これはダイアナ妃が1991年12月のクリスマス休暇に、イギリス王室の一同と共にノーフォークにあるサンドリンガム・ハウスで過ごす3日間を描いたものだけど、冒頭に“事実に着想を得た寓話”とあるように、映画として脚色されたドラマというのが新鮮で、クリスマスイブから始まってboxing dayというクリスマス翌日までの3日間に絞ってダイアナ妃の心の揺れを描いたシナリオがお見事!
ダイアナ妃を演じた主演のクリステン・スチュワートが、そんなに似てないはずなのに、スクリーンに登場しただけでダイアナ妃を思い出させて驚いたというか、その不安そうな表情から、チャールズ皇太子との冷え切った関係や王室の中で浮いた存在になっていたダイアナ妃の心の叫びが手に取るように伝わってくるようで痛ましく感じてしまった、心の拠り所になる衣装担当係のマギーとのやりとりにもじーん、マギー役のサリー・ホーキンスもよかった。
パブロ・ラライン監督といえば、2017年の3月に観た「ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命」ではジャッキーをナタリー・ポートマンが演じて、やはりジャッキーというよりナタリーというタイトルにした方がいいのではと思うくらい女優さんの引き出しを上手に開けていたけど、内容的にはあまり面白味を感じなかったので、今回の方がずっと面白く観ることができた、実際にダイアナ妃が着ていた服を元に、オスカー受賞歴のあるジャクリーン・デュランがデザインした衣装の数々も見どころ!
劇中でダイアナ妃が影響を受けていた「アン・ブーリング」の本も読んでみたいと思ったらアマプラでも配信されているので観てみたいかも。
☆あらすじ☆
1991年のクリスマス。ダイアナ妃とチャールズ皇太子の夫婦関係は冷え切り、世間では不倫や離婚の噂が飛び交っていた。しかしエリザベス女王の私邸サンドリンガム・ハウスに集まった王族たちは、ダイアナ以外の誰もが平穏を装い、何事もなかったかのように過ごしている。息子たちと過ごす時間を除いて、ダイアナが自分らしくいられる時間はどこにもなく、ディナー時も礼拝時も常に誰かに見られ、彼女の精神は限界に達していた。追い詰められたダイアナは故郷サンドリンガムで、その後の人生を変える重大な決断をする。
※映画.comより
キャスト
クリステン・スチュワート
ジャック・ファーシング
ティモシー・スポール
サリー・ホーキンス
ショーン・ハリス
監督
パブロ・ラライン
原題 Spencer
117分
G
TOHOシネマズ錦糸町12 17:25〜観客15人程/147席