直営・自校方式による安全安心の学校給食を住民のいのちとくらしを守る公共の再構築を求める
2023年9月13日
日本自治体労働組合総連合
書記長 橋口 剛典
9月7日、全国で給食調理業務などを展開している「ホーユー」(広島市中区)が、各地で給食の提供を停止していることが明らかになった。広島県と広島市の教育委員会によると、1日午前、ホーユーの調理員から学校側に「食事の提供ができない」と連絡があり、計約320人分の寮生向けの食事が提供されなかった。ホーユーのホームページによると、2020年4月時点で営業所は全国22都府県にあり、京都府、岡山県の公立高校や大阪府の特別支援学校、島根県、徳島県の警察学校などで食事の提供が滞る事態となり、学校関係者や保護者からは、不安や怒りの声が上がっている。
本来、学校給食は、食を通じて子どもの心身の健全な発達を法的・制度的に保障する役割を果たしている。そして、子どもたちが学校給食を通じて作り手の労働・気持ちを理解し、食生活・食文化の担い手へと成長させる教育活動=食育である。2005年の食育基本法の制定と栄養教諭制度設置以降、食育としての役割が重視されるようになっている。そこには、業務に携わる職員の高い専門性と経験の蓄積、人員体制の確保等々が必要であり、アレルギー食や大きな食材をのみ込むことが困難な子どもたちへのきめ細やかな対応が求められる。
しかし、この間、自治体のアウトソーシング(民営化・民間委託等)が進められ、給食業務を含むあらゆる分野で雇用・労働条件を悪化させ、公務公共サービスの質の低下を招いている。給食現場では、調理員が確保できず学校給食が中止になったり、配送車の運転手が確保できず給食が提供できなくなるなど、あってはならない事態が起きている。その背景には、非正規化がすすんでいることや、低い賃金と労働条件によって人員不足が恒常化するなど様々な問題がある。この原因は、国による公務公共サービスの市場化・産業化と、自治体をアウトソーシングへと政策誘導してきたことにある。今回の事件は、新自由主義のもと住民のいのちとくらしを守るための「公共」が奪われてきた結果といえる。あらためて、国のアウトソーシング誘導、及び自治体の責任放棄に抗議するものである。
自治労連は、国に対して、これまでの政策を転換するとともに、食育としての学校給食、直営・自校方式による安心安全の学校給食の充実に向けて、国・自治体が公的責任をしっかりと果たすよう、あらためて強く求めるものである。
以 上
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