みなさまお久しぶりです。静サツです。
1週間近く更新をお休みしていましたが、ようやく更新の運びとなりました。
それが――こちらです。
ニコニコ動画
Youtube
※同一動画です。どちらも本人による投稿です。
というわけで、久々の吹奏楽アレンジ製作、酒井ミキオの「アイデンティティ」です。現在(2015年秋)やっているアニメ「落第騎士の英雄譚」のオープニング曲です。
はい、この"現在やっている"というのが非常に大事です。これは後で解説します。
酒井ミキオというと、スクライドのOP「Reckless Fire」などで知られる、熱い歌声が特徴の男性シンガーソングライター。作曲・編曲のほうでも知られており、数々の楽曲を提供しています。とはいえ、ここにきて聞くことになるとは予想外でした。映像と相まって、ここ近年のアニメOPにはない爽快感を生み出してくれています。アニメ自体も(ついでに原作も)予想以上に丁寧かつ本気なつくりになっているので、是非ご覧ください。ちなみにEDはALI PROJECTです。豪華!
以上ダイレクトマーケティングでした。
楽器一覧はこちらです。
[編成](☆はオプション)
☆Piccolo
・Flute
・Oboe
・Bassoon
・E♭Clarinet
・B♭Clarinet(1st./2nd./3rd.)
・Bass Clarinet
・Alt Saxophone×2
・Tenor Saxophone
・Baritone Saxophone
・Trumpet(1st./2nd./3rd.)
・Horn(1st.&2nd./3rd.&4th.)
・Trombone(1st./2nd./3rd.)
・Euphonium
・Tuba
・Drums
・Percussion1(☆BassDrum,Triangle)
・Percussion2(Suspended Cymbal,Bongo)
・Tambourine
・Xylophone
・Mallets(Glockenspiel,Vibraphone,☆Marimba)
いつになく豪華な構成です。特にマレットパーカッションは充実させました。
そんなわけで、恒例の解説といきましょう。
・バカな……早すぎる……!!
静サツはコレまでにもいくつか楽譜を作ってきましたが、大抵アニメ放送終了後に発表しています。その理由は、静サツがフル版を待ってから製作に移るためです。1分30秒程度の短縮版もいいですが、やはり作るならフルを作りたいところです。
ところが、フル版が出てくるのは大体放送開始の2ヶ月ぐらい後。近年は特にアニメのイメージに沿った書き下ろし曲が多く、またCDがアニメグッズと同等に扱われるようになっているため、どうしても発売が遅くなってしまうのです。静サツがフル版を発見してから、聞き込み→耳コピ→調整→動画とやっていると、大抵放送が終了してしまっています。
が、今回の「アイデンティティ」はどういうわけか10月21日に発売。理由は全く定かではありません。酒井ミキオがOPを担当するという話は夏ごろに出ていましたが、ここまで熱い曲は久々に聴きました。
かくして、10月24日より製作を開始。音と楽譜の作成で5日。動画に1日。計1週間で完成させました。完成を急いだのは、これまで『放送終了前に完成品を見せる』ことができなかった静サツが、放送終了どころか半クール(つまり6話)も過ぎないうちに公開できるという興奮があったからに他なりません。もちろん、急いではいるものの、楽譜にはきちんとこだわりをもっています。
・構成の陰に
原曲の構成は、ベース・ギター・キーボード・ボーカルと言うバンドの基本構成に加えて、飾りとしてトランペットが加わります。'90年代~'00年代のアニメではよく見られた構成で、新しい曲ながら懐かしさも入ります。「Reckless Fire」と似ていることもあって余計に。近年のアニソンはキーボード→シンセサイザーを中心とした電子音が中心で、ギターはあまり目立たない曲が多いのですが、「アイデンティティ」はギターメイン、キーボード控えめのオーソドックスなスタイルです。音の構成がシンプルな分、芯のある歌声が目立つつくりになっています。
曲の流れもシンプルで、前奏→Aメロ→Bメロ→サビ(短)→A→B→サビ(長)→Cメロ(ギターソロ)→サビ(長)→後奏とシンプル。サビ(長)には繰り返し部があります。
テンポは124ですが、裏打ちリズムのため実質テンポは倍の248です。
さて、これを吹奏楽に編曲するに当たって、サビのメロディーを何にすえるかという問題が一番に上がってきました。
本来なら力のある歌声を再現するには金管がいいのですが、トランペットは飾りとして欲しいので難しく、ホルンは音域と力強さに難あり(今回のサビの音域ではどうしてもやわらかい音色になってしまうのです)。トロンボーンは当初サビを吹かせるつもりでしたが、スライドのため速度に難があることと、Bメロでメロディーを担当させてしまったためボツ……と、高音・中音系の金管が軒並み戦線離脱してしまったのです。
したがって金管からはユーフォニウムしか出せず、代わりに木管を低音を除き全員メロディーに回すことで音量と力強さを確保することにしました。実際にはユーフォニウムを伴奏に回した場合、元の構成がシンプルすぎて伴奏させるものがないし、ベースにするには音が高すぎるという、消極的な理由です。中低音からもバスクラ(BsCl.)とテナーサックスをメロディーに回しています。
が、それだけだと盛り上がりに欠けるので、サビの繰り返し部(リハーサルマークの「G」)ではトランペットも参戦します。だからといって、この曲の一番のポイント、そして作成するきっかけともなったトランペットの飾りをとるわけにはいきませんので、2nd./3rd.をサビに回し、1st.は飾り担当です。1st.だけサビを吹かないというのは吹奏楽ポップスでは異例ですが、この曲に関して言えば、むしろ花形は飾りのほうです。サビは木管の付け合わせに過ぎませんから。
・リスペクトの敗北
静サツの基本理念として、原作リスペクトがあります。『鳴っている音は可能な限り取り込む』『調・リズムは原則変更しない』『実際に吹ける楽譜にする』。そして、『原曲の雰囲気を大切にする』。これはやさしい曲では木管メイン、バリバリの曲は金管をメインにすることで、なるべく吹奏楽版で雰囲気を壊さないための処置です。ですが、それに失敗したのは上の通り。サビに金管がいないので、普通のポップス曲に近い感じになりました。むしろトロンボーンメインのBメロはそれっぽい感じ。
そして1番目の『可能な限り取り込む』も失敗しました。取り込み損ねたのではなく、取り込めなさ過ぎたというのが正しい表現です。原曲がボーカルを前面に押し出す構成のため、通常のポップスに比べて音が少ないのです。
かくして、ソロパートのあるBとHのバックや、2番Aメロに当たるFなど、静サツ独自のアレンジが入っています。というか入れないと曲として物足りなくなってしまうので。
・一刀修羅のトランペット
速いパッセージを木管に任せているため、「アイデンティティ」の難易度はこれまで書いてきた曲に比べ低めです。バランスよく割り振った結果、全体的に難しいパートはありません。
例外にあたるのが、管ではトランペットの1st.です。
上にも書いたように、トランペットは全部通して飾りになります。この曲の肝になる部分ですから、吹奏楽版でも忠実にトレースしました(和音を除く)。
ところで、こうした類のトランペットは基本音が高めです。演歌や古いアニソンとかがルーツだと思うのですが、HiAあたりは当たり前、時にはHihiE(DoubleHiE)あたりも聞こえてきます。アイデンティティも例に漏れず、最高音はHihiCis(C#6)です。
しかし、一般的にはHiFから上は高いとされる音域。HiAを超えると吹ける人自体減り、HihiD以上ともなるとプロでも多くありません。出せる音には個人差が大きいのです。
先に挙げた『実際に吹ける楽譜』にする上で、静サツはおおむね高校生レベルで吹ける楽譜を目指しています。となるとあまりHiG以上では書きたくありません。かといって下げると雰囲気が出ません。
ということで、2nd./3rd.はHiFまでで、1st.のみ最高HihiCにしてあります。1st.は出番控えめにしていますが、それでも全編通してHiA以上が頻発します。「落第騎士の英雄譚」で出てくる一刀修羅(主人公・一輝の能力。1分間のみ全身体能力を極限に引き上げる)のように、この曲に全てをつぎ込まないと吹けない譜面。その代わり、吹ければメロディーよりも華々しく目立てることでしょう。
・大変!ドラムが息してないの!
管ではトランペットが大変ですが、『打』ではドラムがひどいことに。
今回、ドラムの聞き取りだけで最低2日は費やした。苦戦したのはハイハット。バスドラム、スネア、シンバルは聞こえるのですが、ハイハットが小さい上に他の音に隠れてハイハットなのか別のリズムパーカッション(タンバリンとか)なのか雑音なのか微妙なところです。構成から考えるとドラムオンリーだと思うのですが、そうすると聞こえてきたのは1小節の中で『足が変則の8ビート』+『拍の頭のハイハットがない16ビート』という変態チックなリズム……元パーカッションですが、何が正しいのか私にはわかりません。
さらに言えば、「アイデンティティ」は裏打ちビートなので、テンポ124といえどかなりせわしないです。加えて、個別に見れば、とまどい→レシピや海色と比べてもとりわけ難しいわけではないのですが、流れではとっつきにくいと思います。
とはいえこれでも減らしたほうで、サビは16ビートをタンバリンに任せて簡略化(開始2小節がいまだによくわかっていない)してあります。
・パーカスマシマシで
耳コピと言う観点から通常はパーカッションが少なめですが、今回はたくさん入れてみました。
今回はマレット系をふんだんに盛り込みました。シロフォンはほぼ全編を通じて入れてあります。他もビブラフォン、グロッケン、マリンバと、マレットのない時間がほとんどないほど叩きます。
一方通常のパーカス系は、バスドラムは初めの1発だけですし、サスペンデッドシンバルも2回だけ、ボンゴやトライアングルも部分的にとどまっています。空いた時間はマレット系を担当するイメージです。
尚、サスペンデッドシンバルで「sharply like sword」とありますが、これは落第騎士の英雄譚を意識した文言(一輝や、ヒロインのステラの武器)です。切り裂くような硬く鋭いロールが求められます。
硬い音を出す場合、トライアングルのビーターを使うやり方があり、それでもかまいません。ただ、音量も欲しいので、私としてはセミハードマレットで、手首ではなく腕で叩くイメージです。ここで、クレッシェンドは音量を上げるにつれて振り下ろす高さを大きくしていく普通のやり方ではなく、打点の高さは変えず腕を使って叩きつける速度とパワーだけを上げていくと、原曲のような鋭い感じが出ると思います。
というわけで、以上解説となります。
アニメはしばらく続くので、是非熱いアレンジ(と感じてくれたら幸い)も一緒にお楽しみください。
追記(2015/12/8):
Youtubeが25000再生、ニコニコ動画が6000再生を突破しました。
そして、なんと酒井ミキオさん本人のツイッターにも紹介されました! →https://twitter.com/raintreemikio/status/673854814128750594
ご視聴ありがとうございます!
1週間近く更新をお休みしていましたが、ようやく更新の運びとなりました。
それが――こちらです。
ニコニコ動画
Youtube
※同一動画です。どちらも本人による投稿です。
というわけで、久々の吹奏楽アレンジ製作、酒井ミキオの「アイデンティティ」です。現在(2015年秋)やっているアニメ「落第騎士の英雄譚」のオープニング曲です。
はい、この"現在やっている"というのが非常に大事です。これは後で解説します。
酒井ミキオというと、スクライドのOP「Reckless Fire」などで知られる、熱い歌声が特徴の男性シンガーソングライター。作曲・編曲のほうでも知られており、数々の楽曲を提供しています。とはいえ、ここにきて聞くことになるとは予想外でした。映像と相まって、ここ近年のアニメOPにはない爽快感を生み出してくれています。アニメ自体も(ついでに原作も)予想以上に丁寧かつ本気なつくりになっているので、是非ご覧ください。ちなみにEDはALI PROJECTです。豪華!
以上ダイレクトマーケティングでした。
楽器一覧はこちらです。
[編成](☆はオプション)
☆Piccolo
・Flute
・Oboe
・Bassoon
・E♭Clarinet
・B♭Clarinet(1st./2nd./3rd.)
・Bass Clarinet
・Alt Saxophone×2
・Tenor Saxophone
・Baritone Saxophone
・Trumpet(1st./2nd./3rd.)
・Horn(1st.&2nd./3rd.&4th.)
・Trombone(1st./2nd./3rd.)
・Euphonium
・Tuba
・Drums
・Percussion1(☆BassDrum,Triangle)
・Percussion2(Suspended Cymbal,Bongo)
・Tambourine
・Xylophone
・Mallets(Glockenspiel,Vibraphone,☆Marimba)
いつになく豪華な構成です。特にマレットパーカッションは充実させました。
そんなわけで、恒例の解説といきましょう。
・バカな……早すぎる……!!
静サツはコレまでにもいくつか楽譜を作ってきましたが、大抵アニメ放送終了後に発表しています。その理由は、静サツがフル版を待ってから製作に移るためです。1分30秒程度の短縮版もいいですが、やはり作るならフルを作りたいところです。
ところが、フル版が出てくるのは大体放送開始の2ヶ月ぐらい後。近年は特にアニメのイメージに沿った書き下ろし曲が多く、またCDがアニメグッズと同等に扱われるようになっているため、どうしても発売が遅くなってしまうのです。静サツがフル版を発見してから、聞き込み→耳コピ→調整→動画とやっていると、大抵放送が終了してしまっています。
が、今回の「アイデンティティ」はどういうわけか10月21日に発売。理由は全く定かではありません。酒井ミキオがOPを担当するという話は夏ごろに出ていましたが、ここまで熱い曲は久々に聴きました。
かくして、10月24日より製作を開始。音と楽譜の作成で5日。動画に1日。計1週間で完成させました。完成を急いだのは、これまで『放送終了前に完成品を見せる』ことができなかった静サツが、放送終了どころか半クール(つまり6話)も過ぎないうちに公開できるという興奮があったからに他なりません。もちろん、急いではいるものの、楽譜にはきちんとこだわりをもっています。
・構成の陰に
原曲の構成は、ベース・ギター・キーボード・ボーカルと言うバンドの基本構成に加えて、飾りとしてトランペットが加わります。'90年代~'00年代のアニメではよく見られた構成で、新しい曲ながら懐かしさも入ります。「Reckless Fire」と似ていることもあって余計に。近年のアニソンはキーボード→シンセサイザーを中心とした電子音が中心で、ギターはあまり目立たない曲が多いのですが、「アイデンティティ」はギターメイン、キーボード控えめのオーソドックスなスタイルです。音の構成がシンプルな分、芯のある歌声が目立つつくりになっています。
曲の流れもシンプルで、前奏→Aメロ→Bメロ→サビ(短)→A→B→サビ(長)→Cメロ(ギターソロ)→サビ(長)→後奏とシンプル。サビ(長)には繰り返し部があります。
テンポは124ですが、裏打ちリズムのため実質テンポは倍の248です。
さて、これを吹奏楽に編曲するに当たって、サビのメロディーを何にすえるかという問題が一番に上がってきました。
本来なら力のある歌声を再現するには金管がいいのですが、トランペットは飾りとして欲しいので難しく、ホルンは音域と力強さに難あり(今回のサビの音域ではどうしてもやわらかい音色になってしまうのです)。トロンボーンは当初サビを吹かせるつもりでしたが、スライドのため速度に難があることと、Bメロでメロディーを担当させてしまったためボツ……と、高音・中音系の金管が軒並み戦線離脱してしまったのです。
したがって金管からはユーフォニウムしか出せず、代わりに木管を低音を除き全員メロディーに回すことで音量と力強さを確保することにしました。実際にはユーフォニウムを伴奏に回した場合、元の構成がシンプルすぎて伴奏させるものがないし、ベースにするには音が高すぎるという、消極的な理由です。中低音からもバスクラ(BsCl.)とテナーサックスをメロディーに回しています。
が、それだけだと盛り上がりに欠けるので、サビの繰り返し部(リハーサルマークの「G」)ではトランペットも参戦します。だからといって、この曲の一番のポイント、そして作成するきっかけともなったトランペットの飾りをとるわけにはいきませんので、2nd./3rd.をサビに回し、1st.は飾り担当です。1st.だけサビを吹かないというのは吹奏楽ポップスでは異例ですが、この曲に関して言えば、むしろ花形は飾りのほうです。サビは木管の付け合わせに過ぎませんから。
・リスペクトの敗北
静サツの基本理念として、原作リスペクトがあります。『鳴っている音は可能な限り取り込む』『調・リズムは原則変更しない』『実際に吹ける楽譜にする』。そして、『原曲の雰囲気を大切にする』。これはやさしい曲では木管メイン、バリバリの曲は金管をメインにすることで、なるべく吹奏楽版で雰囲気を壊さないための処置です。ですが、それに失敗したのは上の通り。サビに金管がいないので、普通のポップス曲に近い感じになりました。むしろトロンボーンメインのBメロはそれっぽい感じ。
そして1番目の『可能な限り取り込む』も失敗しました。取り込み損ねたのではなく、取り込めなさ過ぎたというのが正しい表現です。原曲がボーカルを前面に押し出す構成のため、通常のポップスに比べて音が少ないのです。
かくして、ソロパートのあるBとHのバックや、2番Aメロに当たるFなど、静サツ独自のアレンジが入っています。というか入れないと曲として物足りなくなってしまうので。
・一刀修羅のトランペット
速いパッセージを木管に任せているため、「アイデンティティ」の難易度はこれまで書いてきた曲に比べ低めです。バランスよく割り振った結果、全体的に難しいパートはありません。
例外にあたるのが、管ではトランペットの1st.です。
上にも書いたように、トランペットは全部通して飾りになります。この曲の肝になる部分ですから、吹奏楽版でも忠実にトレースしました(和音を除く)。
ところで、こうした類のトランペットは基本音が高めです。演歌や古いアニソンとかがルーツだと思うのですが、HiAあたりは当たり前、時にはHihiE(DoubleHiE)あたりも聞こえてきます。アイデンティティも例に漏れず、最高音はHihiCis(C#6)です。
しかし、一般的にはHiFから上は高いとされる音域。HiAを超えると吹ける人自体減り、HihiD以上ともなるとプロでも多くありません。出せる音には個人差が大きいのです。
先に挙げた『実際に吹ける楽譜』にする上で、静サツはおおむね高校生レベルで吹ける楽譜を目指しています。となるとあまりHiG以上では書きたくありません。かといって下げると雰囲気が出ません。
ということで、2nd./3rd.はHiFまでで、1st.のみ最高HihiCにしてあります。1st.は出番控えめにしていますが、それでも全編通してHiA以上が頻発します。「落第騎士の英雄譚」で出てくる一刀修羅(主人公・一輝の能力。1分間のみ全身体能力を極限に引き上げる)のように、この曲に全てをつぎ込まないと吹けない譜面。その代わり、吹ければメロディーよりも華々しく目立てることでしょう。
・大変!ドラムが息してないの!
管ではトランペットが大変ですが、『打』ではドラムがひどいことに。
今回、ドラムの聞き取りだけで最低2日は費やした。苦戦したのはハイハット。バスドラム、スネア、シンバルは聞こえるのですが、ハイハットが小さい上に他の音に隠れてハイハットなのか別のリズムパーカッション(タンバリンとか)なのか雑音なのか微妙なところです。構成から考えるとドラムオンリーだと思うのですが、そうすると聞こえてきたのは1小節の中で『足が変則の8ビート』+『拍の頭のハイハットがない16ビート』という変態チックなリズム……元パーカッションですが、何が正しいのか私にはわかりません。
さらに言えば、「アイデンティティ」は裏打ちビートなので、テンポ124といえどかなりせわしないです。加えて、個別に見れば、とまどい→レシピや海色と比べてもとりわけ難しいわけではないのですが、流れではとっつきにくいと思います。
とはいえこれでも減らしたほうで、サビは16ビートをタンバリンに任せて簡略化(開始2小節がいまだによくわかっていない)してあります。
・パーカスマシマシで
耳コピと言う観点から通常はパーカッションが少なめですが、今回はたくさん入れてみました。
今回はマレット系をふんだんに盛り込みました。シロフォンはほぼ全編を通じて入れてあります。他もビブラフォン、グロッケン、マリンバと、マレットのない時間がほとんどないほど叩きます。
一方通常のパーカス系は、バスドラムは初めの1発だけですし、サスペンデッドシンバルも2回だけ、ボンゴやトライアングルも部分的にとどまっています。空いた時間はマレット系を担当するイメージです。
尚、サスペンデッドシンバルで「sharply like sword」とありますが、これは落第騎士の英雄譚を意識した文言(一輝や、ヒロインのステラの武器)です。切り裂くような硬く鋭いロールが求められます。
硬い音を出す場合、トライアングルのビーターを使うやり方があり、それでもかまいません。ただ、音量も欲しいので、私としてはセミハードマレットで、手首ではなく腕で叩くイメージです。ここで、クレッシェンドは音量を上げるにつれて振り下ろす高さを大きくしていく普通のやり方ではなく、打点の高さは変えず腕を使って叩きつける速度とパワーだけを上げていくと、原曲のような鋭い感じが出ると思います。
というわけで、以上解説となります。
アニメはしばらく続くので、是非熱いアレンジ(と感じてくれたら幸い)も一緒にお楽しみください。
追記(2015/12/8):
Youtubeが25000再生、ニコニコ動画が6000再生を突破しました。
そして、なんと酒井ミキオさん本人のツイッターにも紹介されました! →https://twitter.com/raintreemikio/status/673854814128750594
ご視聴ありがとうございます!
ものすごく、細かく作り込まれてて凄いなと思うと共に教えていただきたいことがあるのですが、私は軽音部に所属していまして、この曲を是非弾きたいのですがなかなかバンドスコアが見つからず、耳コピかなぁっと思ってる次第です。
そこで、この曲をバンドスコア風に仕上げる為のコツやアドバイス等がございましたらご指導頂けないでしょうか?
コメントありがとうございます。
軽音楽のバンドスコアはやったことがないので半分想像になってしまうことをお許しください。
一般的な曲では、ボーカル・伴奏・ベース・ドラムからなります。
バンドの場合、楽器によって担当する音部が明確に分かれています。特に特徴的な、ボーカル、ベース、ドラムに関しては、ソロでもない限り役割が変わることがありません。
なので、耳コピする場合はこの3つを先に固め、残りの音成分をギターとキーボードで足していくといいと思います。
ギターは音が目立つので、ソロや特に音量がほしいところで局所的に、キーボードは長い和音など全体で満遍なく使うといいでしょう。
現代の曲は多くがバンド構成ですから、上の3つに注意して聞けば耳コピしやすいと思います。