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こんにちは、「雅楽×現代-真鍋尚之 笙リサイタル 作品公募」企画担当のSです。
前回に引き続き、作品公募審査の裏側に触れてみたいと思います。
笙という楽器は、楽器の構造上「出せる音」というのが決まっているのです。言うまでもなく、「出せない音」があるとその作品は演奏ができない、ということになります。今回の審査にあたって問題となったのは、仮にその音を他の音に修正したら「作品としてのテクスチュアそのものに、大きな影響を与えてしまうのでは?」という点でした。
例えばある音が「何度も何度も」繰り返し出てくると、その音自体に大きな意味が発生するのです。それが仮に「出ない音」だったとしたら…作品そのものが大きく変わってしまう可能性があり、これは審査の段階では判断できないものとなります。残念ながら、作品の内容そのものは大変高いクオリティにもかかわらず、上記の問題で今回は演奏が見送られた作品もありました。
また、「笙で演奏する必然性」というのも重要です。特にチェロとの二重奏の場合、「これは笙のリサイタルで演奏するための作品として、笙という楽器でなければならないパートなのか?」ということも注視したようです。例えば笙のみが表現できる演奏技術を活かしていること、または笙という楽器が持つ音色と実際に書かれた音楽との「親和性」といったことが挙げられます。
そしてもう一点重要なのは、真鍋さん自身が作曲もされるので「作品そのものの純粋な構成力」への着眼があったことです。例えば「このメロディはどのように展開していくのか?」「どうしてここに、この音が現れるのか」といった部分の話です。
これは作曲という行為で大変重要なものの一つでありますが、真鍋さんは特に構成力が重要視される傾向にあるドイツ系の音楽に造詣が深い方です。今回も最終的な選出には、その視点から楽譜の読み直しもされたため、審査そのものが3時間に及ぶ(!)長丁場となりました。
雅楽×現代―真鍋尚之 笙リサイタル
2021年1月23日(土)14:00開演(13:00開場)
会場 杉田劇場 5階 ホール
チケット【全席指定】一般:3,000円/スマイルクラブ会員2,500円(杉田劇場窓口のみ)
※未就学児の入場はご遠慮ください。
※新型コロナウイルス感染症対策により、定員140名での開催となります。
プログラム
■湯浅譲二:原風景
■清水一徹:笙とチェロのための新作(初演) ほか
【作品公募による新作初演】
■カイー・カオ:霜降 ―笙独奏のための
■水野みか子:笙とチェロのための『紺碧色の向こうがわ』
■板村博貴:笙とチェロのための『独奏と合奏』
出演
真鍋 尚之(笙)/多井 智紀(ゲスト:チェロ)
主催 横浜市磯子区民文化センター杉田劇場
助成 一般財団法人地域創造
チケット取扱 ☎ 045-771-1212(9時~21時 窓口)
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