沼津にある弥次喜多の像 東海道の終点京都三条にある弥次喜多像
出久根達郎の「世界文学名作者伝」の第6回目が掲載されていて
今回が【十返舎一九】で、見出しに「二十一年続いた『道中膝栗毛』」とあった
十返舎一九と云えば【東海道中膝栗毛】、知らない者はいないだろう
しかし、21年も続いたとは・・思わず文の中へ引き込めれました
誰もが知っているこの小説の主人公「弥次郎兵衛」と「喜多八」の滑稽話
通称 ”弥次・喜多” の二人が織りなす小説で・・・
まず、東海道五十三次を京都まで歩いたのちに、大阪を見物し・・ナント
讃岐の金毘羅様にお参りして、宮島に足を延ばしたかと思うと・・・
今度は木曽街道と中山道を歩いて・・・ようやく出発点の江戸に戻る
出久根さんは、好色でまぬけでお人よしの、男二人の道中ドタバタ喜劇
完結まで二十一年かかった。正続合わせて三十九編。大長編である・・と
一九は第一編を書き上げて、当時「写楽」を売り出して有名だった・・・
版元【蔦屋】に持ち込みます、ところが売れぬと判断され断られる
しかし弱小本屋の「村田屋」が出版してくれて、版元もびっくりの大ベストセラー
ところで、膝栗毛とは徒歩旅行の事、膝が栗毛の馬の代わりと云う意味らしい
この小説の面白さは、弥次郎と喜多八の他愛のない掛け合いにある
飯を炊くと云うと、飯を炊いたら粥になる、米を炊くが正しいと咎める
湯が沸くのでなく、水が沸いて湯になるのだと屁理屈をいう
万事こんな調子で、江戸の庶民の言葉遣いを楽しめる。
出久根達郎さんについては、以前に「佃島ふたり書房」を読んだことがある
中学卒業後、集団就職で上京し、月島の古書店に勤め、1973年に独立
杉並区で古書店「芳雅堂」を営む、その傍らで作家デビューを果たす
1993年「佃島ふたり書房」で第108回直木賞を受賞している
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