真正会 本部・事務部 スタッフブログ

縁とルーツをめぐる旅

地域リハビリテーション推進部 岡持です。

「年をとったら、遠くに海の見える、山の上に住みたい。」
意味もなくそんなことをつぶやいたり、休みの日には、海の見える所や山に出かけては、
そんな風景を求めてきました。

 私は大阪で生まれ、転校回数は10回を超え、色々な所で暮らしてきました。
大阪、四国、埼玉と移り住み、各地域の文化の違いには大変興味があります。
一族の本家は和歌山県にあると聞いていて、おぼろげながらみかん山をモノラック
(みかんを運ぶモノレールのトロッコ)で登ったり、仏間にたくさん飾ってある
祖先の写真の多さや、仏壇に驚いた記憶があります。
 また、山間に岡持だらけの集落があり、祖先をまつった神社や歴史を記した
石碑があると聞かされていたので、疑いつつもいつか行ってみたいと思っていました。
今年長男の結婚に際し、家系図など過去の歴史に触れる機会が多く、興味が再燃、
縁あって和歌山県に立ち寄ることになったので、自分のルーツを巡ってみることにしました。

 和歌山県海南市下津町の木村神社に行く、というところから旅はスタート。
Googleマップのとおりに行ってみたところ、みかん山を縫う傾斜の激しい狭い道に右往左往、
さんざん迷って神社を発見。




 明治後期の神社合祀(ごうし)でここに移設されたとする石碑があるというので、
周囲を探してみました。この神社には、本殿に並んで3つのお社があり、このうち
のどれかが目指す神社だろうと思いつつも、石碑は傷んでいて読みづらい上に内容
も違う様子。しかし寄進者を記した木札や石碑には、岡持の名前が見られました。
初めて訪れた場所で同じ名字を見つけて少しドキドキ。しかし合祀の記録は見つか
らなかったため、家系図をまとめた伯父さんに電話し、石碑の場所を尋ねてみました。


電話では、

①神社とは別の場所、道路の脇に石碑があること、
②石碑は水タンクのそばにあること、
③近くにお寺が二つあり、どちらかに祖先からの墓があるが、無人の寺であること、
④山の上に一族専用の火葬場があったこと、
⑤3つの社の右端が岡持神社であること、
⑥同じ名前の表札の家を訪ねてみては?

など、教わりました。さすがに直接突撃は、できないなあ・・・と、思いながらも、
右端のお社にお参りしました。

 どの家にも水タンクがある周辺を小一時間歩き回りましたが、石碑は見つけられず、
あきらめて山を下り始めつつ、朝から歩き回りだいぶ時間が経っていたので、
「トイレを借りよう」ということで、お寺に立ち寄りました。一つ目のお寺では、
何かやっているようで、とても声をかけられず、二つ目のお寺では、工事をしていて
ちょうど水洗トイレの流す音がしました。「ここでお借りしよう」と、思い切って声
をかけました。

 「埼玉から来ました岡持と申します。トイレをお借りできますか?」

というやり取りから始まり、周辺に同じ名字の人がいること、その家のお墓はこの寺に
あることなど、次々と驚きの話を聞かせていただきました。偶然お声かけしたその人が、
このお寺を20年前からあずかる住職さんとのことで、大変ビックリしました。

 「あんたの家の家紋は何や?」

という問いに、

 「丸に揚羽蝶」

と応えると、

 「ほんなら末裔やな」

、とニヤリ。

 「岡持さんに電話したるから、ちょっと座りなさい」

と。
結果、本家の方とつながり、神社・石碑・お墓について質問できました。

 「石碑はうちの上にある、昔からの仏壇見せたげるから、うちへおいで」

と、まさかの展開。

 事情を話すと石碑に案内され、

「この石碑の場所に昔は神社が建っていた。
 今は、木村神社の横の右端にある。昔は焼き場も集落の人とは別で、
 山の上にあり、ひいおばあさんまで使っていた。山の上にはうちの
 お城の跡もある。ずいぶん行っていないから、入れるかもわからん
 けどな」

と。とどめは、仏壇の過去帳とお位牌の木札。鎌倉時代からの
真っ黒な木札に「本物かなあ???」と大変失礼なことを思いつつ、
驚きの話の数々。圧倒されました。



 正直、軽い気持ちで訪れた神社から、大変なことになったと震える気持ちでした。
途中何度も電話をくれた大阪の伯父や父親にも報告、ご住職にもお礼を言い、
お墓参りをして帰ろうという頃には、夕方になっていました。

 住職さんの「100年後たのむで」という笑いながらの言葉と、若い人を見かけず、
さらに空き家になった旧い家々を見る中で、限界集落の実物を見た複雑な思いでした。
また、私たちは仕事を通して、旧いか新しいかは別にして、家々にある背景や土地に
まつわる物語など、さまざまな思いに触れながら、一人ひとりの生活に関わらせて
いただいているのだなあと、引き締まる気持ちにもなりました。

 父親にもこの山の景色を見せてあげたいと思いながらの帰路、
「遠くに海の見える山の上は、お墓から見た景色なんだな」、と気づきました。
もしかしたら見ていなかった原風景なのかもしれません。

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