母性神話の呪縛

胃腸が弱い私はノロウイルスが怖い。
バイオテロ並に怖い。

娘の看病をしながら、緊張でガチガチになった体を
マッサージしてもらったら、心も体も軽くなった。

病気になったのが小さいお子さんだった場合、
24時間目を離すことができなくて、
世の中のお母さんはさぞかし大変だろうなあと思う。

娘は小さい頃、重度の小児喘息だった。
喘息のやっかいなところは、たいてい夜中に発作を起こす。
その度に夜間救急外来に走っては、
「この程度で連れてくるな」
「なんでこんなになるまで放っておいたんだ」
素人で知識のない私は、度々お医者様に怒られていた。

今のマンションを買った理由は、
市内で小児科の夜間救急外来がある唯一の病院に近いから！
というくらい当時は悩んでいた。

ある日、ママ友の家に遊びに行ったら、
知らない親子が遊びに来ていた。
髪は金髪で、見るからにヤンママだった。

その子のお子さんも喘息持ちだというのに、
換気扇の下でたばこを吸っていた。
もう…すべてがびっくりのお母さんだった。

その時そのお子さんが咳をし始めた。
喘息発作の前兆のいやーーな咳だった。

そして、そのお母さんは言った。
「ああ、また面倒な夜が始まる…」

えーーーーーー？？？

また、面倒な夜が始まる…？？？？？

その頃の私は、そんなこと、言ってもいけないし、
思ってもいけないと思っていた。
変な母性神話の呪縛に囚われていて、
押しつぶされそうになっていた。


そーーーーだよね！！！！！

子供が発作起こしたら大変だよね。
寒い夜病院に行かなきゃならないし、
お風呂上がりだったら湯冷めしちゃうし、
見たいドラマがあったかもしれないし…

そーーーーだよね！！！！！

お母さんだって人間だもの。
あーやだ！って思ってもいいんだよね？
心が軽くなったことを覚えている。

もう20年も前の話だけど、
今でも思い出す。
大変なことがある度に、あの言葉を思い出す。
そして、ちょっと力が抜けて、心が軽くなる。
お母さんだって人間なんだよね！！



いつもマイペースなそら