女性がズロース、つまり、パンティとかショーツとか呼ばれるものを履くようになった大きな契機と言われているものです。
昔から、着物では下着は付けないというのが当たり前というか付けないのが普通で当然で、それが伝統だったわけです。
今では、着物でもラインが出にくい下着もあるし、下着を付け続けてきたことによる恥じらいが生まれているので、付けている女性の方が多いのかも知れませんが。
さて、1932年12月に白木屋デパートで火事があり、上層階から反物とかをヒモ状にしたものに捕まって降りるときに、着物の女性がスソがはだけて中が見えるのを気にして片手でスソを抑えようとしたら、もう片方の手だけではヒモを持ちきれなくなって落ちて死んだ女性が続出したのを契機にズロースが広まった、というものです。
しかし、かねがね、昔は性に対しておおらかなところもあったので、命の方が大事じゃないかと思っていたところ、以前、古本屋で見つけたのが添付のもの（6枚）です。
古い雑誌なので、その後の研究で新しい資料とかが見つかっているかも知れませんが。
なお、著作権上、そのまま載せるのはあれなのでしょうけれど。
（雑誌は、随分前になくなっていますが。）
「ズロース前史の考証学」（井上章一・建築史家）（月刊Asahi 1992年11月号）
国際日本文化研究センターの井上章一教授のことなのかな？
● 当時の女性が見通しの良いところで裸になっているし、白木屋の火事のあともズロースはそれ程普及していなかったとのことです。
白木屋の火事の2年後の別のところでの火災訓練でも、ズロースを履かない女性が多く、中が見えたそうです。
また、銀座に、風が吹いてスソがめくれて見えることで有名な場所があったのに、ズロースなしで通る女性が多かったとのことです。 ●
別の何かで、関東大震災（1923年）か東京大空襲（1945年）のあとに、井戸の周りで陰部が丸見えのまま、気にする風もなく、皿洗いをしている女性達の写真を見た記憶があります。
● 消防士によると、羞恥心ではなく、ヒモが切れたり、手がすりむけて痛くて手を離したために落ちたそうです。 ●
● 着物なので、普段からスソが風ではだけたりしたようです。
また、皿洗い、雑巾がけなど、しゃがんだり動いたりで、スソがはだけることもあったようです。
しかし、女性達はそれが普通と思っていたようで、それ程気にしている風ではなかったようです。 ●
そうそう、添付のにも書いてありますが、見えることが普通なら、見られることはあまり恥ずかしくないのです。
例えば、ジャングルの奥地に行けば裸族がいますが、彼等は裸を恥ずかしいとは思っていないはずですし、裸を見て欲情しているわけでもないでしょう。
少し観点が違いますが、例えば、海水浴場で水着は恥ずかしくないのに、渋谷の交差点で水着は恥ずかしいのではないでしょうか（キャンペーンガールを除く）。
それは、水着が当然の場所なら恥ずかしくないけれど、水着が不自然な場所だと恥ずかしいという感覚であり、ノーパンで場合によっては見えても仕方ないと皆が思っているのが普通なら、見られてもそれ程恥ずかしくないわけです。
更に、例えば、化粧をするから素顔を見せるのが恥ずかしくなるわけです。
なお、羞恥心から手を離して落ちた女性の１人位はいたのかも知れませんが、それ位なら現代にいてもおかしくはないかなと思います。
