以前に紹介いたしました、わが京都が誇る絵本作家・永田萌さんの【花ときどき風】から・ときどきピックアップします
永田萌さんは兵庫県加西市の生まれだけれど・・ズ~と京都に住んでいる・・・京都の人である
萌さんの絵を見たらわかるように、”いわさきちひろ” の影響を受けている、本人も認めているとか
今から30年前には〈1987年〉ボローニャ国際児童図書展グラフィック賞を受賞している
さて!本題の【花ときどき風】なんですが、二年ほど前に知った、ギャラリー妖精村で買った本です
あまりに素晴らしいので、内容をときどき紹介したいと思って
その第一回目は、「桜の下をあの人と」です、文も素敵なので全文掲載します
その前に、あとがきをちょっとだけ紹介しておきます
~この本に収録した絵と文は、京都新聞に毎週一回掲載していたものに加筆、訂正をしたものだ
ごく最近の出来事が多いはずなのに、あらためて読み返してみると、時の流れの中で
すべてのものは移ろい変化するものなのだ、と思い知らされる。
自然と厳粛な気持ちにふけっていると、どこからか「そんなことはずっと前から知っていたでしょう」と
笑いを含んだ声が聞こえる気がするけれど、しみじみした思いは消えない。
前にあったものが今はなく、前になかったものが今はある
時の流れの中では一瞬でも立ち止まることができないなら、せめて心に残る美しい人や花や出来事を絵や分に留めたい。
こうして、わたしにとってのたくさんの大切な時の記憶が一冊の本になる。
作者にはこの上ない幸せだが、連載中から楽しみにしてくださった読者のみなさまにも喜んでいただければうれしい。
たくさんのお手紙や優しい言葉は、私の宝物だ。また、新しい読者の方たちには、
京都の北山でのんびり夫と二人暮らしをしている絵描きの日常を、おもしろがっていただければ~
とありますように、萌さん自身が大フアンである絵本作家のご主人〈HATAO〉とラブラブの萌さんだから・・この絵がある
ネットで調べたけれど、出てこないので・・・仕方なく写真を撮りました、お見苦しいですが勘弁して下さい
~京都は桜の名所が多く、わたしもよく雑誌の取材などで、「お気に入りの桜スポットは?」と聞かれる
日曜日の京都御所の桜の園は、家族でお弁当持っていくと楽しい。よく晴れた日の夕暮れなら
黒谷の桜が残照に輝くのを見よう。大覚寺の大沢の池を囲む桜。ゆっくりと着物姿で歩くとよく似合う。
春雨なら鷹ヶ峰の涙をためた吉野桜。吉野大夫の面影を偲びつつしみじみと。
恋人と歩くなら、上賀茂神社の御園橋から上賀茂橋、北山橋と橋をくぐって葵橋までの桜並木。
ここはみごとなソメイヨシノの古木が続く途中、半木〈なからぎ〉の道の紅枝垂れの
花のトンネルを通るコースだから、いつも人は多いけれど、わたしはとても好きだ。
桜は一人では見たくない。だって寂しくていやなのだ。わたしは、桜はもともと寂しい花だと思っている。
満開の花の下でどんなにお花見客が浮かれて騒いでいても、花の梢を見上げるとなぜかじわじわと寂しさがこみ上げてくる。
だから大勢といっしょの方がきもちがまぎれていいと思っている。
桜に無常観を覚えるのは、満開の花がすぐに散ることを知っているからだ。
時を止めることも逆もどりさせることもできないと、桜はわたしに語りかける。
花の終わった後の虚しさを知っているから、桜の花の美しさが心にしみる。大人になればなるほどそう思う。
『去年〈こぞ〉とも歩きし人よ「いない」ということを思い知る葉桜の下』これは俵万智さんの短歌。
感傷にとらわれすぎず、それでいてきっぱりと寂しい大人の歌だ。
さあ桜咲く春、このひとときを共に過ごしたい人のいる幸せを感じて、桜散歩にでかけましょう。~
以上が「桜の下をあの人と」の全文です・・・改めて絵と文を、時をかけてご覧ください
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