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Local-Liner ~静サツ雑記帳

静岡運転所札幌派出所=静サツへようこそ。
札幌圏の鉄道を軸に、気ままに書き連ねていく日記です。

道南18きっぷ絵巻~北斗星記念入場券を求めて 第5回 その名は小幌

2015年09月07日 | 鉄道 ‐ 北海道
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【TIME:2015/8/24 13:30】

 前回のあらすじ……温泉を楽しんできた(ただし歩いて40分はかかる)



 一風呂浴びてすっきりした静サツ選手。おもむろに温泉を後にします。

 さて、次の札幌方面の普通列車は八雲14時9分発の893Dです。
 ……あれ? 確か、八雲駅からここまで40分でしたよね。ってことは結構時間ぎりぎりなんじゃ。

 あ、静サツ選手。八雲駅と反対の方向へと歩き始めました! え、ちょ、えっ?



 海沿いの高台を歩き続けます。ここだけ切り取るとまるで南国のよう。北海道ぽく見えないのは、延々と続く砂浜と浜に植わる植物達のせいでしょうか?



 海側だった線路が再び足元をくぐります。



 歩き続けることおよそ15分。右手にトイレらしきものが見えます。ほら、厠って書いてあるし――



 やや、違います。れっきとした駅です。

 なんと、静サツ選手。八雲から1つ戻った山越駅にやってきたのです。



 山越にはかつて日本最北の関所がありました。江戸時代末期までは、ここが和人(本州からの移民)とアイヌの境目だったのです。
 その名残で、山越駅の待合室は関所を模したものになっています。

 ちなみに、厠=トイレはこの建物の左にある建物です。どうみてもこっちの方がでかい



 中はごく普通の待合室。



 端には関所の模型がおいてありました。



 列車が来るということで、静サツ選手駅に入ります。
 海側からホーム、線路、ホーム、線路の順です。2面3線のうち中間1線の線路をはがした構造になっています。



 こちらは函館方向。線路がはがされても、下りホームのために構内踏切が残されています。もちろん遮断機もあります。なにせ、特急が120km/hで通過していく駅ですから。



 ほとんどが未舗装の中、乗り口だけはきれいの舗装されていました。本当に乗り口だけ。



 893Dは山越に14時3分に到着。静サツ選手、これに乗り込みます。


[函館本線 893D 森13:29→長万部14:47]



《山越 14:03発》



 列車はまだまだ内浦湾沿いに進みます。窓を開ければ潮風が流れ込んできます。







おわかりいただけただろうか……


 実はもう、次の目的地が見えてるんです。

 といっても、次の入場券を買う長万部ではありません。



 この先に、あの『伝説の駅』が潜んでいるらしい……


 その詳細は後で述べるとします。



《長万部 14:47着》

 そんなわけで、無事に長万部に到着。



 『北斗星』廃止後なので売り切れも覚悟していた静サツ選手。しかし、ふたを開けてみれば各駅とも在庫が余っているようで、簡単に購入できました。「こんなにあっさり買えるとは思わなかった」と、後に話しております。

 ということで、第1の目標「北斗星入場券を買う」コンプリート!

 次の列車まで時間もないので、写真右手の待合室で時間をつぶします。


【TIME:2015/8/24 15:20】



 「北斗9号」が出たところで、静サツ選手、ホームに戻ります。



 次の487D東室蘭行きは、珍しくキハ40での運転です。室蘭本線東室蘭~長万部はキハ150単行が基本だったような気がしますが、この列車はキハ40、しかも2両での運転です。



 サボは行き先表示のみ。

 おっと発車時刻はすぐですね。乗ってしまいましょう。

[室蘭本線 487D 長万部15:22→東室蘭16:54]



 線路が函館本線から室蘭本線に変わったように、併走する道路も国道5号線から国道37号線へと変わります。現在鉄道・道路ともこちらがメインルートになっています。



 森を出てから平地ばかり続いてきた車窓に、険しい山が見えてきました。その地は礼文華(れぶんけ)と呼ばれています。アイヌ語の「レプン・ケプ」(崩れた・岬)「レプン
・ケ・プ」((ものが)沖に流れていく場所。険しくてものが近づけないから)あたりが語源とされています。切り立った岩山が海に向かって落ちる地形は、蝦夷地の三大難所と呼ばれていました。



 平地の切れ目に当たる静狩駅。静狩もアイヌ語の「シツカリ」(山の手前)から来ており、平地の終わりを表しています。



 静狩を出ると、右へカーブしながら標高を上げていきます。遠くに見えていた山々が近づいてきました。



 新静狩トンネルに突入。ここから10パーミルの上り勾配が続き、同時に長い長いトンネル区間に突入します。

 わずかな明かり区間を挟んで、新ねずみノ鼻、新辺加牛とトンネルを抜けると、列車は急に速度を落とし始めました。



 運賃表示機には『小幌』と表示されています。



 新辺加牛トンネルの坑口の先にホームが見えてきました。



《小幌 15:40着》

 15時40分、列車は小幌に到着しました。

 この駅こそ、『伝説の駅』小幌です。



 静狩と礼文の間には、それぞれ静狩峠、礼文華峠という峠があります。この中間地点にできたのが小幌駅です。
 では何が伝説なのかというと、その立地にあります。



 札幌方面を向くとトンネル。



 函館方面を向いてもトンネル。

 そう。この駅はトンネルとトンネルに挟まれたわずかな明かり区間にあるのです。周囲は山に囲われていて、人家は見当たりません。



 挙句、この駅から出る道は獣道のみ。この100メートルほど上を通る国道からですら、道なき道を進むことでしか辿り着けない、秘境駅中の秘境駅なのです。日本に駅は数多くあるとは言えど、鉄道でしかいけない駅は多くありません。なにせ、あの小和田駅(飯田線)ですら道は通じてましたから。



 室蘭本線は現在でも北海道の大動脈です。倶知安経由の函館本線に比べて線形がいいこともあって、多くの特急・貨物が走ります。

 早速、DF200牽引の貨物列車が高速で通過していきます。
 これでも立ち入り禁止のロープより手前で撮っているのですが、風圧であやうく倒れそうになりました。



 トンネルに吸い込まれていくコンテナ車。



 トンネルとトンネルの間(しかも両方1.5km近い)にあるため、通過後は煙が溜まります。静サツ選手も、通過後しばらくむせてしまいました。 



 ホームは両方とも屋根がないため、駅ノートがバケツに入れられています。



 中に入っていた入場券プレート。

 小幌駅は駅こそ秘境ですが、完全に人里と断絶しているという絶好のロケーションから人気があり、訪れる人も多くありません。現に、私が降りた487Dには、この駅から6人ぐらいが乗車しました。駅ノートも既に6冊目に突入していました。屋根すらもないこの駅に駅ノートがあること自体すごいですが、前のノートはコピーが置かれるほどの手の入れよう。管理人には頭が下がります。
 まあ、487Dに乗り込んだ保線作業員の人に「君、ここで降りるの? 大丈夫?」と聞かれるくらいには、まだまだ秘境ですが(笑)。

 「日本一の秘境駅」小幌駅の探索は次回へ。


第6回へ続く


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