特別決議
集団的自衛権行使容認に向けた憲法解釈の変更は許さない
安倍晋三首相は、15日午後に首相の私的諮問機関である安保法制懇の報告書を受け、国家安全保障会議の4大臣会合を行った上、集団的自衛権行使容認に向けた政府の基本的方向性について、記者会見で表明を行った。
この中で、「集団的自衛権の行使は、憲法9条が容認する『必要最小限度』の自衛権の範囲内だ」として、「従来の政府の憲法解釈の変更が必要」とする安保法制懇の報告に対し、全面的な肯定は避けたものの、「今後の与党協議で、起こりうるあらゆる事態に備えた法整備の検討を進める中で、従来の憲法解釈の変更が必要だとなれば、その検討を進め閣議決定を行う」とし、立憲主義を否定したうえ、集団的自衛権行使容認とそれに向けた憲法解釈の変更を、今後の検討範囲に含めることを表明した。
歴代政府はこれまでの憲法解釈で、武力攻撃を受けた際の「必要最小限度」の自衛権(「個別的自衛権」)については「憲法9条は否定していない」としてきたが、他国への武力行使に反撃する「集団的自衛権」の行使は、憲法9条に反するものとして「許されない」としてきた。
今回、安倍首相が表明した「基本的方向性」は、「日本を戦争する国にするな」との国民の声の高まりや、それを受けた与党内部の動揺に配慮はしつつも、事実上、集団的自衛権行使の容認に向けた憲法解釈の変更の検討を加速し、日本の進路を「戦争する国」に転換することを狙うものに他ならず、断固抗議をするとともに、ただちにこの方針を撤回することを求めるものである。
さらに、安倍首相は今後、20日にも「与党協議」を行い、まず「グレーゾーン」から議論するとしているが、「グレーゾーン(武力攻撃に至らないもの)」についての協議は、「閣議決定」に向け、意見の相違がある自民党内部の調整や、憲法解釈変更による集団的自衛権行使容認に抵抗を示す公明党を取り込む為のごまかしに過ぎない。
自治労連は、先輩たちの痛苦の体験を踏まえ「二度と赤紙を配らない」を原点として、憲法9条を尊重擁護する立場から、明文・解釈を問わず、いかなる「改憲」策動にも断固として反対してきた。
自治労連は、平和を求める国民世論と、武力によらない紛争解決を求める国際世論に連帯し、安倍内閣による集団的自衛権の行使容認に向けた憲法解釈変更と、それを進める「閣議決定」を許さず、「憲法をいかし、守る」たたかいに全力を尽くす決意を表明するものである。
以上、決議する。
2014年5月17日
日本自治体労働組合総連合 第49回中央委員会