Local-Liner ~静サツ雑記帳

静岡運転所札幌派出所=静サツへようこそ。
札幌圏の鉄道を軸に、気ままに書き連ねていく日記です。

年末帰省2013 第8回 底になる前に 高崎→川原湯温泉

2014年02月15日 | 鉄道 ‐ 旅行(2013年)
 前回のあらすじ



 両毛線で高崎までやってきました。

 2013/12/27 13:30 高崎駅



 高崎駅は高崎線・上越線・信越本線と上越・北陸新幹線が集まるターミナル駅です。これに加えて上毛線経由で両毛線(新前橋から分岐)・吾妻線(渋川から分岐)の列車が乗り入れ、始終鉄の音が聞こえます。
 そんな高崎駅ですが、ここを始発/終着とする列車が多いため、路線ごとにホームは決まっていません。電光掲示板で次の列車のホームが示されています。在来線だけで2番線から8番線まである(1番線は元「あさま」ホームで現在立ち入り禁止)ので間違えると大変なことになります。



 折り返し小山行となる107系。



 反対側のホームから。



 折りよく185系の特急「草津3号」が入線してきました。



 吾妻線に乗り入れ上野―万座・鹿沢口を結ぶ特急「草津」は、吾妻側沿いの温泉地を結ぶ行楽特急として1日2往復(土曜休日はプラス1往復)が運転されています。昔に比べると客は減っているようですが、廃止にならないあたりまだまだ面目を保っています。「水上」ェ……
 この「草津」に使用されている185系は、今年(2014年)の春から651系に置き換わることとなっています。急行から格上げした当時は新特急を名乗っていたし185系は特急型とは思えない2扉車だしこれでやっと真の特急格上げに……おや、誰かが来たy(検閲削除)



 13時34分、「草津3号」が発車していきました。



 13時45分頃、吾妻線の万座・鹿沢口行きが湘南色の115系でやってきました。



 もうお分かりかと思いますが、次の列車はこの537Mです。



 万座・鹿沢口は終点の一つ手前の駅です。



 高崎車両センターの115系は編成番号が『T+(モハ114の車番)』となっています。3両編成と4両編成2種類の3種類の編成パターンが存在します。
 通常こういう場合はそれぞれの組成ごとに編成番号を分けるのが通例ですが、高崎では編成に関係なく含まれるモハ114によってのみ決まっています。
 このT1022は3両編成です。

(参考)3両編成:クハ115+モハ114+クモハ115 ×11本
    4両編成(A):クハ115+モハ114+モハ115+クハ115 ×9本
    4両編成(B):クハ115+サハ115+モハ114+クモハ115 ×2本





 編成を決定付けるモハ114-1022。高崎の115系は全て1000番台なので、電動車の車端には雪切室があります。



 車内の様子。3両編成はほとんどが座席のリニューアルがされています。



 発車時刻表。3・4番線は通常高崎線の列車が発着し、上越方面の普通列車は大抵5番線から発車します。



 それでは、537Mに乗って吾妻線へ。

[(上越線・)吾妻線 537M 高崎13:57→万座・鹿沢口15:43]



《高崎 13:57発》



 市街地を抜け、新前橋で両毛線の高架と別れます。



 新前橋から風景はすっかり田舎色に。
 平地なので115系は快走……かと思いきや、ところどころにカーブが挟まるため85km/h以上出すことが出来ません。幹線級の路線としては不適といわざるをえないでしょう。



 八木原で115系とすれ違います。高崎以北では基本的に115系と107系しかいないので、写真の光景はよくよく見られます。



 吾妻線の分岐駅・渋川に到着。使われなくなった群線が目を引きますが、ホーム自体は2面3線と分岐駅にしては小規模です。伊香保温泉の玄関口でもあります。



 到着目前、157系リバイバル色となった185系OM08編成と出会いました。157系はかつて「白根」(「草津」の前身となった準急)で使用されていた電車です。リバイバル色になった当時はJR東日本がトチ狂ったのとかと思いましたが、意外と似合っています。特急レベルの準急と急行レベルの特急だから相性は悪くないのか?

《渋川 14:23発》



 渋川から分岐。いよいよ吾妻線に入ります。



《金島 14:28着》

 最初の駅・金島駅で4分ほど停車します。



 なかなか発車しないので対向列車があるかと思って待っていたのですが、来ないまま発車時刻が来てしまいました。
 実は、この駅ですれ違う列車は土曜・休日のみ運転の「草津32号」。平日のこの日(12月27日)は設定がないのでした。

《金島 14:32発》



 金島を発車してすぐ上越新幹線の高架をくぐります。なんとなく江差線を思い出しますね。



 しばらくすると、吾妻川の流れが見えてきます。この先吾妻線は川に沿って走ることとなります。



《小野上 14:41発》

 小野上駅にホッパー車が停車していました。このホッパー車はJRが所有するもので、駅裏手で採っているバラスト用の石を運びます。不定期ですが今や数少ない専用貨車による貨物列車です。



 基本的に両岸に山が迫る吾妻川ですが、中之条付近では一度ひらけます。



 沿線にはぽつぽつと発電所が見えます。
 吾妻川は利根川の主要な支流のひとつで、雪解け水を源流とする支流の開発は1920年代から進められてきました。事実、吾妻線の源流の一つ・吾妻軌道(渋川~中之条)は、発電所開発のため電力会社が営業していた時期があります。



 岩島を出ると、左手に巨大なPC橋が現れました。



 さらに進むと、大規模に作られた法面で守られた国道が見えてきます。
 これらの正体は、もう少し後で分かります。



《川原湯温泉 15:15着》

 岩島から7分。目的の川原湯温泉に到着です。



 反対の538M(長野原草津口15:05→高崎16:31)も115系で、湘南色が2本並びました。



 降りたのは私1人だけ。湘南色の115系は静かに川原湯温泉を去っていきました。



 この駅は文字通り川原湯温泉の玄関口。特急も停車します。
 が、今回の目的は温泉ではありません。



 駅舎は木造のものが残ります。が、今回の目的はこの木造駅舎でもありません。



 この駅に降り立ってまず目に付くのが、駅のはるか上空に架かる一本のコンクリート橋。新餘部鉄橋でも採用されたエクストラドーズド橋です。簡単に言えばコンクリート橋と斜長橋を足して割ったような構造です。
 なによりも気になるのはその高さ。最も高い地点では地上から約80メートル。吾妻川の底からだと実に100メートル近い高度差があります。



 この橋の名前は『湖面1号橋』といいます。群馬県道377号線川原畑大戸線の一部となる予定の道路です。
 湖面というにはあまりに高い場所にあるのには理由があります。将来的にはあそこが湖面となるからです。
 そう――あの『八ッ場ダム』のダム湖によって。



 川原湯温泉駅から国道を川沿いに下ること10分のところに、それはあります。ここが、八ッ場ダムの本体が出来る予定の場所です。



 青みがかったグレーの部分がダム本体、青の部分がダム湖、そして茶色の部分が元の地面です。今いる場所は当然この茶色の部分になります。
 この茶色の部分に国道も吾妻線も存在します。そのため、八ッ場ダム建設に伴い新たに付け替える必要が出てきました。岩島を発車してから見えていた、新しく作られた橋や法面つきの道路は、この代替となる線路/道路だったのです。



 建設予定地となっている場所はロープが張られ入れないようになっています。一部コンクリートで補強してあるところもありますが、本体工事に着手しているわけではないようです。


 ただし、放流口のトンネルはでき上がっていました。ここを水が流れ始めたら、いよいよ本体に着手しそうです。

 公共工事削減を謳った民主党時代に、『ムダの代表』として一時建設中止となった八ッ場ダム。当時はそのまま凍結かと思われましたが、1年後に工事を再開。吾妻線や国道の付け替え工事が本格的に始まったことをみると、一応工事は進行しています。
 八ッ場ダムの建設是非に賛否両論あるのでここでは議論の対象とはしません。一番問題なのは、現在建設中であるダム工事で周囲がどう変化するかです。



 このあたりは吾妻峡(吾妻渓谷とも)と呼ばれ、切り立った岩が目立つ景勝地です。国道も歩道が整備されている他、対岸も遊歩道があります。



 ダムが建設されると上流の長野原町側は湖の底になり、この景観は失われてしまいます。



 さらに深刻なのが、その上流に位置する川原湯温泉です。
 八ッ場ダム建設予定地にある地図を見れば一目瞭然。沈む範囲が点線で示されていますが、川原湯温泉はほぼ全てが水没予定地に入ってしまっています。
 その補償として現在地より高い場所に新・川原湯温泉の造成が進んでいますが、移転は進んでいないようです。住宅だけならまだしも、温泉がからんでいるため離れるに離れられないのが現状です。温泉宿の最大の売りは温泉なわけで、温泉を捨てるには覚悟がいります(新・川原湯温泉も一応温泉は採れるようですが)。

 もう少し上流に進んでみましょう。



 吾妻川に架かる橋から見た吾妻渓谷。中央のつり橋は遊歩道のものです。これだけの景観が水の底に消えるのには、むなしさを感じます。



 吾妻線も付け替えられるため、岩島~川原湯温泉~長野原草津口の線路は新線ができ次第廃線となる予定です。吾妻川に架かる鉄橋も水の中に消えるでしょう。



 湖面1号橋を遠くに見ながら。



 八ッ場ダムの問題に一番苦しめられた川原湯温泉。1970年代から続く諍いに温泉は疲弊し、源頼朝以来といわれる名湯は退廃してしまいました。
 国道に残る真新しい看板は、川原湯温泉の人たちの最後のあがきではないかと私は思うのでした。



 湖面1号橋のシルエットが長く暗い影を落としていました。その光景は、八ッ場ダムの未来を憂えているように見えました。

 ……よし、シリアスはおしまい!



 次の列車の時間も近づいてきたので、駅に近い踏切に向かいました。



 吾妻川を渡ってきた上り列車を撮影します。
 ……こちらは練習。

 本題は湖面1号橋をバックにした115系です。
 そして撮れたのが……



 なんかいまいちorz……



 川原湯温泉に停車中の列車。



 ともあれ、駅に戻ります。



 川原湯温泉は有人駅ですが、営業は16時ごろで終わってしまいます。丁度管理人の人が窓口を閉めるところでした。



 川原湯温泉の時刻表。日中は少ないですが、おおむね1時間に1本は来ます。



 有人時代を思い起こさせる改札口。



 岩島駅で先ほどの115系とすれ違った107系がやってきました。
 次の目的地は、この列車の終点・大前です。

 ということで続きは次回へ。



 おまけ

 吾妻線の沈む区間の途中に、日本一短いトンネルといわれる樽沢トンネル(7.2m!)があり、それを目指すつもりで国道を歩いていたのですが、川原湯温泉から片道1時間もかかるとのことで時間がなく諦めました。今度こそは……


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