Local-Liner ~静サツ雑記帳

静岡運転所札幌派出所=静サツへようこそ。
札幌圏の鉄道を軸に、気ままに書き連ねていく日記です。

列島縦断帰省記 ~めくるめく国鉄特急物語 第12回 紀勢本線のキオク 新宮→宇久井→新宮

2015年12月01日 | 鉄道 ‐ 旅行(2015年)


 「(ワイドビュー)南紀」に乗って新宮に到着しました。



 ここから西はJR西日本になります。



 2面3線で車庫も持つ新宮駅。名実ともに拠点駅です。



 熊野三山の一つ・熊野速玉大社を中心に広がる市街地。同じ市内の新宮市内の神倉山(『古宮』)に対し『新宮』と呼ばれ、これが市名や駅名の由来になっています。
 せっかくなので訪ねたいところですが、時間がないのでパス。



 とはいうものの、昼ご飯を調達しに駅の外に出ます。

 昭和生まれの機能一点張りの駅舎。観光地の駅なんだから、もっと明るい方が……



 駅前広場には、新宮~勝浦開業100周年の記念碑が立ちます。

 紀勢本線は3つの区間に分けて建設が始まりましたが、参宮線として開業した紀勢東線(亀山~多気)に次いで開業したのが、新宮~勝浦です。
 新宮は門前町であると同時に、熊野川を伝って熊野の奥地から流されてくる(※)材木の集積地でもありました。新宮には大きな港がないため、港町として繁栄を続けてきた勝浦(那智勝浦町)まで運ぶ目的で鉄道が建設されました。後に紀勢中線と呼ばれることとなる、新宮鉄道です。
 1912年に勝浦(現:紀伊勝浦)~三輪崎が開業、翌1913年に三輪崎~新宮が開業します。
 (※……筏を組んで流していた)


 やがて時代は進み、鉄道が交通の中心になると、紀伊半島を一周する鉄道が計画されます。1923年には名古屋側から紀勢東線が、1924年には大阪側から紀勢西線が開業。ルート上にある新宮鉄道は1934年に国有化され、両側から接続するのを待っていました。
 しかし、なかなかやってこない鉄道に業を煮やした結果、紀勢中線も独自に延長をします。1936年に、半島最南端の串本まで延長します。
 先に接続したのは西側でした。1940年の江住~串本開業で紀勢西線と接続。同時に東側も延長され、和歌山市~紀伊木本(現:熊野市)が繋がりました。

 しかし、戦況の悪化とともにここで工事は中断。残る尾鷲~熊野市の開業は、10年の歳月を待つこととなりました。



 無機質な外装と裏腹に、中はリニューアルがなされていました。



 券売機も同様。



 これから串本行きの普通列車に乗り込みます。



 1番線にはキハ85系に代わって283系の「くろしお22号」が停車中。



 愛称はオーシャンアロー。
 かつては列車名も「オーシャンアロー」でしたが、287系の投入で「くろしお」に統一されました。



 先頭には非貫通のグリーン車を従えています。

 これ、実はかなりのレア編成です。
 「くろしお」のグリーン車は新宮側に揃えられていますが、その例外が大阪側にグリーン車を持つ、283系HB632編成(通称C編成)1本しかいません。
 ついでに、その後ろにいる両端が貫通型の3両編成(HB631編成。通称B編成)も1本限りの存在。
 283系自体18両の小所帯ですが、3+3の組み合わせともなるとレアなんてもんじゃありません。



 乗るのは105系の串本行き。
 JR西日本お得意の単色塗装ですが、和歌山地方色の青緑は割と違和感ありません。

[紀勢本線 2332M 新宮12:15→串本13:28]
《新宮 12:15発》



 雨の中を進む105系。海岸線に沿って進みます。



《宇久井 12:28着》

 3つ目の宇久井で下車しました。



 紀伊勝浦から戻ってきた「(ワイドビュー)南紀」の通過を待ちます。



 交換が終わると、105系は再び西に向かって走り始めました。



 木造駅舎が残る宇久井駅。



 駅前を片側1車線の国道が横切ります。勝浦~新宮のバスが1時間おきに走っており、昼間はこちらが圧倒的に便利。



 待合室。



 本日の昼ご飯は、新宮駅前にある徐福寿司の「さんま姿寿司」。さんまを丸ごと酢〆した、新宮の名物です。



 宇久井駅の時刻表。朝夕に集中した通勤・通学ダイヤです。紀伊半島の普通列車は紀伊田辺~新宮の長距離列車(約3時間に1本)を基本に、串本~新宮、紀伊勝浦~新宮の区間列車が加わります。

 さて、宇久井に来た目的を果たしに、ホームへと戻りましょう。







 手始めに283系「くろしお22号」が通過。宇久井駅はカーブの途中にあり、ポイントに40km/hの速度制限がかかりますが、迫力はなかなかのもの。



 そして381系の「くろしお3号」が現れました。
 これこそ私の見たかった381系の走行風景です。



 非貫通のクハ381-500を最後尾に、列車は新宮方面へと消えていきました。



 2本の「くろしお」を見届けた後、反対側のホームへ。



 新宮行きの105系で戻ります。

[紀勢本線 337M 紀伊田辺10:44→新宮13:34]
《宇久井 13:22発》



 雨足は強まるばかり。





 紀伊佐野、三輪崎と駅が連続します。私鉄に由来するこの区間は駅間が短めです。



 三輪崎を出ると、堤防に沿って走ります。荒れる黒潮と山に挟まれたこの区間は、平均駅間2kmの旧新宮鉄道区間において4.7kmもの距離を隔てます。



《新宮 13:34着》

 無事新宮に到着。



 3番線にキハ25系、さらに奥の1番線には到着したばかりのキハ85系「(ワイドビュー)南紀3号」が並びます。紀勢本線のオールスターといってもおかしくない面子です。



 ですが、真の主役はその裏、新宮駅後方に広がる留置線群の中にいます。先程「くろしお3号」として到着し、清掃作業に入る381系です。
 なにせ、私はそのためにここまで来たのですから。



 徒歩5分ほどで、駅裏手にたどり着きます。線路に沿って道路が伸びているため、辿り着くのは容易でした。
 この位置が、一般人の入れる限界。線路沿いに道は続きますが、車両区の敷地になるため立ち入り禁止です。



 精一杯のズーム。



 でも大丈夫。敷地内は無理でも、その手前にある駐車場なら入れます。

 ということで、381系の観察開始です。



 新宮側先頭のクロ380は、中間グリーン車だったサロ381の改造車。先頭のパノラマは「スーパーくろしお」時代からの名物です。グリーン車ながら窓割りが普通車とさほど変わらないのも特徴です。オーシャンアロー同様、クロ380を含む編成は「スーパーくろしお」を名乗っていたこともありましたが、現在では「くろしお」に統一されています。
 「くろしお」にはクハ381改造の非パノラマ型のグリーン車を含む編成もいましたが、287系投入で一足早く引退しています。



 車の隙をついて撮影。



 モハ380。車体に対して異様に大きいパンタグラフが目を引きますが、これは381系の持つ振り子装置が原因です。



 モハ381。モハ380とペアを組む中間車です。パンタグラフがなくなり、逆にすっきりしすぎています。



 と、ここで駐車場の限界がきたためいったん退避。駐車場の外側にある脇道から攻め直します。



 「くろしお」にはモハ380-モハ381のユニットが2組組み込まれています。



 2回目のモハ381。



 大阪側先頭のクハ381は、現在進行形で作業中でした。道路が線路からどんどん離れていく関係で、望遠もこれが限界です。



 踏切を渡り、駅に戻ります。381系を待ち受けるために。


 次回、381系に乗って大阪を目指します。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿