や戦艦や戦闘機や戦車では敵わないから核爆弾を手に入れようといった軍拡競争の感じでもあり。

 現実世界では、外交なしに戦争の防止や戦争の終結は有り得ませんが、軍事力で攻められたらある程度の軍事力(自国だけでなく同盟国の軍事力も含む。)で対抗するしかないのでしょうけれど、これの場合は巨人という核爆弾に対してエレン巨人という核爆弾を手に入れたようなものです。

 これはフィクションですし、直接的には政治的な話のアニメではないのにシリアスなので、核には核ではなく、通常兵器と人間の知恵で何とかしろよ、と思ったところ。


 このアニメで言いたいことは、そこではないというだけのことでしょうけれど(それは巨人の謎に関係する気もしますが。)。


◎ ちょっと現実世界に戻って。

 軍事的に一番強い国があって、その国は今は同盟国であったとしてもある日を境に敵になる可能性は常にあるわけですから、侵略されないためには一番強い国と同等の軍事力を持つ必要があるわけで、すると相手国はもっと軍拡するわけで、互いに際限のない軍拡競争に陥るわけです(第2次世界大戦までの世界各国や、戦後の米ソ等の軍拡競争はこれ。)。

 それでは互いに疲弊し、不安が強くなるばかりですから、同盟関係がある程度までは信頼できることを外交(交流や条約とか。)によって確認し強化する必要があるわけです。更に、経済的・文化的な結びつきを強めて互いが敵対すると互いの利益にならない状態にすることも安全保障上は重要です。

 現代の国際政治は、そういう状態です。


 このアニメでは、他に人類は存在しないはずなので同盟は有り得ませんし、巨人とはコミュニケーションが取れないので外交も使えません。
 一部の巨人は知性を持っているようなので、それとは外交を使えるかも知れませんし、その結果として同盟を結べるかも知れませんが(エレン巨人とは、暴走しない限り、この状態。)。


◎ さて、アニメに戻って。

 17話前半から女形巨人が登場して、これが強く、速く、知性もあると。エレンを探して走り回っているようだと。

 リヴァイ兵長(cv神谷浩史)らは逃げながらおびき寄せていたようで、19話で森の中で生け捕りにしました。
 この作戦をエルヴィン・スミス調査兵団団長(cv小野大輔)やリヴァイはエレンや他のほぼ全員には伝えませんでしたが、20話前半で、5年前に壁が巨人に壊されて以降に入隊した団員の中に女型巨人に化けている者がいるはずだから秘密がモレかねないと考えてのことだと。

 エルヴィンが女形巨人を生け捕りにするために多数の兵士を犠牲にしたところ、20話前半でアルミンが、
 「何かを変えることができる人間がいるとすれば、その人はきっと、大事なものを捨てることが出来る人だ。化け物をもしのぐ必要に迫られたのなら、人間性をも捨て去ることが出来る人のことだ。何も捨てることができない人には、何も変えることは出来ないだろう。」
と断言しているように、多数を助けるために1人を犠牲にするようなことは嫌だから両方助けるというアニメも多い中(それでもここ数年は減ってきた気がする。)、現実世界では、より多数を助けるために多数を犠牲に出来るというのは、戦いとは関係なくても必要な場合は多く、特に戦争であれば1人1人は小さなコマでしかなく、負けないためにも勝つためにも沢山の小さなコマが犠牲になる必要があるのが現実です。

 ひらたく言えば、人間の命の重さには大ざっぱな順番があるのです。しかもその順番は状況によって変わり、戦争か平和かによっても、戦争の中でも平和の中でも場面によって変わります。平和なときに兵士は少なくて良い一方、戦争のときに兵士は必要であるように。

○ 例えば、農作物が上手く育たなければ食べ物がなくなって飢えるような場合、老人を山中に置き去りにして死んでもらうなんていう姥捨て山(うばすてやま)は、20世紀の日本でも起きていたことです。

 より多く、あるいはより元気な者が生きるために先の短い老人から殺していくという、命の順番をつけていたわけです。

○ 例えば、20人が乗った宇宙観光船が宇宙で難破し、20人で10日分の酸素があるとして、20人で分けて20人が10日間生き延びるか、10人殺して10人が20日間生き延びるか、という場合。

 助けが10日以内に来ると考えれば前者でしょうが、来なければ、何人かに死んでもらわないと全員が死ぬことになります(題名は忘れましたが、そんな類の映画、何種類かありましたね。)。
 後者のとき、何らかの判断基準を基に命の順番を決めなければなりません。

 そのとき、年を取った人から死んでもらうか、優れた能力がある人や若い人が優先して生きて老人や病人とかに死んでもらうかになるのではないでしょうか(この場合は誰が生きても誰が死んでも地球や人類全体の生死にはほぼ無関係なので、くじ引きという平等な方法の可能性は否定しませんが、それでも多数のために誰かが死なないといけない状況に変わりはない。)。


○ 結局、仲間の巨人を呼んで巨人部分のみを食べさせて証拠隠滅し、エルヴィンらの作戦は失敗し、しかもウナジにいるはずの中の人間は逃げたようだと。で、調査兵団の格好で調査兵団の兵士を襲うと。
 こいつが強い!


◎ 21話。再び女形巨人に変身し、エレンを守っていた調査兵団の精鋭の3人でも敵わず、エレンは仲間を信じずに最初から自分を信じて巨人に変身していれば良かったと後悔し、巨人になって戦いますが、負けてウナジから取り出されて女形巨人の口に含まれると。

 エレン巨人は人間の味方をしているので、巨人からすれば殺せば良いと思うのですが、女型巨人が殺さずに捕まえた理由は良く分かりませんでしたが。

 エレンが知り合いだからというだけでは理由として弱いので、女型巨人の後ろに黒幕がいて、その指示とでも思っておきましょうか。



○ 22話。リヴァイとミカサが、やはり強い。エレンを救出し、そのまま女型巨人を殺せそうでしたが逃げたのは、第一の目的がエレン救出であったことと、22話後半で足を気にしていた描写からしてリヴァイが足を痛めて十分に戦えなかったからなのでしょう。リヴァイの状況判断が素晴らしすぎ。
 まあ、フィクションだからですけれど。


 それにしても、その後、エルヴィンらの制止を聞かずに部下が寝ている巨人の近くの友人の死体を取ってきたために巨人に追いかけられて何人かが殺され、馬車を軽くするためにせっかく集めた遺体を捨てるように命令するリヴァイ、しかもペトラ・ラル(cv相川奈都姫)の遺体を捨てるときのリヴァイの様子や、それ以前に1人の遺体から胸の刺繍を切り取ったところとか、壁の中に逃げ帰ってきたときに現実を受け入れられないと思われるペトラの父がリヴァイに結婚はまだ早いけれど云々とか言っていることからして、2人は付き合っていて、ある程度の団員は知っていたのだろうと推測されるところとか、これでもかという厳しい現実を突きつけてくるアニメです。


 ただ、壁の中のそこら中に巨人に変身できる人がいるだろうとのことで、ますます、巨人の正体というオチに不安を感じたり。


◎ 23話、女形巨人には、エレンらと一緒に訓練を乗り越えた同期で憲兵団のアニ・レオンハート(cv嶋村侑)が変身していたと

 捕まえた2体の巨人が知らぬ間に殺されたときにアニが犯人ではないかと疑いを持っていたと、24話前半でアルミンが今更言っていましたが、仲間だし信じられなかったからそれを上官に伝えずにいた結果が調査兵団の大量死というのも、厳しい現実です。

 巨人の謎は深まるばかりです。


 巨人が、王制などの現体制に反対する人間が変身したものや生み出したものだった、とか、体制側の人間が現体制への求心力を高めて現体制を維持するために生み出した自作自演だったとか(外部に敵を作って内政から目を反らせる常套手段。)、対立する国を倒すために作った兵器だった、というオチにはならないことを願うばかり。
 少なくとも、人間が巨人を作ったというオチにはならないことを願うばかり。



○ ただ、5話前半で、巨人が壁を壊して入ってきたのを聞いたときにバルト侯爵(支配者か支配者の1人らしい。)がひどく怯えていたので、黒幕とは考えにくいです。

 なお、王様が知らないか黒幕の言うとおりにしているだけで、取り巻きが黒幕ということは考えられます。勿論、調査兵団や憲兵団のトップが黒幕ということも考えられる(この2つは勢力争いをしているようで、それは戦前・戦中の日本での陸軍と海軍みたいなものなので、組織防衛と組織拡大という自らの利益のために相手を出し抜こうとしているのかも知れない。)。


 一方、
 14話で、エレン巨人を救世主として熱狂するのを見て憲兵団員が「中央への反乱に、利用されそうですな。」、
 24話後半でエルヴィンに対し憲兵団のナイル・ドーク(cv勝杏里)が「貴様のやっていることは、王制に対する明らかな反逆行為だ。」と言っており(反逆罪のことは他の回でも出ていた。)、

それ以上の具体的な反王制の動きは描かれていませんが、そういう刑罰があること&そういう刑罰が直ぐに口に出てくるということは日頃から意識しているからであることから、王制に反対する人が日頃から常に一定数いるはずです。


◎ 最終25話、多数の犠牲により、エレン巨人がアニ女形巨人を倒しましたが、アニは秘密を洩らさないためにダイヤモンドのような結晶で身を包んだところとか、そうまでしても巨人の秘密を隠さなければならないアニの動機が謎ですが、そこは巨人の秘密が明かされたときに妥当性を判断するしかないのでしょう。


○ 最終25話のエンディング後のラストシーン、アニ女型巨人が壁を登ろうとしたときについた割れ目から巨人の目が。
 不気味すぎ。

 これだけ話題のアニメだと、原作漫画は知りませんしネットはあまり見ない私ですが、イヤでも、御親切にも聞こえてくるので、この目の理由は知っているのですが。


○ 原作漫画でも巨人の正体はまだ明かされていないようですが、25話前半でエレン巨人と戦いながらのアニの回想シーンで、呆然とするアニに泣いて謝り続けるアニの父の次の台詞。
 「アニ、俺が間違っていた。今更許してくれとは言わない。けど、1つだけ、頼みがある。この世の全てを敵に回したっていい。この世の全てから、お前が恨まれることになっても、父さんだけは、お前の味方だ。だから約束してくれ、帰ってくるって。」
 父が何かをしたか誰かに頼んでアニを巨人に変身できるようにしたことが伺われるシーン。エレンも父が何かをしたorさせたから巨人になったようでしたし。


 また、25話前半と後半の間のCM前後の「現在公開可能な情報」の中で、壁の近くを下に掘ったら下にも壁があった、掘った人とそれを聞いた友人が行方不明になった、という話とかも

 更に、25話の最後の台詞、アルミンの「しかし、人類が、自分達が何に囚われているのかを知るには、まだ、時間と犠牲が必要だった。」とのナレーションとかも。


 それらのシーンからして、巨人が人工的に作られた以外に、壁の中の人の生存域が巨人の手のひらの上なのかとか、思うところはあるわけですが、それは仮に2期があれば明かされるでしょうから、そのときに。


 ただ、謎解きみたいにしたせいで、話が進むに連れて巨人の存在理由を単純なものには出来なくなってきたため、人為的なものである可能性が出てきたのですが、巨人の存在が茶番ではないことだけは期待したい。

 私の貧困な発想を当然のように裏切ってもらいたい。



◎ 後は写真。

 2013年ACEにて。50m級巨人の実物大と思われる顔をバックに。





 ACEで配ってた試し読み小冊子(32頁。エレンが巨人に変身する少し前から、ペトラらが死んで、変身して女形巨人と戦うところ。)。
 真ん中の金髪がアルミンだと思ったら女だった・・・・・
 イヤ、逆に考えるんだ、逆に。アルミンはやっぱり女だったんだと・・・・・・・・・・
 アルミン、男にしておくにはモッタイナイですし。



 秋葉原にて。上は4月、下は8月。





【shin】
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「  アニメ2013年感想等」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事