自転車のパンク修理や日脚伸ぶ 2020-01-25 | 冬の俳句 日脚伸ぶ雲に梢の語るごと あんぱんを割った匂ひや日脚伸ぶ コーラスの聴こゆる窓や日脚伸ぶ 毛繕ひしたるのらねこ日脚伸ぶ 振り向けば猫も振り向き日脚伸ぶ 日脚伸び寄り道したる花屋かな 日脚伸ぶ気取った指で紅茶飲む 日脚伸ぶこんなところに在りし本 児を抱けば涎つけられ日脚伸ぶ 日脚伸ぶ夕に出くはす医の白衣 点滴に透くる夕日や日脚伸ぶ 梢のやはらかき色や日脚伸ぶ 日脚伸ぶ長くなりたる立話 日脚伸ぶ結んでみたる女帯 日暮まで遊具の子らや日脚伸ぶ
日を仰ぎ春の便りを仰ぎけり 2020-01-24 | 冬の俳句 探梅の身の引き締まる空気かな まだ温し背のおにぎりや梅探る 梅探り来て一つ若返りけり 息切るるほどに歩きて梅探す 探梅や唐子の遊ぶ声を聴く 探梅や吾は仙人となりゆく 不思議なる模様の雲や梅探る 探梅や唐子の遊ぶ大絵皿 からこからこ磁器から出でよ梅探る 探梅や咲きたるやうな君の頬
冬の雨 2020-01-23 | 冬の俳句 誰もゐず遊具しづもる冬の雨 冬の雨マリオネットの切れし糸 フェンスに落葉のゆうびん冬の雨 冬の雨波紋小さきアスファルト 移動する神経痛や冬の雨 晩酌のアテは缶詰冬の雨 診察に出かける靴に冬の雨
春を待つ 2020-01-22 | 冬の俳句 春待つや電車をひとひ見て過ごす 目で追ひし電車過ぎ去り春を待つ 流るる電車の灯りや春を待つ 待春や古墳に登り見晴るかす 草は地に木は枝先に春を待つ 放尿の穴開く土や春を待つ
冬の芽 2020-01-21 | 冬の俳句 天仰ぎ冬芽ひたすら待つ美学 アンテナの先っぽなるや冬木の芽 青空をタンタンと撃て冬木の芽 冬の芽の秘むる宇宙の鼓動かな 冬芽は交信し合ってゐるのです 冬木の芽ひとつにみな小さき命 米粒ほどと言へど上向く冬芽 雨風にりんりん太れ冬木の芽 桜冬芽ぬくめてやりたき手のごと 赤青白黒さまざま冬木の芽 絡まりしまま蔓の冬芽の気まま 冬の芽や雨を吸ふ素焼の埴輪