『 うさぎの言霊 』 Rabbit's Kotodama 

宇宙の謎、神と悪魔と人とは?

《 序章 》 〈 第六話 〉 光龍神出現す

2019年01月30日 22時33分56秒 | 小説



    《 キャラクター&キャスト 》

大 黒 天 (前回はピアノちゃん?でしょ)・・・ 西田 敏〇  
大天使長 ミカエル ・・・・・・・・・・・・・・ トム・クル―〇



     ( 推奨BGM )

  ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲

  ピアノ協奏曲 第五番 変ホ長調
  作品七十三 『 皇帝 』 第一楽章

  クリスティアン・ツィマーマン(ピアノ) 

       カルロ・マリア・ジュリーニ指揮  ウィーン交響楽団




  午前十時十分六秒ピッピッピッ、チ~ン、十秒ジャスト。

 皆さん、拍手~~っ! パチパチパチパチ・・・・・


私の演出で神鏡の周りを囲むように四方に虹が現れたことにより、
人間達の期待は更に膨らんでいる模様です。

 世界中が見守る中、神鏡が次第に眩い光りに包まれて行きました。

その瞬間、優雅で淡い虹色の光の粒子を纏わせた光龍神が、
緩やかな流線型のお姿を人前に披露されたのです。

 神鏡という天の岩戸は、お出ましの瞬間に私が閉じました。

光龍神が御出現された瞬間、十和田湖に集結した人々から
大きな拍手と歓声が沸き起こりました。

 そこには泣き叫ぶ者、手を合わせる者、手を振る者、
 そして先程のアナウンサーも我を忘れて実況しています。

  勿論、綿入り桃色ジャージで ・・・

この綿とジャージの素材は特殊で、極薄で継 ぎ目が無く、
超軽量で汚れも付かず、ナイフどころか弾丸も弾き飛ばしてって、
これはつまりバリア加工なの、ムフッ ・・・ 
それで、夜は仄かに光って ・・・
あ~で こ~で  ・・・ ほほほ ・・・ えっ、欲しい? 

  無理無理 ・・・ あげないわよ ・・・

皆、神が出現した事をしっかり認識して、
喜んでいる様子で少し安堵致しました。

 ただ、見渡したところ種人として許されそうな人は、
 あまりいないようですね。

皆、魂の光が弱い上に醜く汚れています。
血 ( 血=霊 ) も肉細胞もどろどろで、
生きているのが不思議な位だわ。

 それに、半数以上の人間は自己中心的祈りだわね。

「自分と家族を救って下さい。」 だの、「幸せにして下さい。」
「家内安全・商売繁盛」 「彼氏や彼女が欲しい。」だの、
 えっ、「お金欲しい?」 などと ・・・

もっと、利他の為、人類の為、神への賛辞とか、
お詫びに感謝などが、あって然りだと思うんだけど、
やれやれだわね ・・・

 もっと汚れを取って心と魂を磨いて光らせないと、
 我々神に自分の存在を示せないわよ。

  自分の為、家族親戚の為は二の次。

 赤の他人と思い込んでいる80億の家族同志同胞の為、
 神の御為に奉仕する事が最優先ですわよ。

何の為に、過去の聖雄聖者に口すっぱく言わしめたことか!
ほんと溜息が出ますわ。

 そうそう、モーセの墓が何処にあるか御存知かしら?

石川県の羽昨郡押水町、宝達山のふもとにある三ッ子塚なのよ。
そこが、モーセ ( 583歳 )と妻の羅馬姫(ローマひめ)、
そして孫のタルヲスイホスチヒリウスのお墓なの。
御存知なかったかしら?

 竹内文書に示してありますから、御覧頂きたいものですわ。

歴史は時の権力者が、自分の都合で隠蔽捏造してしまうのよ。

 欲に目が眩むと、邪神の使徒となり、
 使いやすくなって操られるという図式。

それが通じたのは今までの話。
ただし、神の事情は人間に分からないように仕組んでいるわ。

影で正神の神が、徹底的に邪神の企てや不正を暴くよう人を使っているのよ。
個人から国家、世界規模、ありとあらゆる分野に至るまで ・・・

 邪神邪霊の包囲網は最終段階まで進んでいる。
 逃げ道など何処にも無い。  

 だから、もう我と慢心を捨て、小欲邪欲に走るのはよしましょう。
 わたくしからもお願い致しますわ。


   さてさて、光龍神は人々の喝采を受け、
   それに答えるように湖の周りを悠然と一周すると、
   わたくしの前で止まりました。

《 お久しゅう御座りまする、スミレお嬢様。
  わざわざのお出迎え恐悦至極!
   しかも、周辺のハラヒキヨメに加え、穢れ無き純白の雪と、
    美しき虹の演出を御用意下さるとは、          
     わたくし感服仕りました! 》

《 礼には及びません。シヴァの叔父様、
  本当にお久しぶりですこと。御健勝で何よりですわ。》

   そう、わたくしが答えると、
   悠に三百メートルはある光龍神の光の粒子が次第に小さく集まり、
   人型に形造られてきました。

    あれれれれっ、どこかで見たような?

   そうそう、赤い頭巾に大きな布袋を背負って、
   腰には打ち出の小槌が ・・・ まあ大黒天様だわ。

   なあ~~んて可愛らしくて素敵なのかしらん。

    当然、人間にはこのお姿は見えません。

《 おっそろしくもわざとらしい御紹介。あいも変らず愉快なお方だ。
 適いませんわい! だあっはっはっはっはっ~~ 》

《 だってね、叔父様にお会いすること、
 本当に楽しみにしておりましたのよ。もうもうもう ・・・》

   わたくしは思わずシヴァの叔父様の右手を両手で掴んで、
   軽く左右にぶ~るんぶるん振りましたら、

《 だはあ~~っ、あぐっ、あへっ、おえっ、え ・・・ ぐっ ・・・》

   って、あれれれれっ、叔父様ったら大変。
   気絶した上に、鼻血が ・・・

《 叔父様っ、しっかり、気を失っている場合じゃないでしょ。
   ねえねえねえねえ、ねえったらねぇ・・・》

《 ・・・ う ・・・ おあ ・ 脳みそが、ん?
 わ、わしとしたことが。  いやあ~~~大変失礼を致しました。
 しかし、こんな目に遭うのも久しぶりですなあ、だははは。》

《 ごめんなさい、ついわたくしったら興奮してしまって・・・》

《 何々、お気に召さるな。これも又一興というもので御座りまする。》

《 おほほほほ~、え~、ところで大黒の叔父様っ。
 お出ましなさる時に、あの男を見掛けませんでしたかしら。》

《 え~、あの男とおっしゃいますと、これの事で御座りますかな?》

  そうおっしゃると、叔父様は楽しそうに鼻歌を歌いながら、
  担いでいた大きな布袋を私の前に降ろされ、
  袋の中に右手を入れてまさぐられました。

  それで何物かを掴むと、ゆっくり手を袋の中から出されました。

   あらまあ、開けてビックリ玉手袋!

  なんと、叔父様の掌にチョコンと乗っているのは、
  かわいい因幡の白うさぎでしたとさ、めでたしめでたし ・・・


  「 あのぉ、これはいったいどういうことで?
   はあ~、お腹すいた。わたくし、ずっと袋の・・・?」 

      ほげっ、無視なの!


《 まだ、これだけでは御座いませんぞ。》

  そう叔父様はおっしゃると白うさぎを左肩に乗せて、
  又袋から何やら取り出されました。

《 んまあ~、かわいい鮫ちゃんだわ。
  それに小さな白い翼まで付いてる。
   あらあら、羽をパタパタ飛ぶんだぁ。素敵だわ!
    ねえねえ、どういう事なのかお聞きしたいですわ。》

《 その辺につきましては、この者から御挨拶を兼ねて
  御説明が御座いますので、どうかお聞き下さりませ。

   あ~そうそう、その姿ではいかんなあ。戻ってよろしいぞ。
   スミレ御嬢様を喜ばせたくて、
    因幡の白うさぎと鮫を掛けましてなぁ。すまんすまん。》

   すると、小さな手乗り鮫が、一瞬でイケメン天使に戻りました。

《 お初にお目にかかります。御尊顔を拝し恐悦至極に存じまする。
 わたくしは大天使長ミカエルと申します。

   この度は、主神様からの大愛なるお取り計らいにより、
   大黒天様の側近として「神の光輪」に入り、
    補佐するお役目を賜りましたこと、無上の喜びに存じます。

     この全身全霊を以ってお役目を遂行してまいりますので
      宜しく御願い申し上げ奉りまする。》

《 うむ。大役を与えられたものであるな。見事み役を果たしてみよ。
  さすれば神格を上げることも可能であろう。
   どうですかな、大黒天殿。》

《 勿論で御座いまする。
  この天意転換の時に大功績をお立てしたいと願う
  神々の中での大抜擢で御座いますから、
   しかるべき褒美は与えられて当然のこと。

    その折には、私が主神様に
     御推挙申し上げる所存に御座いまする。

    な~に、この者なら必ずや御期待に応えるでありましょう。
    そうであろう。ミカエルよ。》

《 ははあ、必ずや断固遂行致しまする。》

《 あっぱれな心掛けである。
  大黒天殿もいい家臣をお持ちでいらっしゃいますね。
   ただ、あやつらは観念してはいるでしょうが、
    最後まで抵抗するつもりです。油断はなりません。

     どうか出来る限りお父様の哀れな、
     哀れな子共達を救って下さい。
     私は余りお手伝いは出来ません。

   お願いです。大黒天殿、ミカエル。》

《 おおお、なんという慈愛に満ちたお言葉。
  この大黒天、肝に、肝に銘じてぇ~、おおい、おうう ・・・》

《 ・・・うう、あっあぐっ、わたくしも必ずやぁ~ ・・・ うぐっ ・・・》

《 ありがとう ・・・ うう ・・ ありがとう ・・》

  皆、手を取り合い涙を分ち合い、
  お互いの意思を確かめ合ったのじゃ。

 さて、我らの想い願いと天意が、どれ程人間達に通じるものか ・・・?
 
  「 うう、えぐっ、おぐっ ・・・ヒック ・・」

《 おい腎臓殿、汝の気持ちは良く分かった。礼を言うぞ。
  それより、レポーターとナレーターの役は降りるぞよ。
   ちょっとは楽しませてもらった。後は任せる。
     しっかり役目を果たせよ。》 

   じ、腎臓殿? ジンゾウって、あたしは信造なにょにぃ ・・・

「 ははあ~、恐縮に存知まする。無理な申し出を御受け下さり、
  真にありがとうございました。後の事はお任せ下さりませ。
   この信造、必ずや断固遂行致しまする。」

《 うむ、良く申した。次は神議りじゃ。これは見物じゃぞよ。
 心して係ることじゃ。良いな。かわいいのう、しかし。》

  スミレ様は大黒天様の右肩から私を、
  左手で首根っこを摘まんで右手にお乗せ下さり、
  なでなでして頂きました。

    私、結構小さいようです。でも気持ちいい~。

 「 あ、はあ、神議りですか?
  と、とにかく命の限りに実況申し上げます。」

   うさぎ化した私の耳をプルプル揺らしたり、
   背中を撫でながらスミレ様はこうおっしゃいました。

《 ところで大黒天殿、天上界の神々が今か今かとお待ちですから、
  急いだ方が宜しいですぞ。
   何しろ、神無月の十月から丸二ヶ月間、
    激論を交わしております故、治めるのに一苦労ですぞ。》 

《 おお、そうでございますな。な~に御心配には及びませんぞ。
  お任せ下され。おお、そうじゃ。
   ミカエルよ、例の物を持って来てはくれんかの。》

《 はは、こちらでございますね。》

《 おうおう、これこれ、久しぶりじゃのう。》

   とおっしゃると、大国様はミカエル様から受け取った
   襷を口に咥え、一気に八の字を描いて襷掛けなされました。

《 いやいや、お見事。その太襷は大黒殿が、
  ここ一番という時にお掛けに成られる物とお聞きしておりますが、
   良くお似合いですぞ。気合十分というところで御座いますな。
   御武運をお祈りしておりますぞ。》

《 ははあ、有り難き幸せに存知まする。
  明日からの三日間、我ら正神と我が子らの一体となった姿を、
   存分に御披露仕りますぞ。おい信造お前は戻りなさい。
    では、これにて御免。皆のもの行くぞ!》

  
   《 おおう。》


     「 おー。」 






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