♪キーンコーンカーンコーン♪
放課後を知らせる鐘の音と同時に、「一緒に帰ろ〜」「どっか寄ってく〜?」色んな声が飛び交う教室。さっさと教室を出て帰る生徒や部活に行く生徒、先生と雑談したり…教室も廊下も下駄箱のある玄関だって一番ザワつく時間。少しだけ生徒が少なくなった教室の一番後ろ窓側に座る流歌が夕夏に話しかける。
放課後を知らせる鐘の音と同時に、「一緒に帰ろ〜」「どっか寄ってく〜?」色んな声が飛び交う教室。さっさと教室を出て帰る生徒や部活に行く生徒、先生と雑談したり…教室も廊下も下駄箱のある玄関だって一番ザワつく時間。少しだけ生徒が少なくなった教室の一番後ろ窓側に座る流歌が夕夏に話しかける。
『夕夏、もう一回屋上に付き合ってくれない』「イイけど、何かあった?」
『うん、もう一回、確かめたい事があって』
そう言うと流歌はキュっと唇に力を込めた。一緒にパタパタと屋上へ向かうが、流歌の方が少し早足になっている気がした。
屋上に出ると少しだけ蒼く暮れゆく空が広がっていた。いつもであれば流歌の方が
『うん、もう一回、確かめたい事があって』
そう言うと流歌はキュっと唇に力を込めた。一緒にパタパタと屋上へ向かうが、流歌の方が少し早足になっている気がした。
屋上に出ると少しだけ蒼く暮れゆく空が広がっていた。いつもであれば流歌の方が
ー綺麗な空ー
と眺めているのであるが、『夕夏、これ見て』と中央ソファーの雨除け屋根の裏側を指差した。その空より大事な言葉がそこにあった。
「なんか書いてあるね。あ、なるほど〜。これが気になってたんだ?」
『うん。触れてみて。』「…うーん。何か起きるの〜?」『何か感じない?』
「書かれた文字から何かを感じとるスキルは生憎持ち合わせてなくて。次に転生する時は持てるとイイけど。」『んもう、夕夏ったら』「あはは、ごめんごめん。だけど、わたしにはやっぱりただの文字にしか…」『わたしには触れると書いた人の意思とか意識とか…そんなモノを確かに感じたの』「それはルカが言葉を大切にしているからじゃない?」『そうなのかな。』「綺麗だとか汚い言葉とかあるけどさ、全部含めて大切なんでしょ?ルカが素敵な言葉を探してるのは間違い無いから、きっと共鳴してるんだよ。」『ありがとね、夕夏』
『うん。触れてみて。』「…うーん。何か起きるの〜?」『何か感じない?』
「書かれた文字から何かを感じとるスキルは生憎持ち合わせてなくて。次に転生する時は持てるとイイけど。」『んもう、夕夏ったら』「あはは、ごめんごめん。だけど、わたしにはやっぱりただの文字にしか…」『わたしには触れると書いた人の意思とか意識とか…そんなモノを確かに感じたの』「それはルカが言葉を大切にしているからじゃない?」『そうなのかな。』「綺麗だとか汚い言葉とかあるけどさ、全部含めて大切なんでしょ?ルカが素敵な言葉を探してるのは間違い無いから、きっと共鳴してるんだよ。」『ありがとね、夕夏』
照れてる夕夏を横目に、流歌は右胸のポケットからメモ帳を取り出すと書かれた文字を書き写しだした。「え?スマホという現代機器を駆使してカメラ機能を使いこなせば、すぐ写せるでしょ?」『うん。でもそれは申し訳ない気がして。』「ま、そこがルカらしいとこだね。」『その人らしいってさ、なんか難しいよね。言われて気付く気がするね。だからわたしも、夕夏しか出来ないところを見たら、夕夏らしいって何度でも言ってあげるね』
書き写しながら、親指と人差し指でペンを持ち、中指と薬指と小指の3本で耳に髪をかけるその指がなんとも艶やかで、きゅっとしながら夕夏は頬を染めた。「んもぅ、そうゆうことをさ自然にやっちゃうんだから!1秒くらい心臓止まったわ」『え?なにが?』顔を振るとまだほんのり頬を染めた夕夏と目が合ってまた1秒、夕夏は上瞼を少しだけ伏せ、イイからイイから、と流歌の顔を後ろから両手で包み、書き写せるよう戻してやった。「やっぱりさ、自分が自分を一番分かってないのかもね?」
キャッキャウフフとはしゃいでいると、空から蜘蛛の糸で吊るされているかの如く、すーっとサクラの花弁が流歌の手に落ちてきた。
『サクラも最後…かな』
そう言って手を静かに閉じた。
ー季節は春。でも、季節よりも人の想いに起こされている桜たち。気の早い花が先に咲いて、足並み揃って満開になる時には、散る花が居て…最後は街並みを君色に染める。君の本当の美しさはどこに在るんだろう。きっとどれも美しい。でもわたしにはまだ分からないかな。うん、咲いていても、そうで無くても、貴方は美しいよー
『わたしに付き合ってくれてる、夕夏のココロも美しいね』「いや、まぁまぁ。わたしは美しいわよ。で、涙の訳は分かったの?」
どきっ
「ゴミが目に入った、ってベタ過ぎだよ笑」『あは。バレてたかー。すごく優しいココロに触れた気がしたんだけど…でもやっぱり理由はわからないや』
「そっか。日も暮れてきたし帰ろっか♪」
二人が屋上から降りてくると、4人の天文部員が階段を登ってきた。流歌があれ?あの人は確か…と想ったが、結人は素振りも見せず屋上へ行ってしまった。「ん?結人に何か用だった?」『あ、いえ、用というか何と言うか…』
結人。その名を聞いて左胸の奥の方が温かくなった。ポッと小さな火が灯るように。
(ん〜。この感覚は…あの時の嬉しさに似てる…?)
「てか君、可愛ねー♡とりあえずLINE交換しよ♪」
『ごめんなさい。LINEしてないので』「先輩、すみません。わたし達急いでるので、失礼します〜」と、夕夏が流歌の手を引いてバタバタと駆けて行く。なぜか自然と口角を上げながら、透明だった水面に初めて色が付いた瞬間でもあった。
『ごめんなさい。LINEしてないので』「先輩、すみません。わたし達急いでるので、失礼します〜」と、夕夏が流歌の手を引いてバタバタと駆けて行く。なぜか自然と口角を上げながら、透明だった水面に初めて色が付いた瞬間でもあった。
「ふーん。1年生が、結人に…ねぇ。」