暗くなるまで待って

都会の夜景を中心に写真のことを。
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露光間ズーム

2019-12-16 08:37:00 | 撮影技法
イルミネーションに限らずですが、毎年同じ場所で撮影していると、毎年同じような写真になりがちです。
美しいイルミネーションを綺麗に撮影することも楽しいですが、たまには面白いことをやってみてもいいかもしれません。

作例は2年前の渋谷の「青の洞窟」で撮影したものです。
露光感ズームという撮影技法です。
シャッターが開いている時に、ズームをするとこのようにまるでSF映画のワンシーンのような表現に撮像されます。





この撮り方で注意すべきはシャッター速度とレンズワークにつきます。


■シャッター速度について
三脚を使った方がカメラが固定される分、成功しやすくなります。三脚で固定する場合は長秒でも構いません。あとはどのタイミングでズームをするかを考えれば良いのです。
手持ち撮影となるとシャッター速度はかなりシビアとなります。せいぜい0.3秒程度が限界ではないでしょうか。


■レンズワークについて
手でレンズのズームリングを回すという、レンズワークが必要で、もっともブレの原因となります。
これは三脚を使えば、かなり軽減されますが、それでも直接的にカメラ本体に振動を与えることにため、操作には細心の注意を払う必要があります。
シャッターが開く瞬間にズームリングを回す必要があるわけですから、回す速度も瞬間的になります。
手持ち撮影の場合は、カメラを動かさないようにするだけでも難しいのに、その上ズーミングをすることになる訳ですから、難易度は高いと言えます。
三脚を使えば長秒での撮影が可能なため、手持ち撮影ほど瞬間的なレンズワークは不要かもしれませんが、あまりゆっくり回すと綺麗な光跡にならず、点線になってしまうので注意が必要です(作例の写真をよく見ると点線になっています💦)。


■その他カメラの設定について
三脚で固定する場合は、露光中にズーミングすることを前提としたシャッター速度を確保すれば良いので、その場に応じて設定してください。
手持ち撮影の場合は、結果的に瞬間芸となります。撮影モードはシャッター速度優先、暗い場所の場合はISOオートにします。

■少しでも成功率を上げるために
手持ち撮影でのブレの原因の1つとして、シャッターを切り込んだ時にカメラが動いてしまうことが多いです。
この点でも三脚を使うメリットはありますが、手持ち撮影が必要な場合は、タイマーを使うことをオススメします。自動でシャッターが切れればシャッター切込みによるブレは抑止出来る上、2秒後にシャッターが切れることが分かればレンズワークに集中することが可能です。
これは流し撮りにも有効です。

また、壁や電柱などに背中を付ける、カメラを持つ側(右側)の脇をしっかり締める、普段から体幹を鍛えるなど(笑)、少しでもブレないための工夫は必要です。


何回も何回もチャレンジすることになりますが、うまく撮れた時の達成感は、カメラ・写真の愉しさをより味わい深いものとなるはずです。