Seriously?

ひとりごとです

映画 ■■作兵衛さんと日本を掘る■■

2019年08月14日 | 映画

福岡県の筑豊炭田で働いた経験を持つ
山本作兵衛
さんが
60歳を過ぎて独学で描き始めた

探鉱での生活の絵や
膨大な記録が
ユネスコ世界記憶遺産に

登録されたというニュースは
聞いたことがあった

日本で初めての記憶遺産

そのニュースを見るまで

山本作兵衛さんという人も彼の絵も

全く知らなかった

 

映画 ■■作兵衛さんと日本を掘る■■

☆☆

全く知らなかったことばかり出てきて

とても興味深かった

 

 

まずは作兵衛さんの才能に驚いた

絵も、読み書きも、修得したのは殆ど独学

独学で漢字を学んだとは思えない

私の文章の稚拙さ、幼稚さが

恥ずかしくなるくらい

語彙が豊富でちゃんとした文章を

緻密に書いていた

 

根気の必要な詳細な記録を

すごい集中力で書き綴っていたが

ご本人は「つらい」などとは思わず

楽しみで、娯楽としてやっていたのだろう

 

彼は、かなり優秀な人だと感じたが

彼がちゃんと教育を受けていたら

どういう人生を送っていたのだろう?

 

でも、大学に行かなかったけど

有名な会社に就職しなかったけど

炭鉱夫として働いたが故に

ユネスコの記録遺産に登録されるという

偉業を成し遂げたのだから

作兵衛さんは

作兵衛さんの人生を生きてきて

正解だったのだ

 

私は

ちゃんと教育を受けさせてもらったが

自分の境遇には不満だらけで

「もっと金持ちの家に生まれていたら」

「もっといい教育を受けられたら

どうなっていたんだろう」

と、よく想像するのだ

 

作兵衛さんや炭鉱で働いていた人達は

運命を呪ったり

人をうらやんだりしたことは

なかったのだろうか?

 

実際の所は分からないが

映画に映し出された人達の働きぶりは

与えられた境遇で

必死に毎日働くのが精一杯で

そんなこと考える時間も

なかったように見えた

 

今に生きる私たちは

良くも悪くも余裕があるのだ

生活にも時間にも余裕があるから

あれこれ調べて、人と比較して

「自分は不遇だ」と

悩んでしまうのだと思った

 

 

 

初めて知ったことは

女鉱夫と呼ばれた女性の鉱夫も

いたということ

鉱山の中は暑いから

男性はふんどしとはちまきだけ

女性も上半身裸で働いていたのだそうだ

 

女性だけでなく

10歳くらいの子どももカンテラ下げて

一緒に坑道を下り、手伝っていたとか

 

今の基準では信じられないブラックな職場

命がけの、過酷な

長時間拘束される仕事を

ただ黙々と

食べていくためにやっていたのだ

 

彼らはそうやって

日本の高度経済成長を支えていた

不可欠な労働力だった

 

でも、炭鉱で働く人達は

差別される存在だったというのも

知らなかった

 

結婚や就職の時に

炭鉱の町出身であると知られると

拒否されることも多かったらしい

 

 

副首相の麻生さんのご先祖は

筑豊炭鉱で「麻生鉱業」をおこし財を成す

「麻生鉱業」でググって見ると

面白い記事が沢山出て来る...

興味のある方は調べてみてください

 

徴用工とか

今とてもタイムリーな話題とリンクする

 

 

そして、日本のエネルギー政策によって

各地の炭鉱が閉山されたとき

幾つかの炭鉱町は

原発の誘致に名乗りを上げて

生き残りを賭けたとか

 

作兵衛さんの絵が記憶遺産に登録されたのは

2011年5月

日本が、福島第一原子力発電所事故で

慌てふためいていた頃

 

炭鉱の町はいつもエネルギー政策に翻弄されている

 

 

 

こうやっていろいろ考えていると

観終わってすぐの印象よりもどんどんどんどん

面白かったと感じてくる

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