もし、あいつの時計の音が、ぼくのより
すてきな音だったら、どうしよう。
でも、ぼくの音だって、リリリーンとご主人さまは、
気にいっていると思うし。
一晩じゅう、眠れないで、タッタとがんばった。
まあーあいつも、がんばっているみたいだ。
となりどうしに並べられた、ぼくたちは一度も
しゃべることなく、朝がきた。
ぼくのほうが、3秒先にリリリーン!
いつものように、ご主人さまは、やさしく止めてくれる。
よっしゃあー。勝ったのかな?
あいつのほうは、チチチ、チチチと、聞いたことのない音だ。
しばらくすると、なんとまた、鳴っている。
3回鳴ったとき、ご主人さまは、やっと止めたようだ。
ぼくらは、並んで、ちょっと横目で、お互いを見た。
あいつが見ている。
そして、あいつ、なんていったと思う。
白いあいつは、いつまでも、いっしょにいられるといいね。って、
ちょっと、照れたように言った。
ある日、ぼくにライバルあらわる!
ご主人さまの気まぐれで、新しいめざまし時計が、やってきた。
ぼくは、黒いけど、そいつは金色だ。
ちょっと、光ったりするし。
金色の時計の秒針は、白い。
ぼくは、みかん色。
ぼくのほうが、かっこいい。
だけど、そいつの12や6の数字が、ぼくと同じ
みかん色をしていたので、気にくわない。
ご主人さまは、どうして、新しい時計をつれてきたのか?
そして、対決の日。
ご主人さまは、夜の寝床で、2つの時計を同じようにして
6時にベルが、鳴るようにして、寝てしまう。
ぼくとあいつ、どちらが早く鳴るのかは、ぼくにもわからない。
ふだんは、暗い部屋でもくもくと、まわりつづける秒針の
ビョウくん。休みたいけど、休めない。
たまーに休めるのは、電池が切れたときと
ご主人さまが、ぼくを転がして、電池が飛び出したときくらい。
ほかの時間を示す短い針と、長い針は、
ぼくより、えらそうだ。
ぼくみたいに、タッタと動かなくても、なんだか楽しそうにしている。
それに、12が一番上で、6が一番下だ。
12個の数字たちは、なんと、動くこともない。
でも、柱時計や掛け時計よりも、ぼくは、たぶん、大事にされていると思っている。
朝と晩、ご主人さまのあたたかい手が、ぼくを包むから。
かえってきて
また、いってしまった
元気でよかったよ
私の知らない国に
浸って
どんなんかな
世界のどこかのひと
仲良くしていただき
ありがとうがざいます
日本の人もカメラ、貸してくれたって
いろんな人に、助けられ
みんな、生きている
また、いつでも、おかえり