これは、物語としては、予告篇で触れているのでネタバレにはならないと思うんですが、善意で堕胎を手助けした女性の話で・・・と書くととても重そうですが、堕胎の良し悪しをテーマにしているのではなく、ヴェラ・ドレイクという女性とその家族の絆というか、秘密が露わになった時の家族たちの反応にスポットが当てられているので、家族とは何かを考える一編といえそうです。
キャストは、マイク・リー監督作品の常連俳優やシェイクスピア俳優、イギリスのテレビ俳優などで固められているので、おなじみでない顔が殆どでしたが、さすがに芸達者というか、澱みない演技で、前半はこちらの入る隙がないような気がしてちょっと物語を遠くから眺めているような感じでしたが、秘密が露わになってからの後半はぐいぐい引っ張られました。
壁紙や服装、調度品など、1950年代のイギリスの雰囲気を再現しているのも興味深かったです、実際にどうだったのかは知りませんが、とてもイギリスらしいというか・・・。
主役のヴェラを演じたイメルダ・スタウントン。
涙を流す演技に圧倒されましたが、役柄から離れた顔も温かみのある瞳が印象的ですね。
試練を一緒に乗り越えてこそ夫婦なのだ!
というわけで、マイク・リー監督の描きたかったのは“道徳的なジレンマ”とのこと、映画の背景にある中絶をめぐる法改正の話や通貨、1950年代のイギリスの法廷のことなどがパンフに書いてあるので、よく読んで復習しないと・・・とか思いながらいつになるやらですが(^^;
銀座テアトルシネマ15:30~観客9割程/150席