のっけからコロぶ

日々の趣味のこと、日記として。

オフロードバイクのスパイクタイヤを自作する

2024-11-08 07:11:02 | 日記
かなり特殊な方のための内容ですが、年越しに宗谷岬に
集まる人のために書いておこうと思ってました。これを読む
人はかなりの変態な人種に入りますね(笑  

参考になれば幸いです。








特別な工具は使わないで、手で入れるやり方となります。 
私は特にばか力でもないですが、やり方を飲み込めば
誰にでも出来るのかな、と思ってます。

法的な誤解があると困るので、冒頭に書きます。スパイク
タイヤはクルマ、バイクについては禁止されております。
ただし原付バイク(125cc未満)は、郵便配達や新聞配達の
方が安全に走れるように使用については許可されているよう
です。自治体によっては禁止されているところもあるかも
しれませんが、東北地方、北海道では許可されているよう
です。私は原付のオフロードバイクでの使用ですので大丈夫
だと信じております。



まずは、スパイクピンのお話

 
モトクロスタイヤ、ないしピレリMT21のような硬いブロックの高さ
のあるタイヤ用のスパイクピンとして、長さ12mm、フランジ8mm、
胴体の太さ5mmあたりを基本にご用意ください。フランジとは抜け
ずらくするための広がってる部分の径です。

ベストグリップのようなピンをねじ込むだけで埋め込みが出来るピン
もあります。簡単なのでいいですが、1本あたりが高価です。
簡単に作るならこれですね。

これはチップピンといって、一番ポピュラーなやつで単価が安い
のが利点。もっと耐久性があるマカロニピンってのもありますが
それも高価で、入手困難のようです。

私が買ったのはヤフオクで群馬の方が出品されていました。
そのチップピンは芯がタングステンで硬く減りづらいとは
言ってますが、スパイクピンの中では減り易いほうです。


肝心な耐久性です。私が使ったのは、道東の雪氷が少ない
ところを主に走ったので、余計に減りが早かったんですが
ギリギリ3000kmは持つのではないかと思ってます。



このタイヤは走行2600km走りきった状態。


リヤのスパイクピンの真ん中が減って抜けてしまっても両脇の
端に近いピンは最後まで残って、それでかろうじて前に進んで
くれます。たいてい帰りはフェリーに乗って新潟の峠だけを
クリアすれば良いので、実際は最初の1500kmくらい凍結路で
役に立てば良いと考えれば計画も幅が拡がると思いますね。

考え方として、自宅からスパイクタイヤで行きます。最初の年は
新潟でタイヤ交換しましたが、ちょっと大変ですよね。気をつけて
走れば、乾いたアスファルトでも滑りません。急発進、急ブレーキ
速いスピードで旋回することは厳禁という条件です。砂利道の林道
を走ってるイメージです。




ここ、帰り道の三国峠。リアタイヤのスパイクピンは真ん中だけ
抜けて無くなってますが、これでも充分登れます。


フロントタイヤのピンは殆ど減りません。2600km走って
ヤフオクにまだ出品できるくらいです。

デュアルパーパスタイヤに埋め込むのでしたら、長さ10mm
~12mmあたりで製作するのがいいと思います。ただし
リヤタイヤはトラクションがかかりますので、ピンの長さが
短くて、ピンの埋め込んでいる深さが足りなくなると、抜け
やすくなります。フロントならデュアルパーパスタイヤでも
大丈夫。リアタイヤはゴム質の硬いものがいいです。


一般的なオフロードタイヤですが、スパイクピンが二本置いて
あります。左が長さ12mm、右が10mm。10mmのピンは
デュアルパーパスタイヤのフロントで使用しました。12mmの
やつはリアタイヤ用で、ブロックの高い硬いタイヤに使用しました。



XR100モタードにCRM80のホイールを付けました。
ノーマルの12インチとは、安定性が天と地ほどの違いがあります。






これ、70/100-17 ダンロップ K860デュアルパーパスタイヤ
の使用前使用後。約2600km程度走りました。ピンの長さは
確か10mmの短いやつだと記憶しています。ブロックの高さが10mm
ほどなので、短いのを入れるしかなかったです。抜けるかな、と
思ってましたが、2600km走っても1本も抜けませんでした。

デュアルパーパスタイヤにピンを埋め込むと、使用後は少し埋まって
いるの分かります?少し沈みこみはありましたね。突出量を3ミリ
出していたのですが、そのうち2ミリくらいになりました。







こっちはリアタイヤ。90/100-14  IRC iX-09W です。
モトクロスタイヤです。これも走行2600kmくらいなんですが
両サイドのピンがまだ残ってますよね。これでも雪道なんとか
いけます。そういう意味で、なんとか3000kmいけるのか、と
書きました。三国峠を越えた1800kmくらいの地点で、かなり
真ん中はピンが無くなり始めてたんだけど、両脇は残ってました。
意外と走れるもんです。

タイヤの選び方も大切だと思います。このモトクロスタイヤは
安いから選んだこともありますが、ブロックが横に広く並んで
います。使ってると、1500km走行くらいから真ん中が無くなって
いきますが、両端は残ります。その両端の埋め込みの角度も
よーく見ると工夫があります。



これは2回目に北海道行った時のスパイクタイヤで、1回目は
無謀にもXR100モタードの純正12インチホイールでスパイク
タイヤを作ったので、小径ホイールだからか、ピンの減りが
早かったです。

無謀と言ったのは、12インチのモトクロスタイヤでスパイクタイヤ
を作ったら、ものすごく直進性が無くなり、まっすぐ走らないわ、
フラフラするわで、ホントヤバかったです。


こっちは小径ホイールの12インチ。



12インチタイヤの使用前の前後。


これが約1300km程度走ったリアタイヤ。
ちょっと減りが早いですよね。



スパイクタイヤを作るための道具


長さ12mm、フランジ8mm、胴体の太さ5mmあたりの
サイズのチップピンで手で埋め込むやり方です。

MonotaROで購入した3mmの超硬ロータリーバー(円筒先丸型) 。
ヤスリのドリルみたいなやつです。普通のドリルでもいいんで
しょうが、こちらのほうが抜けずらくなるのかな、とも思って
ます。普通のドリルだとツルツルの穴になりますよね。
ロータリーバーだと、ザラザラの穴になるので、こちらの方が
いいのかと選択しました。

このドリルの太さが大事で、細すぎても手でピンが入れずらくなり
ますし、ドリルが太いと入れやすいが抜けやすくなると思います。

自作のスパイクタイヤで使用した経験上、この穴を開けるロータリー
バーは2.7mm~3.0mmがいいと思います。

2回北海道を走った経験上、埋め込んだピンは1本も抜けません
でした。タイヤブロックが減って、ピンも溶けたり、減ったりして
最後には抜けて無くなりますが、それは別として、途中で抜けたり
はしませんでした。


これは自作したスパイクピンをタイヤに埋め込む工具。



チューブレスタイヤのパンク修理する時の持ち手です。
最初にパンク穴を拡げる棒と、穴を塞ぐゴム棒みたいなやつ
をタイヤに挿入する棒をネジこんで取り替えるタイプの
持ち手に5ミリの革ポンチを溶接しました。

こんくらいの溶接は、誰でもできると思うので、どっかの
修理工場などで頼めば、やってくれる気がします。
私の下手な溶接でしたが、役に立ってくれました。
これがベストな工具だとは思ってませんが、なかなか良い
ものを作ったなと自画自賛しておりました(自己満足です)。

道具として、もう一つ。ホルツのブラックシーラーです。
スパイクピンとゴムを滑らせて挿入しやすくする潤滑油
みたいなもの、ですね。シリコンで出来てるらしく、これが
無いと、もっと力が必要となるでしょう。油が一番入れやす
いとは思いますが、それはやっちゃダメでしょうね。






これからピン埋め込み作業の話


いくら説明しても、判らないこともありますよね。
昔、動画作ったのがありましたので、のせときます。


重 要
スパイクピンを挿入する前に、必ずタイヤをストーブ
で温めて、ゴムを柔らかくしてから作業をしてください。
ここ、肝心なことですよ。夏ならば、天日に30分置く
だけで温まります。




タイヤはホイールに組んで、エアーも入れておきます。

最初にロータリーバーで穴開けしてから、最後にドリルを
少し回してますよね。穴の奥を少し拡げているつもりです。
いいのか悪いのか判らないですが、フランジのところの収まり
が良くなるのかな、と思ってます。

スパイクピンを手作りした工具の先端にはめて、ブラックシーラー
をタイヤの穴のところに米粒くらいか、もう少し置きます。

こうやって、手作り工具をグリグリ回しながら入れていくのですが
入り始めたら、左手も使って入れてるのが分かります。右手の力
だけだと、入り切らなかったです。腕力ある人は片手で充分でしょう。

要はキツい穴にフランジの拡がっているところを無理矢理入れて
いく作業となります。回しながら入れるのが最善かな、と思ってます。



最後にハンマーで叩いてますが、おまじない?というか、ピンを穴に
落ち着かせるために叩いているのですが、あんまり変わんないよーな。

この作業、かなり大変なことは事実です。なのでタイヤ1本を1週間
くらいかけて、ちょっとずつやってくださいね。一気にやろうとすると
腱鞘炎に必ずなります。私は2時間くらいやったら、2日くらい休んで
また2時間作業する感じでやりました。






ここも重要
ロータリーバーをドリルにセットする時、ドリルのチャックの先端から
10mm突出させました。スパイクピンの全長は12mm。フランジのところ
が拡がっている関係で、ロータリーバーの突出量を10mmにすると
タイヤブロックからスパイクピンが3mm出ます。おおよその話です。
凄い力でグリグリやると、もっとピンが中に入って、ピンのはみ出しが
2mmくらいになるかも知れませんが、私の力でやると、おおよそ
スパイクピンのはみ出し量が3mmくらいになりました。

その3mmのはみ出し量ですが、中心の細いタングステンのところの
長さも含みます。タイヤのゴムの硬さにもよりますが、走ってると
若干ピンが中に埋め込まれてきて、はみ出しが2mmくらいになること
もあります。多少食い込むことを想定して、このくらいの穴開けに
しました。モトクロスタイヤは、ほぼ沈みこみは無し。デュアル
パーパスタイヤは少し沈みこみはあります。

スパイクピンを穴に入れやすくするために、ホルツのブラックシーラー
というものを使いました。これ、他の方も使っていたので使ってみま
したが、スルッとピンが滑って入るようになりましたので、かなり
効果はあります。シリコン樹脂で金属とゴムとかに密着するそうです。
これじゃなきゃダメだとは思いませんが、他の接着剤でもいける気も
します。






最後にスパイクタイヤで走る時のこと

スパイクタイヤを製作して、一度慣らし運転をしたほうがいいですよ
という話も聞いたことがあります。念のためした方がいいんでしょう
が、あんまり走ると、それだけピンが減るので、2~3kmくらいでも
充分ではないかと思ってます。私はちなみに、慣らし運転はしてません。

スパイクタイヤで走ったことがない人は、みんなと同じスピードで
走れるのか?という点も不安ですよね。雪の無い道は法定速度+α
くらいのスピードは私は出していたと思います。もちろん車間距離は
いつもよりも長くとってました。ゆっくりブレーキを掛ければ、ちゃん
と止まれます。後ろから煽ってきたら、先に行かせましょう。

北海道ではペースが皆さん速いので、速いクルマが来たら、すぐ路肩に
避けてました。雪道、凍結路については、下手に路肩に避けると、轍から
外れることになり、転けることもありますから、安全第一にゆっくり
走行しましょう。抜かしたいクルマは勝手に抜いてくれますので、絶対に
煽られたからと言って何かしようとは思わないことです。転んでしまったら
自分も後続車も不幸なことになりますので。気持ち的にも無理せず
出来る範囲で楽しみましょう。

日勝峠を越えた時は、トレーラーが来たら、その後ろに6台くらい
連なっているんですよね。そのクルマの列を先に行かせると、しばらく
はクルマが来ないので、ゆっくり走れました。

一番怖かったのは、札幌郊外あたり、大きな街中のブレーキで踏みしめ
られた氷です。ボコボコで不規則な氷の轍です。信号の手前10mくらい
あたりから、とても危険です。できるだけ大きな街中は避けましょう。








珍しく吹雪いていなかったサロベツ原野。

こんなシベリアみたいな道を冒険してみませんか?





自作をしてみよう、という方で、判らないことがありましたら
私で判る範囲でしたらお答えできますので、お気軽に質問して
くださいね。



2回冬の北海道にバイクで行ったんですけど、3回目行くぞ!と
奥様に言ったら、

「バカなの?冬の北海道をバイクで行くのだけは止めて」と
かなり怒られて、今は軽バンにしています(笑