続・とりあえずの映画鑑賞メモ

「あんのこと」(2024/キノフィルムズ)

《「SR サイタマノラッパー」「AI崩壊」の入江悠が監督・脚本を手がけ、ある少女の人生をつづった2020年6月の新聞記事に着想を得て撮りあげた人間ドラマ。「少女は卒業しない」の河合優実が杏役で主演を務め、杏を救おうとする型破りな刑事・多々羅を佐藤二朗、正義感と友情に揺れるジャーナリスト・桐野を稲垣吾郎が演じた。》

これはずっと気になりながらもなかなかタイミングが合わないうちに今頃になってしまったけど、いや〜、週明けから重いものを観てしまったというか、冒頭から麻薬に売春に悲惨な様子の、河合優実ちゃん演じるヒロインに心が折れそうになったところに登場の熱血刑事役が佐藤二朗さんで救われたと思ったら・・・後半で明らかになる事実に驚きながらも、稲垣吾郎さん演じるジャーナリストの存在によって善悪の定義が問われるような展開に色々考えさせられた。

麻薬の常習犯である主人公の香川杏を演じた河合優実ちゃんの繊細な演技に胸を打たれたというか、子どもの頃から酔った母親に殴られて、小学4年生から不登校となったり、12歳の時に母親の紹介で初めて体を売ったり、もう悲惨なんだけどどこか透明感を感じさせるところは彼女ならではかも。
必要悪?な二面性のある熱血刑事役の佐藤二朗さんのおちゃらけ封印な演技や、ある意味この作品の肝ともいえるジャーナリスト桐野を演じた稲垣吾郎さんの抑えた演技もよかった!

コロナ禍で命を経ったある女性についての新聞記事がきっかけとなってこの作品が作られたとのことで、どこまでが本当でどこまでがフィクションなのかはわからないけど、新型コロナウイルスの感染拡大がきっかけで起きた悲劇はたくさんあるはず、そして、親の虐待にあったり、余儀なくヤングケアラーになったりの子どもたちの教育問題などにも触れていて、漢字を読んだり書いたり、数を計算したり、当たり前に身につけられることを大人になってから学習することの大変さと、逆に学習するのに遅すぎることはないという思いで主人公のあんに寄り添って観ていたので、周囲の人間に支えられていったんは絶望の淵から這い上がる様子に、これ以上何も起こって欲しくない気持ちで、まだ何か起こるのか怖くて何度も時計を見てしまった。

入江悠監督曰く、“2020年から2021年の空気を、忘れないように記録しておきたい”とのことで、確かにそんなに前のことではないのにコロナ禍の最初の頃の不安や絶望的な気持ちを忘れかけていたことにも気付かされたのも収穫だった!

同じく主人公の名前がタイトルで、虐待やヤングケアラーなど過酷な少女時代を過ごした主人公を演じた杉咲花ちゃんの「市子」と被るところもあったけど、市子が踏み出した“一歩”と、あんが踏み出せなかった“一歩”、どちらがよかったのか、ラストは賛否両論あると思うけど、声高にテーマを主張していないところもよかった。

☆あらすじ☆
売春や麻薬の常習犯である21歳の香川杏は、ホステスの母親と足の悪い祖母と3人で暮らしている。子どもの頃から酔った母親に殴られて育った彼女は、小学4年生から不登校となり、12歳の時に母親の紹介で初めて体を売った。人情味あふれる刑事・多々羅との出会いをきっかけに更生の道を歩み出した杏は、多々羅や彼の友人であるジャーナリスト・桐野の助けを借りながら、新たな仕事や住まいを探し始める。しかし突然のコロナ禍によって3人はすれ違い、それぞれが孤独と不安に直面していく。
※映画.comより

キャスト
河合優実
佐藤二朗
稲垣吾郎
河井青葉
広岡由里子
早見あかり

監督
入江悠

113分

PG12

YEBISU GARDEN CINEMA2 16:45〜観客20人程/93席







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