kuuのいた四季12(ええ、このエステルは上等です) 2019-04-30 10:39:11 | 日記 「そして、そら、光が湧いているでしょう。おお、湧きあがる、湧きあがる、花の盃をあふれてひろがりひろがりもう青空も光の波で一ぱいです。山脈の雪も光の中で機嫌よく空へ笑っています。湧きます、湧きます。ふう、チュウリップの光の酒。ほめて下さい。」 「ええ、このエステルは上等です。とても合成できません。」 宮沢賢治「チュウリップの幻術」より
kuuのいた四季11(その孔雀はたしかに) 2019-04-28 22:59:08 | 日記 その孔雀はたしかに空には居りました。けれども少しも見えなかったのです。たしかに鳴いておりました。けれども少しも聞えなかったのです。 宮沢賢治「インドラの網」より
kuuのいた四季10(兄さん、私はどうも) 2019-04-26 22:03:56 | 日記 兄さん、私はどうも、そんなことはきらいです。私はそんな、まわりを熱い灰でうずめて、自分だけ一人高くなるようなそんなことはしたくありません。水や空気がいつでも地面を平らにしようとしているでしょう。そして自分でもいつでも低い方低い方と流れて行くでしょう。私はあなたのやり方よりは、却ってあの方がほんとうだと思います。 宮沢賢治「楢ノ木大学士の野宿」より
kuuのいた四季9(そら、あすこに白い雲が) 2019-04-25 19:21:41 | 日記 そら、あすこに白い雲が環になって光っているんだろう。 僕はあのまん中をつきぬけてもっと上に行ったんだ。 宮沢賢治「風野又三郎」より
kuuのいた四季8(青い試薬がほしいんであります) 2019-04-23 17:26:21 | 日記 ・・・・いいえ、わたくしの精神がいま索(たず)ねて居ますのは 水に落ちた木の陰影の濃度を測定する 青い試薬がほしいんであります・・・・ 宮沢賢治「ソックスレット」より