4月某日
「赤いジュース」と注文し、ワインを水のように呑むオジサマのボケと体調が心配なので、苦渋の末にこっそり脱アルワインを出していた。気づかれずに数日間が経ち、そのうちに緊急事態となってお酒は出せなくなったのだが、全お客様の中で唯一、彼だけは同じモノを呑むことができるのだ。私達スタッフが丁寧に説明をして、これまでの事をしらばっくれれば。
つまりシナリオとしてはこうだ。「お酒出せないんですけど、ノンアルワインなら出せますよ」と、以前と同じモノを出せばいい。そうすれば、店側が嘘をつかなくて済む。「やっぱり元の方がいい」と言われても、同じモノを出せば問題ない。
昨日、ついにそのチャンスが訪れた。「お酒出せないんですけど、ノンアルならありますよ」「え?」「試しにひとくち呑んでみませんか?」「でも、アルコール入ってないんでしょ?」「意外と美味しいですよ」「酔えないなら、いらないよ」「でも…」
あんまりしつこいと逆に疑われてしまうので、途中で勧めるのをやめた。「じゃぁ、ホットコーヒーで」「……はい」赤いジュースのオジサマに脱アルワインを気に入ってもらうという千載一遇のチャンスを逃した。「やっぱりアルコールが入ってないとなぁ…」
対応したスタッフと、仕方ないねと目くばせをした。
人生とは、なかなか思うようにはいかないものである。
(4/30のTwitterより 一部修正)
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