あとは敷地内の整備を残すところ迄来ている。
此のペースで行くと、一年が経過するのでは。
其れにしてもデカい、デカ過ぎる。
周辺に建っている分譲住宅群が映画撮影用セットの張りぼて住宅、プラモデルの様に見える。
周辺の分譲住宅などは、3ヶ月、いや最近のカートリッジ工法の家はもっと早い工期で建ち上がっている。
先日、此処を通り過ぎ様に眼をやると、品川ナンバーの高級車が停められていた。
此の家に似つかわしい、高級車であった。
少し離れた所の、いつもウォーキングをする土手から眺めてみた。
此の邸宅が一軒抜きん出ていて異彩を周辺に放っていた。
此の邸宅が中心に鎮座して、周辺の一軒家が其れを囲んでいる様は、まるで曼荼羅の如くである。
周辺の安っぽい一軒家凡てが、此の邸宅を引き立たす為に建っている様に見えてしまう。
住居のネタをもう一つ。
此れは以前からであるが、マンションが新しく建設されるとなると、直ぐの間に完売となる。
ついこの前にマンションが建ったかと思いきや、少し離れた所に別会社のマンションが建つ。
すると此処も時を置かずに「完売御礼」となる。
建設が完了し、入居開始となる前に「完売御礼」の垂れ幕が出る。
皆が己の城を得ようとせっせとカネを貯めて来たのだろう。
先ずは頭金を貯めて払い込み、あとはローンを組む。
自治体によって同じ間取りでも金額が異なる。
地価の低い自治体といえども、云千万の代物である。
おいそれと手を出せるものではない。
契約者は、年齢の若いご夫婦が多いのは昔からである。
収入にもよるだろうが、20年から、長くて35年ローン。
此の20年、35年と云う期間払い続けると云うのは相当な覚悟が在っての事であろう。
返済の途上には、各々の人生に割り当てられた出来事が展開される:。
何が起こるかも解らぬので、大きい借金は恐ろしくて出来ない。
明日には職場が倒産し収入の道が断たれるやも知れず。
病気や事故に遭うかも知れない。
何件か耳にした事が在るが、事情で支払いがキツくなったり、出来なくなり借金を抱えた儘売りに出し、とどのつまりマンション購入の借金を払いながら賃貸アパートに移り住む。
借金を払い、賃貸家賃を払っていては、真面に平穏な暮らしは臨めない。
両親等の身内の脛を齧って残金の半分を肩代わり貰う世帯も在る。
親と云う齧る脛に甲斐性が在れば、残金凡てを肩代わりして貰う事も在るだろう。
吾にはそんな甲斐性が無いので無理だ。
毎月の家賃でさえもキツいのに。
共働きだから何とかなると皆が決心するのだろうか。
親と云う齧る脛が在る事で決心するのだろうか。
子育てから離脱し、蓄えたカネを抱えた儘、後は穏やかに過ごそうと思っていても、いつ集られるかと思うと戦々恐々である。
まぁ、余計なお世話だと叱られるので、此の辺にしておこう。
滞納していた、生前の祖母の医療も含む介護に要した費用も払い終えたので、あとは葬儀代のローンだが、此れも間も無く終わる。
借金は無いに越した事はない。