「改正」労働者派遣法の施行にあたって(談話)
2015年10月6日
日本自治体労働組合総連合 書記長 中川 悟
9月30日より、「改正」労働者派遣法が施行された。
今回の「改正」は、労働者派遣の対象が「臨時的・一時的業務」であるにもかかわらず、職場での派遣労働者の受け入れ期限を事実上撤廃し、労働者派遣法の主旨である「常用代替禁止」をいよいよ形骸化させた。今後、派遣労働者を入れ替えさえすれば、あるいは派遣元企業と無期契約の派遣労働者でありさえすれば、派遣先に使い勝手よく無制限に職場で使い続けられるようになった。
派遣労働者当事者からも「雇止めにあってしまう」「正社員化にはつながらない」と、新聞社調査で7割近い「改正反対」の声が上がる中、前代未聞の39項目にもおよぶ付帯決議が報告され、9月11日衆議院本会議の採決が強行された。この顛末に、「改正」法案が、いかにその本質的な問題点を残したまま、財界・大企業の強い意向に基づいて「強行」されたかを示している。
労働者派遣による常用代替の解禁は、派遣労働者当事者だけの問題ではなく、民間・公務を問わず、正規と臨時・非常勤職員も含めたすべての労働者にかかわる問題である。
すでに全国の自治体職場では、窓口業務をはじめ、給食や保育の職場などで、職員の非正規化とともに、安上がりな派遣労働者が増大している。公共性と継続性が重要な要素となっている自治体業務においても、これまで「正規から臨時・非常勤へ」の置き換えが進んでいたが、今後さらに、「違法派遣」「偽装請負」との批判を受けることのない「派遣への転換」が進み、公共サービスの分野の民営化を加速させるものとして強い懸念を持たざるを得ない。
政府与党は、今回の労働者派遣法に続いて、残業代ゼロ・過労死促進の労働基準法等「改正」と、金銭による解雇自由化の制度確立を目指している。正規職員らの長時間労働をさらに加速させ、非正規や派遣による常用代替の合法化と、容易に解雇できる社会がつくりあげられようとしている。
自治労連は、自治体や公務公共の職場に「派遣労働を持ち込ませない」「派遣労働者の直雇用の実現」に全力を挙げる。そして、日本社会に蔓延する長時間労働などの問題に目を背けた「規制緩和」ではなく、すべての労働者の命と健康の保護と生活の向上に向けた「規制強化」を求める声を、職場内外に広げ、労働者派遣法の抜本的改正の実現、安倍内閣の進める労働諸法制改悪阻止、正規職員の増員を求めるために、あらためて全国の職場・地域でのたかいを継続することを表明する。
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