学生時代、自炊をして暮らしていた。
電子レンジで飯を炊き
フライパンでサンマを焼いて
インスタント味噌汁をお湯で溶けば
立派な夕飯だった。
その夜は、加えて他にも二品くらいおかずがあったと思う。飯もお代わりした。
そんな夕飯が八割方食べ終わった頃 電話が鳴った。
俺だけん、大変なことになった・・
相変わらず電話での彼の一人称は『俺』だったが
いつもとは少し声のトーンが違った。
話を要約すると
大変なことになった
今からすぐ出て来て。
東中野にいるから。
僕からの返答を要約すると
何が起きたか教えて。
あと22:00過ぎに東中野まで出て来て、は無理っすよ
何より食事中、そしてまもなく下膳。
しかし、彼の周りにはこの日も不思議な「磁場」が発生していたのか、
一時間後に僕は
早稲田通りの交差点にある、つけ麺屋さんに到着していたのだった。
よく来てくれた! 好きなもの食え。 と言ってくれた。
だが僕は一時間前にサンマの骨を本意気で避けながら
茶碗二杯の炭水化物をがっちり摂取したばかりなので
さすがに無理だった。
ここはつけ麺がうめぇぞぉー
・・・でしょうね・・そんな店であれば是非空腹の時に訪れてみたかったよ。
若いんだから、食えよー
いや若い、よ確かに。
彼は1月、僕は7月生まれ。僕のほうが半年も生まれが遅い。学年もひとつ違う。
そんな僕の胃袋は若いんだから・・
※ってそんなわけあるか(笑!!
店を出た二人は前述の(➀ 参照) 『宮入恭平』のアパートへ向かった。
行くことは最初から決まっていたようだが
大変なこと、とは何だったのか。
結局明かされぬまま、夜が明けた。
令和三年の今もそれは謎のままである。
満腹状態で電車に乗り込み
さらにつけ麺大盛を食べ、朝まで呑んだわけだが
それは威張りではなく
今風に言うとパワハラでもなかった。
信頼している人間との上下関係は、心地よいものなのだ。
たとえそこに命令口調が含まれていても
本質が何なのかを感じとれれば、今思い出してはもちろんのこと、
当時もそれは楽しいひとときそのものだった。
元来どちらかというと人嫌いな傾向にあり
他人からは無駄にプライドが高い、だの
あいつは難しい奴だ、だのと言われる僕が
何故彼の話は素直にいつも聞けたのだろう。
我ながら不思議であります。
続く
電子レンジで飯を炊き
フライパンでサンマを焼いて
インスタント味噌汁をお湯で溶けば
立派な夕飯だった。
その夜は、加えて他にも二品くらいおかずがあったと思う。飯もお代わりした。
そんな夕飯が八割方食べ終わった頃 電話が鳴った。
俺だけん、大変なことになった・・
相変わらず電話での彼の一人称は『俺』だったが
いつもとは少し声のトーンが違った。
話を要約すると
大変なことになった
今からすぐ出て来て。
東中野にいるから。
僕からの返答を要約すると
何が起きたか教えて。
あと22:00過ぎに東中野まで出て来て、は無理っすよ
何より食事中、そしてまもなく下膳。
しかし、彼の周りにはこの日も不思議な「磁場」が発生していたのか、
一時間後に僕は
早稲田通りの交差点にある、つけ麺屋さんに到着していたのだった。
よく来てくれた! 好きなもの食え。 と言ってくれた。
だが僕は一時間前にサンマの骨を本意気で避けながら
茶碗二杯の炭水化物をがっちり摂取したばかりなので
さすがに無理だった。
ここはつけ麺がうめぇぞぉー
・・・でしょうね・・そんな店であれば是非空腹の時に訪れてみたかったよ。
若いんだから、食えよー
いや若い、よ確かに。
彼は1月、僕は7月生まれ。僕のほうが半年も生まれが遅い。学年もひとつ違う。
そんな僕の胃袋は若いんだから・・
※ってそんなわけあるか(笑!!
店を出た二人は前述の(➀ 参照) 『宮入恭平』のアパートへ向かった。
行くことは最初から決まっていたようだが
大変なこと、とは何だったのか。
結局明かされぬまま、夜が明けた。
令和三年の今もそれは謎のままである。
満腹状態で電車に乗り込み
さらにつけ麺大盛を食べ、朝まで呑んだわけだが
それは威張りではなく
今風に言うとパワハラでもなかった。
信頼している人間との上下関係は、心地よいものなのだ。
たとえそこに命令口調が含まれていても
本質が何なのかを感じとれれば、今思い出してはもちろんのこと、
当時もそれは楽しいひとときそのものだった。
元来どちらかというと人嫌いな傾向にあり
他人からは無駄にプライドが高い、だの
あいつは難しい奴だ、だのと言われる僕が
何故彼の話は素直にいつも聞けたのだろう。
我ながら不思議であります。
続く
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