期待していったが肝臓の数値は好転せず。
先生は、はっきりした原因がわからないことには抗がん剤治療に進めないので、明日リバーバイオプシーをしましょうと言う。
リバーバイオプシー。咄嗟に意味が分からず、だんなさんが私の不安を察して先生にいろいろ聞いてくれたが頭がいっぱいでぼーっとなってしまった。
明日、日帰りで、全身麻酔で肝臓に直接針を刺すけど、すぐ終わるしその日のうちに帰れると説明してくれた。なのに、
日本人Dr.のN先生に詳しく聞いて自分の中で納得できないと怖くてできないよ!とだんなさんにあたってしまった。
一所懸命先生に聞いてくれただんなさんの気持ちまで考えられなかった。自分のことしか頭になく、もし自分が逆な立場でそんなこと言われたら悲しいよなと、あとから反省と申し訳なさでいっぱいになった。
今日から治療が始まると思っていた私ががっかりしていっぱいいっぱいなことは彼は百も承知だろう。
結局午後からまたN先生のところに行って詳しく説明してもらった。
1ヶ月近く数値が下がるのを待っていたが
なるべく早く抗がん剤治療に入るために、肝臓の組織を採取して検査をし、何が原因かを調べる。原因がわかれば対処できるので速やかに抗がん剤治療が始められるというわけだ。リバーバイオプシーとは肝臓の生検、生体組織採取検査という意味だった。
あの入院中の辛さが蘇るが、明日は日帰りだから大丈夫かな。切るわけじゃなし、刺すだけだし、麻酔だし。
だんなさんにはちゃんと謝った。
夕飯を食べてから二人で川沿いを歩いた。
がっかりした一日で終わらせたくなかった。二人で楽しい話をしながら歩きたかった。
病院と家との往復でバスに乗るのだが、
乗ってきた若い子がバスのカードにお金がチャージされておらず小銭もなかったようで困っていた時、二人の老人がサッとお財布を出し若い子にお金を差し出したのを見た。
ある時は、動き出そうとするバスに向かって手を振って走ってくる子連れのお母さんがいて、運転手さんが気づかない時、何人かの乗客が「Wait!」と声をあげたりしていた。
シンガポールの人たちはほんとに優しい。人に対してさりげなく親切だと感じる。
人に親切にすることは、自分の人生を豊かにすることだと思う。
人に親切にする。なかなかできないものだ。思っていても行動にうつせない。でも、勇気を出してみよう。回り回って運や幸せが自分のところにやってくるような気がするから。
散歩した時に見た夕陽。
きれいだったなぁ。
明日も自然体で起きることを受け入れよう。