受付で早口の英語を喋る看護師さんに
もう少しゆっくりお願いし、それでも聞き取れず、小さなため息をつかれ、結局なんだかわからんうちに看護師さんがやってくれていた。小さく傷つく。
耳が中国語仕様になっているのか、英語も中国語っぽく聞こえてくるからややこしい。
シンガポールの人は英語と中国語を流暢に話せる人が多い。たまにまぜこぜで話しててびっくりする。
検査結果は明日にならないとわからないが、ひとまず家に帰って大きなプリンを焼いた。
カラメルを焦がしてちょっと大人な味に。
150度で40分蒸し焼きに。朝のモヤモヤがスーッと消えていった。
今まで通り家のことをできるようになった私に
「こんなに元気ならがん細胞も活発になってるかも」とだんなさん。
そう言ったあと、すぐ謝ってたけど、気が緩んだ発言。仕方ないか。
体の中で何が起こってるのか全く見えないだけに、そういった何気ない一言にアンテナがいちいち反応してしまう。
夕飯後、プリンを食べながら
ネットでよせばいいのに、ガンについていろいろ検索してしまった。闘病してる人の体験談で、自分の状態と比べて落ち込んだりした。
なんでもっと早く見つけられなかったんだろうとか、今更言っても仕方がないことをグジグジ考えては消し考えては消した。
こんな時は好きな本でも読もう。
高田郁さんの
「あきない世傳 金と銀(十)」
もったいないから少しずつ少しずつ読んでいる。読みたいけど、読み終わるのが嫌で困る。
日本の友人から送られてくる春の花々や風景写真はどれも素敵だ。それぞれ特徴があって楽しい。娘の幼稚園ママ友たちは、写真を繋げてメッセージ動画にして送ってくれた。若かりし頃の自分。そこには20年後、ガンになっているなんて微塵も疑っていない笑顔の自分がいた。
こわくてどうしようもないが、この気持ちは自分でどうにかするしかないんだ。
ここにきても覚悟ができていない往生際の悪い私だ。
明日は晴れますように。