2021年5月7日
全国労働組合総連合
事務局長 黒澤幸一
政府は、5月7日に3回目となる緊急事態宣言について、対象地域を拡大して5月31日まで延長を行った。また、まん延防止重点措置の対象地域についても範囲を拡大した。菅首相は記者会見で「国民の協力により、人流の抑制が図られた」としたが、感染者の減少にはつながっておらず、重症化が著しい変異型に感染しながら、入院して治療を受けられずに亡くなる方が増加している。また、いのちの選別となるトリアージが行われる深刻な医療崩壊状態にある。
感染者の抑制につながるワクチン接種では、高齢者に対する先行接種が各地で始まっているが、予約ができないなどの混乱が後を絶たない。医療従事者への接種すら22%(5月7日現在・2回目終了)にとどまる異常な状態にある。すべての国民に行き渡る時期もわからず、多くの国民は不安におびえつつ自治体からの連絡を待っている。
そんな中、オリパラ参加予定の選手などに対するワクチン提供が公表された。IOCは、安心・安全な大会開催に向けた措置だとするが、ワクチン接種の時期もわからず感染におびえる国民からすれば、国民のいのちよりも開催に血道を上げているとしか見えない。
政府は、感染予防のために密を避け、人との交流を抑制するように飲食店などの営業自粛を求めているが、一方で聖火リレーを始めとするオリパラ開催に向けたイベントを次々と開催し、人々の耳目を集めている。五輪開催に向け医師200人、看護師500人のボランティア派遣も求めている。このようなちぐはぐな政策が、国民に誤ったメッセージを発信している。ただちに、国民のいのちを守るため、医療崩壊をおこさないように感染拡大を止めるためにあらゆる手立てをうつべきだ。
全労連は、春闘などを通じて「いのちを守る」運動を推進してきた。医療現場の労働者から、切実な声も寄せられてきた。私たちの大切な家族・隣人、そして世界中の人々のいのちを守るため、政府に対し、東京オリンピック・パラリンピックを直ちに中止し、新型コロナウイルス感染防止対策に集中するよう強く求める。
以上
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