世界経済危機は拡大していく
●アメリカ、日本、中国の経済が矛盾を噴出させる
新興国通貨危機が始まった。フラジャイル5(インド、インドネシア、トルコ、南アフリカ、ブラジル)と米モルガン・スタンレーが名づけ、米金融緩和縮小で弱い通貨に影響が出る新興国通貨危機がうごめき始めた。
経常収支の恒常的な赤字、高いインフレ率、外国からの投資に頼る経済成長という共通の特徴をもつこれらの国の通貨が、直接のきっかけは些細な発言だが、米FRBの金融緩和継続を契機に下落した。余剰マネーがフラジャイル5から引き上げフラジャイル5の通貨が売られた。通貨下落は輸入価格の上昇をてこに物価上昇につながる。物価上昇は個人消費を抑制し景気を減速させる。物価上昇と景気後退への相反する金融政策や景気後退からくる社会不安にフラジャイル5は揺さぶられる。余剰マネーは比較的安全とされる円に流入し、円高・株安も引き起こしている。08年世界恐慌の大爆発を何とか先延ばしするのに一役買ったBRICSをはじめ新興国経済が実は米欧日の金融緩和で支えられていたにすぎず、その破綻が始まった。これらの新興国、フラジャイル5は、あわせて政情不安を抱えており経済後退と重なり危機を倍化させる。
米国経済は「回復」の中身が金融バブルでしかないことが露わになり、また中国経済の矛盾のあらわれであるシャドーバンキングがデフォルトの危機を引き起こしつつある。米中の経済が共に問題を露呈させつつある。
欧州はようやくプラス成長への転換を見せ始めてはいるが、一人勝ちドイツは欧州の回復を保障するような政策に転換する気は毛頭なく、いやその力はないというのが真実だ。
日本帝国主義の安倍政権はアベノミクスの化けの皮がはげ始めた。アベノミクスは公共事業と財政出動というこれまでとなんら変わらない経済政策であり、成長戦略などは幻でしかないことがあきらかになってきている。賃上げを闘いとることなど夢にも考えてない連合のもとでは賃金はあがるはずもない。消費増税による景気後退はアベノミクスを吹き飛ばしてしまうだろう。円安株高の効果も実はアベノミクスによる景気回復を期待する米国の円安容認で成り立っている。アベノミクスの破綻は一挙に問題を露呈させる。
米国経済は「回復」が思うようには進まず、つまずき始めている。最大の問題は雇用だ。08年世界恐慌は米国労働者の800万人の職を奪ったが、まだそれを回復していない。いろんな指標が米国景気の回復を示していると言っても、雇用はイエレンFRB新議長が「驚いた」と言わざるを得ない下落を示した。企業の業績の回復は、合理化と賃下げで08年恐慌の犠牲と矛盾を労働者に押し付けることで可能だった。新規雇用を避け、正社員を非正規雇用に置き換え、賃下げを強いることが、オバマの政治だったのだ。
さらに住宅市場が思うように伸びていない。イエレンが「資産バブル・信用バブル」に触れてはいるが避けることはできない。超金融緩和政策の継続はさらに問題を大きくするのみだ。
オバマ政権は連邦債務問題、TPP通商問題を抱えている。連邦債務問題は1年間の時間を稼ぎはしたがまた1年後には米国債のデフォルトが公然と論議され、何が契機ではあれ米国債のデフォルトが現実化することもありうるということだ。TPPはオバマのアジア歴訪のもうひとつの課題である。
中国経済の矛盾の爆発点の一つ、シャドーバンキングがいよいよ臨界点を迎えつつある。まず残金の大きさである。理財商品の発行残高は中国社会科学院の発表で12年末で20兆元にのぼる。GDP(13年の名目56兆8845億元)の約4割に相当する。これだけの資金がデフォルト・不良債権化している。理財商品に資金が集まるのは金利の一部分が依然として国家に管理されており、物価上昇率が預金金利を上回る場合もある。行き場を失った人民元が高利回りの理財商品に集まるのは当然だ。
理財商品が登場する背景には色々な要因がある。成長至上主義下で地方政府の独自の公債の発行が禁じられていることから、地方政府は建設投資資金を集めるための「融資平台」を組織し、独自に資金を集めている。この資金に理財商品販売で集められた資金が集中し、それが焦げついているのだ。さらに問題は理財商品と同じように投資商品として「ビットコイン」が中国で世界の4割が利用されていることである。マウンテンゴックスの破綻は中国のビットコインに波及する。
2014年3月3日
博多のアイアンバタフライ
●アメリカ、日本、中国の経済が矛盾を噴出させる
新興国通貨危機が始まった。フラジャイル5(インド、インドネシア、トルコ、南アフリカ、ブラジル)と米モルガン・スタンレーが名づけ、米金融緩和縮小で弱い通貨に影響が出る新興国通貨危機がうごめき始めた。
経常収支の恒常的な赤字、高いインフレ率、外国からの投資に頼る経済成長という共通の特徴をもつこれらの国の通貨が、直接のきっかけは些細な発言だが、米FRBの金融緩和継続を契機に下落した。余剰マネーがフラジャイル5から引き上げフラジャイル5の通貨が売られた。通貨下落は輸入価格の上昇をてこに物価上昇につながる。物価上昇は個人消費を抑制し景気を減速させる。物価上昇と景気後退への相反する金融政策や景気後退からくる社会不安にフラジャイル5は揺さぶられる。余剰マネーは比較的安全とされる円に流入し、円高・株安も引き起こしている。08年世界恐慌の大爆発を何とか先延ばしするのに一役買ったBRICSをはじめ新興国経済が実は米欧日の金融緩和で支えられていたにすぎず、その破綻が始まった。これらの新興国、フラジャイル5は、あわせて政情不安を抱えており経済後退と重なり危機を倍化させる。
米国経済は「回復」の中身が金融バブルでしかないことが露わになり、また中国経済の矛盾のあらわれであるシャドーバンキングがデフォルトの危機を引き起こしつつある。米中の経済が共に問題を露呈させつつある。
欧州はようやくプラス成長への転換を見せ始めてはいるが、一人勝ちドイツは欧州の回復を保障するような政策に転換する気は毛頭なく、いやその力はないというのが真実だ。
日本帝国主義の安倍政権はアベノミクスの化けの皮がはげ始めた。アベノミクスは公共事業と財政出動というこれまでとなんら変わらない経済政策であり、成長戦略などは幻でしかないことがあきらかになってきている。賃上げを闘いとることなど夢にも考えてない連合のもとでは賃金はあがるはずもない。消費増税による景気後退はアベノミクスを吹き飛ばしてしまうだろう。円安株高の効果も実はアベノミクスによる景気回復を期待する米国の円安容認で成り立っている。アベノミクスの破綻は一挙に問題を露呈させる。
米国経済は「回復」が思うようには進まず、つまずき始めている。最大の問題は雇用だ。08年世界恐慌は米国労働者の800万人の職を奪ったが、まだそれを回復していない。いろんな指標が米国景気の回復を示していると言っても、雇用はイエレンFRB新議長が「驚いた」と言わざるを得ない下落を示した。企業の業績の回復は、合理化と賃下げで08年恐慌の犠牲と矛盾を労働者に押し付けることで可能だった。新規雇用を避け、正社員を非正規雇用に置き換え、賃下げを強いることが、オバマの政治だったのだ。
さらに住宅市場が思うように伸びていない。イエレンが「資産バブル・信用バブル」に触れてはいるが避けることはできない。超金融緩和政策の継続はさらに問題を大きくするのみだ。
オバマ政権は連邦債務問題、TPP通商問題を抱えている。連邦債務問題は1年間の時間を稼ぎはしたがまた1年後には米国債のデフォルトが公然と論議され、何が契機ではあれ米国債のデフォルトが現実化することもありうるということだ。TPPはオバマのアジア歴訪のもうひとつの課題である。
中国経済の矛盾の爆発点の一つ、シャドーバンキングがいよいよ臨界点を迎えつつある。まず残金の大きさである。理財商品の発行残高は中国社会科学院の発表で12年末で20兆元にのぼる。GDP(13年の名目56兆8845億元)の約4割に相当する。これだけの資金がデフォルト・不良債権化している。理財商品に資金が集まるのは金利の一部分が依然として国家に管理されており、物価上昇率が預金金利を上回る場合もある。行き場を失った人民元が高利回りの理財商品に集まるのは当然だ。
理財商品が登場する背景には色々な要因がある。成長至上主義下で地方政府の独自の公債の発行が禁じられていることから、地方政府は建設投資資金を集めるための「融資平台」を組織し、独自に資金を集めている。この資金に理財商品販売で集められた資金が集中し、それが焦げついているのだ。さらに問題は理財商品と同じように投資商品として「ビットコイン」が中国で世界の4割が利用されていることである。マウンテンゴックスの破綻は中国のビットコインに波及する。
2014年3月3日
博多のアイアンバタフライ
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます