例によって、京都文化博物館のフィルムシアターで【張り込み」を観てきた
この映画・・・私の曖昧な記憶によると60年前に映画館で観ている
14歳の時だ・・・中学一年生〈旭ヶ丘中学校〉の時代
今回の鑑賞で・・思い出した場所と云えば・・・残念ながら殆ど無し
だから・・大木実の今迄のイメージ〈大根役者〉が大きく変わった事・・良い意味で
スクリーンを通して、彼の汗の臭いまで漂ってきそうな緊迫感があった
大木実と云えばこの当時、松竹映画の三羽烏のひとりであった〈佐田啓二と高橋貞二〉
この映画で大木実が初めて脚光を浴びたのではないのかな??と思うような出来だ
もちろん、監督の野村芳太郎、脚色の橋本忍、原作の松本清張のトリオの力
この三人が後に、日本映画の最高峰である【砂の器】を撮っている。
さて、ここでこの映画のスチール写真をご覧頂こう
横浜からホームを走る列車に飛び乗るシーンから始まる
そして満員の列車の中のシーン・・・今みたいに冷房もない夏の列車内
高峰秀子演ずる「さだ子」の家を張り込む二人
片時も目が離せない【張込み】の厳しさを、色んな角度から映し出す
雨のシーンも、リアリティーがあって・・・張込みの厳しさを見せる
松本清張の原作があまり動きのない地味な内容であるので・・・
橋本忍の脚色が、映画化になった味を十二分に発揮していた・・さすが
ラスト30分ぐらいに「さだ子」の元恋人が姿を現す〈田村高広〉
この二人のシーンを監督・野村芳太郎が【砂の器】で見せた回想シーンの先駆けかと
ひとつびっくりしたのがこの後の高峰秀子から飛びつくキスシーンだった
家庭を捨てて「あなたと一緒に行く」と迫る「さだ子」
石井〈田村高広〉が逮捕された直ぐ後で泣き崩れる「さだ子」
ラストは九州佐賀から東京に向かう蒸気機関車の虚しい汽笛と共に「終」の文字が
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