Seriously?

ひとりごとです

今日も小野寺史宜について語る

2021年02月14日 | 読書

しつこい...

 

「転がる空に雨は降らない」

を読んで

「それは甘くないかなあ、森くん。」

を今読んでいて

やっぱ、好きだなあ、と思う

 

Wikipediaによると

私より5歳若い

だけどまあ

だいたい同じ時代を生きてきた

作品を読んでいてもそれが分かる

しかも、大学は違うけど

文学部英文学科卒

勝手に親しみを感じる

 

「それは甘くないかなあ、森くん。」

の主人公も

文学部英文学科卒

なのに英検2級

全然英語しゃべれない...とか

共感しかない(;^ω^A

そういう時代だったのだ!

 

でも

あの時代を共に生きたにしては

ギラギラした所

自分を良く見せようとする所がなくて

好感が持てる

 

彼の作品の良い所は

悪い人があまり出てこないこと

真摯で誠実な登場人物達が

それぞれの立場で

懸命に生きている所

 

そして

シナリオライター志望の若者とか

サッカー選手とか

一般的にはなかなか実現しない夢を

追いかける人達が出て来る

或いは、追いかけていた人達

 

私は母ゆずりの心配性だから

「もし失敗して

生活して行けなくなったらどうしよう?」

と、そういう方向へ挑んだとしても

毎日が不安でカチカチに固まってしまうと思う

 

でも、小野寺史宜の描く

夢を追う人達はとても爽やかなのだ

もし失敗してもなんとかする

というしなやかさがある

 

夢はなんとしてでも実現したいが

「何が何でも」とか

「他の人を蹴落としてでも」とか

「汚い手を使ってでも」

とは、思っていないんだな

「そこまでして手に入れたとしても

嬉しくはない」

と、思っているように見える

 

特に初期の作品は

ご自身が

作家として

果たしてやっていけるのか分からず

リスキーだった時代に

「夢を追う自分自身」を

登場人物に投影させて

描いているように感じる

 

 

私は本当に

邪悪で、よこしまで

他の人が上手く行っていると

嫉妬で猛り狂うような人間だから

 

彼の作品の中に出て来る人達の

上手く行かなかった時の

他の人の方が上手く行っている時の

「ああ、仕方ないな

でも、諦めない」

というしなやかさは

どこから来ているのか

 

私はどうやったらそれを

手に入れられるのか...

自己嫌悪しつつも憧れるわけです

 

 

それから

小野寺史宜という作家

そんなに「大人気」という訳ではない

今のポジションが良いのね

単行本デビューしてまだ12年だからね

 

本屋大賞で2位になったけど

映画化はされていないし

 

図書館でも

誰も借りていないから

すぐまわってくるし

(と、思っていたら2冊連続

先に借りられていた...)

 

誰もが知っている作家ではないし

 

 

これがね、いいのね

だって私は

「とんぼちゃん」ファンだもの

まだ多くの人に見つけられていないけど

人知れず輝いている光を

自分だけ見つけてしまったことが

嬉しいのだ

 

だから、いつかベストセラーになったら

ちょっと寂しくなると思う

 

 

英文科卒ということは

小野寺史宜も

サリンジャー読んだかなあ

好きじゃないかなあ

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