Local-Liner ~静サツ雑記帳

静岡運転所札幌派出所=静サツへようこそ。
札幌圏の鉄道を軸に、気ままに書き連ねていく日記です。

列島縦断帰省記 ~めくるめく国鉄特急物語 第1回 HTT(変態特急タイム) 札幌→函館

2015年10月13日 | 鉄道 ‐ 旅行(2015年)
まず始めに断りを入れておきます。

この帰省は事実上の『失敗』に終わりました。
もちろん、乗っておきたい列車は一通りコンプリートしたのですが、写真がことごとくミスってしまいました。構図、露出、その他もろもろ……あまりのひどさに、公開を止めようかと思ったほどです。
それでも露出などはJTrimなどのソフトを使いなんとか見られるレベルまで修復しましたが、構図に関してはどうしようもありません。
したがって、これからの写真はあまり出来がよろしくないことを承知でご覧ください。


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[Day 1 : 2015 / 9 / 11]



 地下鉄で札幌駅に到着したところから始まります。おっと、地下鉄は「さっぽろ」表記でしたね。



 時刻は朝の7時17分。徐々に駅に活気がやってくる時間帯です。



 札幌住まい静岡育ちの私の帰省ルートは、つきつめると2つに絞られます。新千歳空港から飛ぶか、函館本線経由で乗るか。
 今回の帰省では行きは鉄道で、帰りは飛行機で向かいました。



 お目当ての「北斗4号」は5番線からの発車です。



 お隣にいるのが、7時21分発の「オホーツク1号」。北海道に残る最後の国鉄特急形車両・キハ183系で運転されます。
 北海道を代表する気動車・キハ183系は、道内ほぼ全ての路線を走ったことのある車両です。国鉄時代末期からJRにかけて製造されたため、基本番台だけでも0番台・500番台(N183系)・550番台(NN183系)の3種類。改造車も含めれば膨大な数になります。それだけで記事は2つかけそうです。

 『国鉄特急』ではあるのですが、今回はキハ183系の紹介は割愛します。

 「オホーツク」では、基本的にキハ183形1550番台(550番台)が先頭に立ちます。



 反対側の先頭は原型を残すキハ183形200番台(キハ183形0番台のエンジン換装車)。キハ183系の登場以来活躍する車両ですが、いよいよ来年度からキハ261系による置き換えが始まる模様です。



 本日の1番列車「北斗4号」もキハ183系。北斗にはHET色と呼ばれる、青をベースとした車両が基本的に入ります。
 板がついた感のあるHET色も、あといくばくもありません。というより、最高速度110km/hのオホーツク用車両より、最高速度120・130km/hでぶっとばす北斗用車両の方が予断を許さない状況にあります。130km/h運転が中止になったとはいえ、最大で札幌―函館2往復=1344kmを1日で走っている北斗用車両は、車両の限界いっぱいで走っており、その分酷使されているからです。



 北斗は所定5両編成。かつては増結した7両が日常だったときもありましたが、事故の後予備車確保のため増結はなくなりました。



 5号車はキハ183-1505。500番台の基本先頭車です。
 え? 500番台じゃないのかって? キハ183形500番台は別に存在します。ただし、この車両はサービス電源(冷房や照明などの、走行装置とは無関係の電源)用の発電機を持たず、他の車両からサービス電源をわけてもらうタイプになっています。なので、4両分のサービス電源をもつキハ183形1500番台が基本なのです。



 4号車はキハ182-509。500番台の中間車です。



 3号車はキロ182-504。グリーン車です。
 キロ182形500番台は、半分が130km/h対応の2550番台に、もう半分は廃車されてしまったため、このキロ182-504が現在唯一残る500番台だったりします。



 キロ182形500番台の特徴のハイデッカー。乗りたいのも山々ですが、グリーン料金が結構高くつくし……札幌―函館では自由席特急料金+4110円です。



 函館側の車端には車販準備室があります。

 それまで特急車両には食堂車がつきものですが、キハ183系では食堂車を廃止して軽い調理が出来る車販準備室の設置にとどまりました――といっても、それは0番台の話。時代が進み、特急の短距離化が進んだN183系では調理機能もなくなり、車内販売専用となりました。札幌―函館で約4時間。一番長い札幌―網走ですら6時間程度ですから、なくなったのは当然かもしれません。(当時は札幌―稚内の特急はなかった)

 全国各地で姿を消す車内販売も、札幌―函館ではまだまだ現役。弁当に飲み物などを積みこんでいきます。



 2号車はキハ182-508。こちらも普通の中間車。



 先頭を飾るのはキハ183-1507。5号車のキハ183-1507同様未改造です。

 というわけで、『5両全てが500番台で統一かつ全て未改造』という、非常に珍しい編成に出会いました。
 というのも、130km/h運転を行っていた関係で「北斗」は550番台(正確にはその改造車)がメインになっているからです。そうでなくとも、未改造で残るキロ182形500番台はこれが唯一です。



 Hokkaido Express Train=HETのロゴ。北海道全体を意識したのでしょうが、事実上「北斗」専用の色として活躍してきました。



 5両紹介するだけで大分時間を使ったので、そろそろ出発です。



 今回乗車するのは指定席の2号車です。通路側を含めほとんどが埋まっています。



 トイレがてら車内探訪―ーのつもりが、トイレ町の行列が出来ていました。仕方がないので、車販準備室脇で待機。



 実は、1・5号車のキハ183形1500番台にはトイレがついていません。かつ、グリーン車は車掌とアテンダントが目を光らせているため入れません。トイレは全て進行方向後ろにあるため、1・2号車の客が使えるトイレは2号車後ろのここ1つしかないのです。もう少し何とかならないものか……



 で、トイレのない1号車を先に訪問。主だった機械は床下にあるため、車内はキハ182形とほぼ同じ。



 最前部は展望席になっています。



 キハ183系には大型荷物用の棚があります。



[千歳線・室蘭本線・函館本線 5004D 特急北斗4号 札幌7:30→函館10:14]
《札幌 7:30発》

 トイレがあまりにも空かないため、3号車で出発を迎えました。折角指定席を取ったのに、なんで始発駅を座席でむかえられないんだ!



 苗穂を過ぎてようやくトイレが空きました。



 ようやく座席に着いたときには既に新札幌に到着しようとするころでした。



 ここでいきなりクイズです。通常の北斗に使われている車両のうち、もっとも無茶な運用をしているのはどの車両でしょう?

 正解は、未改造の500番台です。
 なぜなら……

1:もともと最高110km/hだったところを、550番台にあわせて最高120km/hに改造
2:550番台よりエンジン出力が小さいが、エンジンは変えていない
3:にもかかわらず、550番台車と同じように札幌と函館を1日2往復している。

 550番台は元々最高速度を120km/hとしており、エンジンも出力が大きめのものを使用しています。500番台でも、550番台と連結するキロ182形500番台(→2550番台)はエンジンを交換しています。さらに、現在では全ての車両が最高120km/hで運転されています。
 つまり、500番台はエンジン出力が小さいにもかかわらず、550番台(と改造車)並の仕事を強いられているわけです。

 もっとも、キハ183系の炎上事故では550番台のエンジンが問題になったため、信頼と言う意味では500番台の方が上だったりしますが。



 南千歳停車直前、わずかですが空港を見ることが出来ます。かつて南千歳は千歳空港と呼ばれ、玄関口として機能していました。



《東室蘭 8:56着(1分遅れ)》

 約1時間半で東室蘭。ここまでの表定速度は91.2km/hです。ディーゼル特急とは思えないほどの速さです。
 北海道では度重なる事故以来、最高120km/hの「減速運転」ダイヤになっていますが、その足の速さは今でも健在。韋駄天であることには変わりありません。
 そして、許容最高速度120km/hの500番台にとって厳しい運転であることにも変わりありません。



《東室蘭 8:58発(1分遅れ)》

 現に、わずかに遅れて発車します。



《洞爺 9:24着(2分遅れ)》

 観光客の多い洞爺。札幌―洞爺の利用も多いですが、朝便とあっては乗降もまばら。



 列車に揺られること3時間。うつらうつらしていると、列車はもう大沼にまでやってきていました。



 大沼からは仁山回りで下ります。前回(道南18きっぷ絵巻第3回参照)でも触れたように、大沼―七飯には2つルートがあり、藤城線が下り、仁山回りは上り線として機能しています。



 前回は触れなかった加速線がこちら。仁山に停車した大沼方面の列車は一度この線へとバックし、再び大沼方面へと進みます。前後に25パーミル勾配があり、加速力を得るための策でした。



 現代の特急はといえば坂をするりと下り、新幹線の終端に出会います。



 渡島大野を通過。いずれ通過することもなくなります。



《函館 11:18着(5分遅れ)》

 さて、じわじわと遅れつつあった北斗4号は、終点に5分遅れで到着しました。



 ここで「白鳥22号」に乗り換えるのですが、発車時刻は11時19分。既に電光掲示では「白鳥22号」の文字が点滅し、発車間近であると注意しています。



 あわててかけこむ乗客たち。もう少し遅れていたら「白鳥」を五稜郭に停めて五稜郭で乗り換えさせたのでしょうが、なまじ遅れが小さいために函館ダッシュになってしまったのでした。いつの連絡船の時代ですか?



 はちゃめちゃな函館駅から、次回はスタートです。


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