2021年11月1日
全国労働組合総連合
事務局長 黒澤幸一
10月31日投開票の第49回衆議院選挙は、9年にわたる安倍・菅政権による憲法無視の強権政治や新自由主義政策からの転換に向けて、市民と野党共闘による政権交代をめざす初めてのたたかいとなった。自民党は、幹事長や現職大臣等が小選挙区で落選するなど議席を減らしたものの、単独で絶対安定多数の261議席を確保した。一方、市民と野党共闘の4野党(立憲民主党、日本共産党、社民党、れいわ新選組)の統一候補は、全体として議席を伸ばすには至らなかったが、多くの選挙区で競り勝つ成果を得たことは、小選挙区制の下で、野党共闘があったからこその成果である。しかし、投票率は戦後3番目の低さにとどまり、自民・公明政治に対する批判は、その補完勢力である日本維新の会に流れる結果となった。
全労連は、6年間にわたる市民と野党共闘の到達点を踏まえ、政権選択選挙としては初めて労働組合として本格的に支援体制を確立してたたかおうと呼びかけた選挙となった。各単産や地方組織は連携して、各野党や統一候補などに対して労働者要求の公約化と野党共闘の強化を求めてきた。コロナ禍のなか医療・公衆衛生体制の拡充などを求める「いのちまもる緊急行動」では、1万通に及ぶ「菅首相への手紙」を集めるなど、全力をあげた。「選挙に行こうキャンペーン」を展開して組合員に投票参加を呼びかけ、SNS・ツイッターを活用し社会的アピールを波状的に展開した。
こうした運動を背景に、市民連合と4野党が合意した「共通政策」は、「最低賃金の引上げ」や「従来の医療費削減政策の転換」などを含む6本の柱と20項目にまとめられ、全労連要求とも合致する政策合意となった。同時に、この政策を実現させるための政権づくりにまで合意に至った画期的なものとなった。しかし、短期間の選挙戦では、この意義が広範な国民に十分に浸透しきれなかったものであり、全労連は掲げられた公約の実現を求めていくとともに、「共通政策」と「市民と野党の共闘」がさらに豊かになるよう力を尽くすものである。
自民、公明与党と日本維新の会の議席が3分の2を超えたもとで、改憲策動が一気呵成に強まることは必至である。自民党は憲法改正を公約し、防衛力の強化と軍事費の大幅拡大を打ち出し、敵基地攻撃態勢確保に前のめりになっている。最大の警戒と職場・地域からの運動を展開し、来年7月の参議院選挙で、改憲勢力を過半数割れに追い込まなければ歴史的に禍根を残すことになりかねない。
「要求実現と政治と労働組合のかかわり」など、組合員や地域住民との職場・地域からの草の根の日常的な活動の強化と継続が強く求められる。憲法改悪を許さず、「賃上げ」「最低賃金1500円」「医療・公衆衛生体制の抜本的強化と増員」など、多くの政党に公約化させた要求の実現に向けて全力をあげる。同時に、労働者・国民の要求を実現する政治への転換に向けて、全労連組織を強化して職場と地域からさらに奮闘することを表明する。
以 上
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