いっぽいっぽまたいっぽ

今年度45歳。15年前に地元の役所に就職した田舎者が、巨大組織で働きながら、日々思うことを綴る日記です。

ご老人との出会い

2011-12-16 01:06:51 | 日記
10月、福祉事務所に、

「10月の年金を借金の返済にあててしまって生活に困ったから、

 12月の年金までの生活費を貸して欲しい」と現れた一般のご老人に、

わたしは2万円を貸した。

年金額が結構多い人だったので、生活保護が決定になってもすぐに廃止になる人だったし、

申請にかける労力を考えると、リスキーではあるが、そうした方が自分が楽だと思ったからだ。


「12月に入る年金で返します」という誓約書を取ったが、

返さないことも有りうるとも思った。

住所が嘘の可能性もあるし、電話も持っていない。


当然、こんなことは職場では認められていないし、

2万円も自腹切って貸す奴は馬鹿だ、と自分でも思う。



諦めつつ迎えた12月15日。

年金支給日当日。



あの老人は・・・



やってきた。



「ありがとうございました。おかげで生き延びることができました。」

と、深々と頭を下げられた。

そして、「裸ですいませんが・・・」と2万円を渡された。

「いえ、それくらいしか、こちらもさせてもらえませんでしたので」と、

わたしも、誓約書を老人に返した。


老人は、

「うどん一玉を半分に分けて、食べてたような生活だったんです。

 死のうかとも思いました。でも貸してくださって助かりました。

 今日、20万ほど入りました。これで十分生活がやっていけます。」

そう言いながら、別に2千円を、わたしに渡そうとテーブルに置いた。

「・・・お礼ですので、受け取ってください」


さすがにわたしも困惑し、

「それは困ります。受け取れません。」と返そうとしたが、

老人は席を立とうとし、全く受け取ってくれない様子。

「こんなことをしてくださる余裕があるのなら、被災地の募金にでもあててください」と

強めに言ってみたが、「それでしたら、そのように使ってください」とニコッと微笑み返された。


「わかりました。そしたらわたしが代わりに募金に使わせていただきますので。」

そう言って、お互い深々とおじぎして、わたしはその老人を見送った。


これが本当にいい方法なのかは分からないが、

今回は、きっとこれでよかったんだと思う。

ただ、どうしても心境は複雑で、

できれば今後は、二度とこういうことはしたくないとも思った。


もっとスキルを積まねば。
コメント
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