まあ飲みなよ
↓
飲め飲めー
↓
飲め。
↓
・・ん。(無言で瓶を差し出し目線と顎でこちらのグラスを指す)
彼の僕に対する酒の勧め方は
四谷コタンに居た僅か2時間と、
コタンから四ッ谷駅に向かう途中にある、「つぼ八」で過ごした合計4時間前後の間に
結構な速さで上記の通り進化を遂げていった。
帰り際、店の前で何故彼が僕にヘッドロックをしたのかは覚えていない。覚えているのは
それが絡み酒やワルノリといった感じの悪いものではなく
東京に来る前に憧れていた、「心地よい上下関係」を感じるものだったということ。
だからそのヘッドロックの返し技として「バーックドロップ!」と叫び
楽しい気持ちで彼を持ち上げたのだ。
恭ちゃぁん、こいつ酔ってるよー(呆笑
いやいや、酔わせたんはキミですがな。
四谷でライブがハネてから四時間。学生がそんな時間まで飲んでおいて武蔵境の自分のアパートに帰るはずもなく
彼と駅で別れて僕はライブを終えたばかりの「恭ちゃん」のアパートに泊めてもらうことになった。
3次会を始めながら、先ほどの4時間のどこかでもらった彼の3曲入りカセットテープを
聴いていると
真夜中なのに電話が鳴った。
もしもし、俺だけん、テープ聴いてくれた?
なんと彼は
自分の作品、表現を磨き上げるための必須項目「アンケート」を獲るために
電話してきたのだ
今考えるとそのストイックさには感服してしまう。
だが、この状況。先輩と3次会まで飲んでいる、すなわち先輩より早いペースで
6時間近く飲んでいる十九歳は、曲の感想を述べようにも
前頭葉さんをコントロール出来ずにいたのだ。
だとしても なんとか感想は伝えたかった。
理由は、ひとつは彼が「先輩」だから。
もうひとつは、ライブハウスこそ定期出演していないが既に曲作り自体はしていた
自分が感想のひとつも言えないなんて カッコ悪いと思ったから。
「そうですね・・歌詞を聴く限り嘘をついているとは思えません」
答えた自身も受話器の向こうも
「なんじゃそりゃ」なコメントですぁね。
それにしても 1992年6月某日深夜 に聴いた
①Glory Day
②傷だらけの天使
③Take A Chance
この3曲が入ったテープの音源を
10年後も20年後も聴いているとはこの時点では夢々想像していない。
続く
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